【STEAM教育】幼児でも数学的遊びが家庭でできる!? 注目の数理的思考を育むコツ

【STEAM教育】幼児でも数学的遊びが家庭でできる!? 注目の数理的思考を育むコツ
理系への注目が高まる昨今、STEAM教育の現場ではどんな授業やワークショップが行われているのだろう。steAm, Inc.の代表&数学の専門家に詳しく伺った。おうちでできる幼児向けの楽しい実践法も必見だ。

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万人にとって必要な
数理的思考を養う

苦手な科目として挙げられることも多く、「将来、役に立つの?」と言われてしまいがちな数学や算数。しかし、「世界的にはAIの台頭もあり、数学が大事だという流れになっています」と、steAm,Inc.代表の中島さんは話す。

「○×がある計算というよりも、なぜこうなるのかという構造を考えるのが数学の本質です。物事の本質を見いだし、その性質を解明する学問で、いわば哲学に近い。最近は、『Computational skills』(=計算論的思考、数理的思考)という言葉が海外でもトレンドになっています。

これは、コンピュータを相手にコミュニケーションをする際、どういう風に伝えるべきか、から始まったもの。物事の本質を抽象化し、モデル化して考える数理的思考や感性も、実はとても大事です。これからは万人にとって大事なスキルになっていくでしょう」。

その入口として重要なのが、創造性を育むSTEAM教育だ。結び目理論・空間グラフ理論を専門とし、研究活動の傍ら、小中高生向けの数学ワークショップなど、数学の魅力を広く伝えるための活動を行う秀明大学&steAm,Inc.大山口菜都美先生は、こう話す。

「受験数学で数学が嫌いになってしまう子もいますが、数学は本来面白いもの。学校教育のプラスアルファとして、アート、デザイン、音楽、スポーツ、プログラミングなど他分野とかけあわせた“楽しい数学”を伝えていきたいと考えています。自分で描いたものが形になったり、ハンズオンで数学を学べると、子供たちは喜びます。座標平面の移動や図形の方程式だって、勉強だけよりも、楽しみながら手を動かしたほうが頭に入っていきますよ」。

数学者の秋山仁先生とともに行ったsteAm, Inc.のワークショップ「タイル製造機」。好きな形に切って平面を敷き詰める。

例えば、数学的なアイデアを用いて魅力的な作品を生み出してきた芸術家には、オランダの画家・エッシャーや作曲家のバッハなどが挙げられる。また、スポーツにおける試合の戦略も数学的思考が核となるなど、実は、世の中の様々なシーンに浸透している数学は、他分野と組み合わせて学習することで楽しさや親しみやすさが増すというわけだ。

なかには、幼児でも取り組めるものも。例えば、ある法則の通りに型紙を切り、絵を描いて張り合わせていくワークショップでは、図形の方程式や対称性などについて触れることができる。背景に隠れている数学の理論はわからなくても、幼少の頃から遊びを通して数学的思考を実体験することの意義は大きい、と大山口先生。「楽しい」を入り口に、奥深い数学の世界をぜひ覗いてみたい。


steAm, Inc.のワークショップで刺激を受けた小学2年生の子供が、「アイビスペイント X」を用いて作った敷き詰め模様の作品。タイトルは「せかいの人となかよく」。作った敷き詰め模様をA4用紙に印刷して、レターセットや折り紙を作った。

おうちで実践!

同じ模様を縮尺変えずに平行移動して、オリジナルパターンを作る遊びをやってみよう。数学的には「平行移動」「対称性」を体験することができる。型紙を切ってつくることもできるが、無料お絵かきソフトでデジタルで遊ぶのもおすすめ

繰り返し模様をデジタルで作り、気に入らなかったら何度でも試行錯誤して作り直す。気に入ったパターンができたら、プリントしてレターセットにするのもおすすめだ。

“steAm, Inc.”とは?

研究者や芸術家、各界のスペシャリスト、教育者などが結集するSTEAM教育の専門チーム企業。1人ひとりの隠れた創造性を解き放ち、「様々な境界を超えた心躍る共創(協奏)」や「自然やAIとの豊かな共存」に満ちた、プレイフルな参加型社会を目指す。ワークショップや講演を多数開催。
HP:steam21.com

教えてくれた人

中島さち子さん
steAm, Inc.代表取締役。主に音楽・数学・STEAM教育・メディアアートなどの世界で、国内外にて多彩に活動。国際数学オリンピック金メダリスト。大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー。明治大学先端数理科学インスティテュート・東京理科大学研究員。経済産業省「未来の教室」実証/STEAMライブラリーに多数関わる。主な著書に『人生を変える「数学」そして「音楽」』『音楽から聴こえる数学』(講談社)、絵本『タイショウ星人のふしぎな絵』(絵:くすはらじゅんこ、文研出版)ほか。


大山口菜都美先生
steAm, Inc. Math & Knots Architect。秀明大学学校教師学部専任講師。東京大学 大学院情報学環客員研究員。日本数学会 男女共同参画社会推進委員長。お茶の水女子大学大学院 理学専攻数学コース修了。専門は結び目理論・空間グラフ理論。「女子中高生夏の学校」や「数理女子」にて、小中高生向けワークショップなど、子供たちに数学の魅力を広く伝える活動を行っている。

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文:曽田夕紀子
イラスト:岡本倫幸

FQ Kids VOL.07(2021年夏号)より転載

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