子供に持たせる「水筒の中身」何が正解? 医師に訊く、残暑でも熱中症にさせない方法

子供に持たせる「水筒の中身」何が正解? 医師に訊く、残暑でも熱中症にさせない方法
まだまだ残暑が続く日々。子供の熱中症対策に注意を払っているパパママも多いはず。そこで今回は、子供に持たせる熱中症対策ドリンクと、いつ飲ませるべきかについて専門家の意見を参考にしてみよう。

8割以上の学校でスポーツドリンクの持ち込みが許可されている

今年行われた「学校での熱中症対策の実態に関する調査結果」によると、熱中症対策と学校で推奨している飲料は、1位「スポーツドリンク」(54.3%)、2位「麦茶」(52.7%)が半数を超え、次いで「水」(41.0%)という結果に。

酷暑や熱中症が深刻さを増した2、3年前から、学校へのスポーツドリンクの持ち込みを許可するようになった学校が多くみられ、学校により「すべてのシーンで許可」(41.7%)、「特定のシーンのみ許可」(41.0%)、特に暑さが厳しい時期や運動会のみ、などルールの差異がありながらも実に合計82.7%の学校で許可されている。

スポーツドリンクを推奨するの理由としては

・「実際に熱中症にかかりスポーツドリンクを飲んだ際、他の飲料と比べてとても回復が早かったため」(高校/千葉県)
・「塩分や電解質が含まれるため」(小学校/三重県)
・「水だけでは体内のバランスを保てないため」(小学校/広島県)

など、熱中症対策に役立つ成分面を挙げる声、「運動量が多いとスポーツドリンクが必要」(中学校/山形県)といった、運動時に推奨しているという回答が得られたそう。

子供の熱中症対策ドリンク、専門家の見解は?

特に熱中症の原因となるのが、水分不足、すなわち脱水なのは周知の事実。大人よりも体内の水分比率も高く、脱水がそのまま危機的状況につながりかねないのが、子供が熱中症弱者であるといわれる所以だ。

子供の園や学校に、家族のお出かけに、水筒でひんやりドリンクをいつでも飲めるように持たせてあげたいもの。しかし“真水”や一般的な“お茶”といった飲み物だけだと、残暑とはいえ熱中症リスクの高い時期には、よもや子供を危険な目にあわせてしまう可能性があることを知っているだろうか?

公益財団法人日本学校保健会の専務理事で弓倉医院の院長、循環器内科の弓倉整先生はこのようにコメントする。

「熱中症の予防・対策として、『適切な水分補給』は基本ですが、大量の汗をかくときは、水だけでなく『塩分補給』も必要です。スポーツドリンクは『塩分』に加え、適度な『糖分』を含むことで、水と塩分の吸収効率がよくなっていると言われています。歯磨きを欠かさないよう生活習慣にも注意し、スポーツドリンクの使用・普及が進むことが望ましいと思います。」

熱中症対策に詳しい帝京大学医学部付属病院 高度救命救急センター長の三宅康史先生も、活動生の高い子供にはスポーツドリンクをすすめる。

スポーツドリンクなら水分補給はもちろん、塩分(ナトリウム)やカリウムなどのミネラルや、糖質の補充にも効果的です。現状持ち込みができない場合は、学校の先生に相談してみるといいかもしれません」(三宅康史先生)

飲み物を飲ませるタイミングは?

「水分補給に関しては、“喉が渇いたらすぐに”水分補給をさせてください。ただし、非常に高温多湿の日や、スポーツなどをしているときは、30分に1回以上は休憩をとり、喉の渇きがでる前でもこまめに水分補給をしましょう。特に子供は体温調節能力が大人ほど十分に発達していないため、熱中症のリスクが増える事が知られています。先生や親など、周囲の大人が『飲み物飲んだ?』とこまめに水分摂取を促してあげるよう常に意識してください。」(弓倉整先生)

飲み物の温度は?

「飲み物の温度は胃腸に過度な刺激を与えないため常温も良いですが、運動中の水分補給時は冷たい方が、深部体温を下げると共に、水分を吸収する小腸に速やかに移動するために良いと環境省の熱中症環境保健マニュアルにも書かれています。」(弓倉整先生)

新型コロナ感染症予防が、熱中症リスクを上げる?

特に今年は、新型コロナ感染症の影響もあり、余計に熱中症リスクがある。三宅教授によれば、今年は「暑さ慣れしていない」「マスク着用」で熱中症リスクには特に警戒する必要があるそうだ。

「今年は外出自粛の影響で、身体が上手に汗をかく準備ができていない人が多くいると考えられます。また、マスク着用で呼吸が苦しくなったり、体温が上昇しやすいので、3密を避けてマスクを外せるタイミングを作ったり、睡眠不足や過労を避けて体調管理をし、こまめに水分補給をして熱中症リスクを下げましょう。」(三宅康史先生)

子供の遊びや学びをあまりにハードにさせないように気を配ってあげることも、熱中症対策においては重要なのだ。

子供の暑さ対策や熱中症対策、親の熱中症リテラシーが子供の健康を守ると心得て、親子でしっかりと熱中症対策を行おう。

スポーツドリンク

効率のよい水分補給には水分だけでなく、塩分と糖分が含まれていることが重要。水分が小腸から吸収されるために塩分(ナトリウム)と糖分(ブドウ糖)が必要だからだ。スポーツドリンクには水分とミネラル(ナトリウム)のほか、糖分が含まれている。

日本コカ・コーラ「アクエリアス」

たとえば手に入りやすい「アクエリアス」だと、アミノ酸(BCAA、アルギニン)、クエン酸、など身体を動かすときに大切な栄養素も含まれているものが多く、スポーツや勉強時に、万全のコンディションと前向きなマインドを取り戻す手助けをしてくれる。汗を大量にかく元気いっぱいな子供たちの水分補給にもってこいだ。

ノンカフェインのお茶

調査でも学校で2番目にラインクインしていた麦茶だが、ミネラルが微量に含まれていることもあるが重要なのは「ノンカフェインである」というポイントだ。子供にカフェインを摂らせることはおすすめできないのは当然だが、緑茶などはじつはカフェインを含むことが多い。

カフェインには利尿作用があり、水分が尿として排出されやすくなってしまうので、カフェインレスな麦茶は熱中症対策にふさわしいのだ。

アサヒ 十六茶麦茶

今年新発売の十六茶シリーズの麦茶。ハトムギ、とうもろこし、ハブ茶、発芽大麦、玄米、たんぽぽの根、あわ、きび、小豆など、身体に優しい成分が入っているのも嬉しい。

取材協力

公益財団法人日本学校保健会 専務理事
弓倉医院 院長
弓倉 整先生

専門は循環器内科。


帝京大学医学部附属病院
高度救命救急センター センター長
帝京大学医学部救急医学講座 教授
三宅 康史教授

1985年 東京医科歯科大学医学部卒業 同年 東京大学医学部附属病院救急部入局、その後 公立昭和病院 脳外科、外科、救急部(ICU)、昭和大学医学部救急医学講座/救命救急センター、さいたま赤十字病院救命救急センターを経て、2003年より昭和大学医学部救急医学講座 准教授、2012年 同 教授、2016年より現職。

DATA

アサヒ 十六茶 

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