【STEAM教育】サイエンス(科学)の面白さって? ポイントは問いを生む環境づくり

【STEAM教育】サイエンス(科学)の面白さって? ポイントは問いを生む環境づくり
注目の「STEAM教育」の現場では、実際にどんな授業やワークショップが行われているのか。steAm,Inc.の「科学の専門家」にインタビューしてみた。親子で実践できる幼児向けのアドバイスも要チェックだ。

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問いを見つけて、問いに挑む
実体験を通して開く科学のトビラ

「科学ってワクワクするし本当に楽しいんですよ。理論を学ぶだけでなく、五感に訴えかけることが大事なんです」。

そう話すのは、高校教員としてSTEAM教育を展開する傍ら、自然体験と科学をミクスチャーさせた子供向けのユニークなワークショップを多数手掛けてきた鈴鹿剛先生。今年の4月からは、steAm,Inc.のメンバーや四国大学准教授として、地域活性のSTEAM化を図るという新しい取り組みも計画するなど、STEAM教育の最前線に立ち続けている。

子供向けのワークショップを行う際に鈴鹿先生が心がけているのが、「なんでだろう?」という気持ちを大切にすることだという。

「起きている現象を見て、ただ面白いとかすごいだけではなく、“なんでそうなるの?”ということを子供たちと一緒に考えてみることが大切です。

例えば、シャボン玉ひとつとっても不思議が詰まっている。『なんで球体になるんだろう』『なんで虹色になるんだろう』ということを子供たちが疑問に思い、大人もそれを一緒に考える。そして、膜の張力、球体の安定性、光の干渉現象など科学のことが少しわかるようになると、より楽しさが増すのです」。

ドライアイスを用い、超低温の世界でシャボン玉はどうなるかという実験。

「問いを見つけて、問いに挑む」という体験を通し、子供たちが得るものは大きい。教育の現場では、その問いを引き出す環境を整えてあげることが重要だ。

「例えば、エコクッキングというワークショップでは、ガスを使わない、ゴミが出ないように皮まで使おう、という設定を大人が作りがちなんですが、僕は、『自分たちでエコポイントを設定してください』という形で始めます。

そうすると、『1回温めたものは毛布で包んで熱を省力化した』とか『エクアドル産とフィリピン産のバナナはどっちがエコか考えました』など、様々なアイデアが出ます。そうやって子供たち自身が考える機会を持つことで、身になっていく」。

色々な物を一瞬で凍らせてみるという実験。バナナを凍らせるとどうなるか、子供たちも真剣なまなざし。

私たちの身の回りは科学現象であふれているが、普段の生活でそれを意識することは少ない。だからこそ、子供たちの興味のトビラを体験によって開いてあげることが大切だという。

「世の中が便利になればなるほど、原理は見えなくなる。完成されすぎてて、これはすごいテクノロジーが使われていて、すごい世界のことなんだ、と理解することに蓋をしてしまうんです。子供の頃に学んだ科学って、大人になっても役立つことがたくさんある。学ぶことで、世の中の見え方も変わってきます」。

親子で一緒に、身近な世界の“不思議”を考えることから始めてみよう。

アウトドアと科学は好相性。自然の中には学びがいっぱい。石をひっくり返しで様々な生き物を見つけ、環境についても考える。

おうちで実践!

自然体験の中で科学の面白さを伝えている鈴鹿先生。オススメの体験は「木に耳を当てて目を瞑り、音を感じてみること」。「木の香りや音など、視覚を閉ざした状態で見えてくるものがたくさんあります。

木に耳を近づけると、静脈が水を吸い上げる鼓動の音が聞こえます。『なんでこんな音がするんだろう』と様々な疑問も出てくるはず。親子で一緒に体験して、疑問は調べてみる。幼児からぜひ木とお友達になってみてください」。

“steAm, Inc.”とは?

研究者や芸術家、各界のスペシャリスト、教育者などが結集するSTEAM教育の専門チーム企業。1人ひとりの隠れた創造性を解き放ち、「様々な境界を超えた心躍る共創(協奏)」や「自然やAIとの豊かな共存」に満ちた、プレイフルな参加型社会を目指す。ワークショップや講演を多数開催。
HP:steam21.com

教えてくれた人

鈴鹿剛先生
steAm, Inc. Science & Marketing Architect。四国大学経営情報学部経営情報学科/地域教育・連携センター准教授。15年以上、地域企業との協働活動や海外との連携活動、子供たちへの自然体験教育などに取り組む。2021年3月までは高校教員として、PBLやSTEAM教育を展開、共に取り組む学校のネットワークを構築。(株)STEAMにてMarketing Architect(Marketing/Science Experience/Ecological Education)を担当。日本キャンプ協会―キャンプディレクター1級、環境省登録環境カウンセラー。観光庁初等中等教育における観光教育の検討委員会委員。

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文:曽田夕紀子
イラスト:岡本倫幸

FQ Kids VOL.07(2021年夏号)より転載

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