2021.11.22
2023.07.07
2024.05.24
「いのちをつなぐ学校by SARAYA」は、自然派洗剤等で知られるメーカーのサラヤが、創業70周年を機に2022年4月に開始した教育支援プロジェクトだ。
動画コンテンツや、サラヤ社員やNGO・NPO、企業の専門家による学校への出張授業などを通して、感染症から自らのいのちを守る衛生の知識や、気候変動・環境破壊といった地球全体のいのちを守る大切さなど、「いのちを未来につなぐための学び」を提供している。
1952年の創業時から、天然素材をもちいた商品づくりをコンセプトにさまざまな商品の開発・販売をおこなってきたサラヤ。中でも『ヤシノミ洗剤』は、環境にやさしい植物原料を使用した植物洗剤の先駆けとして誕生した、サラヤの主力ブランド商品だ。
ヤシ油とパーム核油(パーム油製造後の絞りカスに残る種子より採取した油)を原料として作られている『ヤシノミ洗剤』。
『ヤシノミ洗剤』の原料のひとつに使われている「パーム油」は、食用油やスナック菓子、化粧品や洗剤など世界で最も多く使われている植物油。一大生産地であるボルネオ島では、1990年代以降急速にプランテーション(大規模農園)が拡大し、過去半世紀の間に50%以上の森林が減少。環境問題や社会問題なども深刻化している。
この現実と向き合い、サラヤは2004年から森や野生動物の保全のための活動を行っている。
緑の回廊プロジェクト
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そんなサラヤによる「いのちをつなぐ学校by SARAYA」は、今年度の特別プログラムの1つとして、「いのちをつなぐ特別授業」を5月11日(土)に実施。東京会場(学校法人 新渡戸文化学園、東京都中野区)とオンライン配信に、中高生や保護者、教員ら、合計219名(会場60名、オンライン159名)が参加した。
特別授業では、「いのちをつなぐ学校by SARAYA」の“校長”を務めるフクオカハカセこと、日本を代表する生物学者・福岡伸一氏が登壇。少年時代から持っていた「生命への探究心」について話し、「本を読んだり、人に聞いたり、回り道をしながら探究することで、新たな学びにつながる」と、学生たちに助言した。
さらに、生物学者として新しい遺伝子(GP2)を発見したこと、マウスを使った実験を膨大な時間と費用をかけて行った結果、生命は「(細胞を)作るよりも、壊すことが優先で、変わらないために変わり続ける“動的平衡”」という考えにたどり着いた点などを解説。
生物学についての専門的な内容から、「センスオブワンダー」という感覚を持つ大切さまで、次世代を担う中高生にとって深い学びの機会となった。
「フクオカハカセと行くボルネオ学習ツアー」参加者募集!
そしてもう1つの特別プログラムとして、フクオカハカセと一緒にマレーシア・ボルネオ島で環境問題や生物多様性、生命について考える「フクオカハカセと行くボルネオ学習ツアー」が、2024年8月16日(金)~22日(木)に開催される。
●ボルネオ島でしか見ることのできない動物に出会えるロッカウィ野生動物園や、ボルネオゾウやオランウータンなどの希少な野生動物の保護施設を巡り、なぜ野生動物の保護施設が必要なのかを考え、生物多様性や森林保全の観点から生物の「いのち」について考える。
●パーム油(アブラヤシ)のプランテーション(農園)を見学し、現地農家との対話などを通じて、労働問題や人権問題などについても学ぶことで地球の「いのち」について探究する。
全旅程においてフクオカハカセが同行。参加者は直接質問をしたり、フィードバックをもらえたり、知識を増やすだけではない深い学びの機会となる「探究型の学習ツアー」となる。
また、ツアーの前後には、学びを深めるための勉強会を計3回実施予定。事前学習では、ボルネオの森林保全の現状や、身近なものに使われているパーム油についての知識などを学び、探究の問いやテーマを見つける。帰国後の事後勉強会では、ボルネオで見たり感じたりしたことを今後につなげていくプログラムを行う。
本ツアーに参加することができるのは、応募者の中から審査で決定した中学生・高校生6名! 特設サイト内の応募フォームから、応募期間中にボルネオ学習ツアーに参加したい理由や意気込み(A4用紙1枚、形式自由)と、「いのちをつなぐ学校」のウェブサイトや動画を見て学んだこと・感じたことを作文(800字以内、PDF形式)にし、送信して応募完了だ。
応募締切は2024年6月10日(月)23時59分まで。ボルネオ島での貴重な体験から、環境・社会の“SDGs最前線”を体感できる特別企画。開催概要と応募概要は、「いのちをつなぐ学校特設サイト」から確認できる。
大自然の宝庫ボルネオに、日本を代表する生物学者と行けることは、またとない体験のチャンスだ。地球環境に関心を持つ中高生は、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
福岡 伸一(ふくおか しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。青山学院大学教授。米国ロックフェラー大学客員研究者。サントリー学芸賞を受賞。『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)など、”生命とは何か”をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅』(小学館新書)、『迷走生活の方法』(文藝春秋)、訳書に『ドリトル先生航海記』(新潮文庫)、『ガラパゴス』(講談社)など多数。
文:FQ Kids編集部
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