2020.02.22
2021.05.08
2022.01.11
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2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育。馴染みのない分野に戸惑う保護者も少なくなかっただろう。
自身が勤める小学校でいち早くICT教育を取り入れ、学校の垣根を越えてプログラミング教育とSTEAM教育のカリキュラム・教材開発にも携わる中原悟先生は、「プログラミング教育によって、子供たちの能力はさらに引き出されます」と話す。
「子供たちが自分たちで調べて実践していくので、知的好奇心、探究心、新しいことへの意欲をはじめ、子供たちの秘めた力が引き出される実感があります。教師を超えるような力もどんどん発揮していきますよ」。
小学5年生を対象に行なったAI探究学習の様子。今後は、身近な問題を解決するためにAIサービスを作るなど、AIを活用した課題解決学習も行う予定だという。
その言葉の響きから、技術習得をひたすら目指すものと捉えられがちなプログラミング教育だが、実は人間教育という視点でこそ、その効果が最も発揮されるという。例えば、小学6年生を対象にした、「二足歩行ロボットを作って動かす」という授業ではこんなエピソードも。
「単なるプログラミングやエンジニアリングの問題だけではなく、子供たちの興味が人間探求そのものになってくるんです。足が一歩一歩進むとはどういうことなのか、関節のこと、いろんな動物の歩き方、人類の二足歩行のルーツなど様々なことを調べ出して、プログラミングに反映させていくという。探求学習へと発展していきました」。
2021年2月に行った「ICTクラブ5年生 四足歩行プロジェクト」。
また、思考が可視化されるという点もプログラミング教育の長所だという。
「例えば、ロボットが動かなかった時にどこがおかしいのかをすぐに確かめることができる。すぐに直して目の前にあるロボットを動かしたり、それでも動かなかったらまたプログラミングを見直したり、自分の思考を即座に確かめることができるんです。自分の頭の中を客観的に整理して、どこがおかしいかを試行錯誤して見つけ出す。自分の思考が可視化されるため、論理的思考を身につけることができます」。
幼稚園年中組で開催したプログラミング体験教室。普段、初等教育で行っているロボットプログラミングと箱で作った車を連結させ、園児達も実際にロボットカーを動かすことができた。
そんなプログラミングの教育効果は、STEAM教育の1つとして発展させていくことで、さらに高まると中原先生は言う。
「音楽と算数とプログラミングをいっしょに学べる『Music Blocks』という学習ソフトの実証ワークショップでは、教科の枠を超えた有効性を感じ、子供たちと素晴らしい作品を作ることができました。教科と教科の枠を取り払って探求に引っ張っていくような推進力を持っているのがSTEAM教育なんですよね」。
小学3年生と共に行った「オリジナルロボットプロジェクト」。
ブロックの要素を含むロボットプログラミング教材など、幼児でも楽しめる教材もあるが、中原先生が何より重要と語るのは、「具体的に手を動かして組み立てる体験」だそう。
「まず絵を描いて、箱で工作をして、それをたっぷりやってください。子供の手と力にあったブロックはおすすめです。ものを作る経験が大切。小学校に入学したら、それをプログラミングして動かす。自分が作ったものを動かすと、子供たちはすごく感動しますよ」。
研究者や芸術家、各界のスペシャリスト、教育者などが結集するSTEAM教育の専門チーム企業。1人ひとりの隠れた創造性を解き放ち、「様々な境界を超えた心躍る共創(協奏)」や「自然やAIとの豊かな共存」に満ちた、プレイフルな参加型社会を目指す。ワークショップや講演を多数開催。
HP:steam21.com
中原悟先生
steAm, Inc. Playful Teacher Architect。加藤学園暁秀初等学校総務部長・ICTコンピュータ専科教諭・ICTクラブ顧問。2018年ICTコンピュータ専科として学内にロボット研究室を設立。“Learning by Making”の手法と1人1 台のロボットプログラミング機材を活用し、子供たちの創造性を涵養するCreative Leaningを実践している。2019年経済産業省「未来の教室」実証事業MusicBlocks第2期教員メンター。提携校での主任なども務め、子供たちの発たち段階に適したプログラミング教育とSTEAM教育のカリキュラム・教材開発に携わる。
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文:曽田夕紀子
イラスト:岡本倫幸
FQ Kids VOL.07(2021年夏号)より転載
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