食事に1時間かかる3歳児に、てぃ先生オススメの「ルールの決め方&守り方」って?

食事に1時間かかる3歳児に、てぃ先生オススメの「ルールの決め方&守り方」って?
SNSで大人気の現役保育士・てぃ先生が、FQKids読者の悩みに答える連載企画。今回は「3歳の娘の食事介助に朝から1時間かかる……」と悩む親御さんのお話です。

《今回の相談内容》

3歳の娘が、食事介助に1時間かかります。好きなものだけ自分で食べ、あとは私の膝の上でアーンして欲しいと言って聞きません。それもお気に入りのパペットに会話させながら食べさせて欲しいと言い、朝からクタクタです。

1人で食べさせようとしても遊んでばかりで一向に進みません。ちなみに幼稚園ではちゃんと1人で食べているようです。家でも1人で短時間で食べて欲しいのですが、何か良いアドバイスをいただけないでしょうか。

(cocoさん・3歳女の子の親)

園ですごく頑張っているお子さん
家ではママには甘えたいもの

これから仕事、あるいは家事に今すぐにでも取りかかりたいと思っている忙しい朝、食事の介助に1時間もかかるのは大変ですね。いくら子供がかわいいからといっても、朝から時間と労力をお子さんに大幅に取られるのは困ってしまいますよね。

お子さんは園では1人でちゃんと食べられているわけですが、もしかしたらそこでは頑張って食べている可能性もありますよね。

園で一生懸命頑張っているお子さんは、お家では親に甘えたいのでしょう。親は「ありのままの自分」を素直に出せる安心できる存在です。だから、お父さんお母さんに「やって」とお願いするのかもしれませんね。

とはいえ、そろそろ何かしらのバランスを整えた方が良い時かもしれません。

子育てには食事の介助だけでなく、食事の準備から後片付け、洗濯、掃除、送迎など、やることがたくさんあります。食事のことに多くの時間がかかると、その他のことも余裕がなくなります。

子供と一緒にルールづくり
時間を区切ってお片付け

まずした方が良いのは(すると良いのは)、「何分までに食べ終わろうね」などと、お子さんと一緒に時間のルールを決めることです。

やはり、子供の食事に1時間はやや長すぎると思います。大人でも1時間も食事に時間をかけたら、集中力はもたないものです。まずは、ご相談にあったパペットと食べる時間を減らすことから始めてみませんか?

いきなりパペットを辞めるのではなく、最初はパペットの時間を「15分」などと決めましょう。そのあとから、10分、5分と徐々に減らしていくのもいいでしょう。ここで大切なのは、「お子さんと一緒にルールを決める」ということです。一緒に決めることで、「約束」という概念が生まれ、「約束を守ろう」という意識が芽生えます。

さらに食事の時間を決められれば、親子ともに時間に余裕ができ、「時間通りに食べたあとは一緒に遊べる」と思えれば、精神的にも安定するかもしれません。

子供がたとえ泣いても
揺るがない気持ちでルールを守る

「一緒に決めたルール」は、やはり守らなければいけません。「パペット時間を5分と決めたらその時間を守る」。ルールを守るためには、子供には時間が可視化できる「砂時計」などがおすすめです。「この砂が、下に落ちるまでに食べようね」と、目に見える形で時間の経過を実感できます。

しかし、おふざけなどをしてルールを守らない時もあるかもしれません。そんな時は食器を下げて、ご飯を終わりにしましょう。もし泣いたとしても「一緒にお約束決めたもんね」と伝えて、子供との約束を守った方が良いです。ここで親が、子供が泣いたからかわいそう、とルールを破るのは禁物です。

あとからお子さんが、「お腹すいた」「おやつを食べたい」と言っても、たまごボーロやお煎餅をあげるのは避けましょう。おやつをあげてしまうと、子供はもらえるものだと学習し、次からもルールを守らなくなってしまうからです。

このように食事や排せつ、睡眠といった生活の基盤となる部分は、親が揺らいでしまうと変な習慣がつき、あとからもっと手を焼くことになりかねません。これら3つについては特にブレることなく、基本姿勢を伝えていくべきだと思っています。

食事・排せつ・睡眠
生活の基礎をおろそかにしない

食事、排せつ、睡眠などの生活の基礎となる部分は、できるだけ揺らがないようルール化しましょうというのは、のちのち親御さん自身がもっと大変になってしまうからです。ただ、あくまでも「できるだけ」というのでOKです!

例えば大晦日など、「じゃあ今日はちょっとだけ夜更かししてもいいよ」と親に言われた経験はありませんか? そうすると、その日をきっかけに夜更かしが習慣になる可能性があり、今度はその負担が親にのしかかってくるのです。

食事の時にしか子供に甘えてもらう機会がないわけではありません。それ以外の場面でもお子さんに甘えてもらうシーンはたくさんあります。お風呂に一緒に入る時や寝る前の絵本の読み聞かせなど、いくらでもありますよね。

親が精神的な余裕を保つためには、物理的(時間)に余裕を持つことも大切です。そのうえで親自身の時間を保つためなら、週1~2回食事に時間をかけないという手もあります。素うどんやお惣菜でもいいんです。子供って案外そういうものが好きですしね。

子供との時間を楽しく過ごすためにも、何もかも頑張りすぎず、少しだけ生活の基礎を整えるだけで親子共にストレスを減らせると思いますよ。

プロフィール

てぃ先生
関東の保育園に勤める保育士。名前の読み方は「T」先生。Twitterフォロワー数は50万人、YouTubeチャンネル登録者は20万人を超える。著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)は15万部を超える大人気作に。近著の『てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』は自身初となる育児本であり、こちらもベストセラーとなっている。現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子供への向き合い方などを発信中!

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文:脇谷美佳子

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