2020.08.21
2024.02.21
2022.10.09
スポーツは、子供にとって体力づくりや身体能力向上などに有効である。そんなスポーツを、授業や学力テストでは測れない「非認知能力」の観点から見直してみたい。
一口にスポーツと言っても、野球やサッカー、ゴルフなどのメジャーな種目のほか、五輪などの影響で知られるようになった新しいスポーツもある。こうした数あるスポーツの中から、親子の絆を深めることができ、身体を動かす中で学びや気づきが得られるといった目的に沿って、具体的なスポーツの種目とともに期待できる効果を紹介したい。
国内外の最新教育事情に詳しいスタディサプリ教育AI研究所所長の小宮山利恵子さんに聞く。
――非認知能力アップには、どんなスポーツがおすすめですか?
小宮山さん(以下、小宮山):種目を問わず、あらゆるスポーツが有効です。例えばテニスにおいて、シングルスなら自ら全責任を負って、戦略を練り、劣勢でも諦めずにプレーする。ダブルスならパートナーと関わりながら攻守の役割分担をしながらプレーしていくわけです。
技術や体力を認知能力ととらえるならば、非認知能力である集中・感情制御・協働といった社会情動的なスキルも、テニスにおいては重要であることがわかります。
『両利きの経営』という本に、成長し続ける企業とは、収益の柱となる事業と、新規開拓の事業、この2つが成り立つ企業だと示されています。これは「学び」にも通じると感じて、私は最近「両利きの学び」を提唱しています。
――教育の現場では現在、非認知能力はどのようにとらえられているのでしょうか?
小宮山:これまでの学校教育は、認知能力を高めること、つまり効率的に学ぶ「知の深化」がメインでした。GIGAスクールが始まり1人1台のPCが配布され個別習熟度別になると、算数・英語などの積み上げ型教科に関しては授業時間数が短縮できます。その分は総合学習をはじめとした、非認知能力の育みとなる「知の探索」にシフトしていくのではないでしょうか。
――学校でなく家庭のこととして、親子で取り組むのに良いスポーツはなんでしょうか?
小宮山:私がおすすめするスポーツはキャンプです。キャンプを通じて非認知能力のひとつエージェンシー(行為主体性)の育みが期待できるからです。キャンプを教育の軸のひとつにしようとする学校も出てきており、公立よりも私立の方が、その動きが顕著です。
――何から始めればいいかわからない読者へアドバイスをお願いします。
小宮山:パパ・ママはとにかく苦手意識を捨てて、なんでもやってみることです。子供は嫌になったら続きませんから、子供が少しでも興味を持ったらぜひ一緒にやってください。まずは親が率先してやってみるというのも一案です。その積み重ねで親子が楽しめるスポーツを見つけられればいいですね。
これを基本の考え方として、一歩進んだ話題としては、「スポーツにおいても、子供の能力を発掘・育成したり、モチベーションを向上させたりするためのメンタリングやコーチングの役割が重要になる」ということが言えます。
注1)兄弟・姉妹は除く
注2)運動・スポーツ:運動遊びも含む
出典:笹川スポーツ財団「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2017」
出典:笹川スポーツ財団「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2017」
小宮山利恵子さん
スタディサプリ教育AI研究所所長。国立大学法人東京学芸大学大学院准教授(教育AI研究プログラム)。早稲田大学大学院修了。国内外での教育・キャリア情報を鋭意発信中。
文:木村悦子
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