2024.01.16
2020.06.25
2020.09.25
ヤマハ音楽教室が非認知能力を伸ばすと言われる理由は、どこにあるのだろうか?
「非認知能力は、大きく2つに分けることができると言われています。1つは自己に関わること。自己肯定感や自制心、自立心、自律心など、自分で自分を律する力や自分で自分を認められる力です。もう1つが、社会性に関わる心の性質。協調性や共感性、思いやりの気持ちなどです」
ヤマハ音楽教室は、1人1人の個性や創造力を伸ばす指導メソッドに加えて、グループレッスンも特長の1つ。仲間といっしょに呼吸を合わせてアンサンブルをしたり、友達の演奏を聴く機会もある。すると楽しいだけではなく、他者の演奏に触発されて、もっとがんばろうとか、上手になりたいなど向上心を持つようになる。
「上手になるためには、練習、つまり計画立案や目標設定が欠かせません。しかも音楽というのは、できた・できないが目に見えて歴然とわかるもの。つまり認知能力を伸ばすことも必要になるのです。不思議なもので、非認知能力は、認知能力と絡み合うように伸びていくものだと感じています。“スキルがスキルを生む”という状態ですね。改めてヤマハの音楽活動を鑑みるに、期せずして60年以上前から、これを実践しているんだなと。特に幼児にとって、無理のない形で、認知能力と非認知能力の両方を伸ばすことができるのだろうと思います」
ヤマハ音楽教室の長い歴史のなかで、何百万人と育っていった卒業生の多くが、「協調性を学んだ」「継続の大切さがわかった」などと話してくれるそうだ。なかでも北林さんが一番うれしいのが「レッスンがものすごく楽しかった!」「音楽が好きになった!」という声。
「合唱で歌う、カラオケで歌う、バンドや吹奏楽で演奏する、あるいは、聴衆として好きなアーティストのコンサートへ行くなど、音楽の楽しみ方は実に多様です。どんな形にせよ、子供たちには将来、音楽がいつも自分の心の中や隣にある、そんな豊かな人生を歩んでもらいたいと願っています」
「昨今は共働きの家族が増え、土日のクラスが大きな人気を呼んでいます。さらに、より広く子供たちに音楽を体験してもらいたいという思いから、2018年度より幼稚園・保育園向けのヤマハ音楽プログラムの開発がスタートしました」
それが「おと♪はぐ」だ。2020年春から、約20の保育園で先行展開している。コンセプトは「音楽を真ん中に置いたさまざまな活動を通して、非認知能力を育むことをお手伝いする」。プログラムの内容を一部、紹介したい。
「通常プログラムは、ヤマハ音楽教室の1歳から3歳までのクラスでよくやっている内容でもある、聴くこと(観賞)、リズムを取ること、歌うこと(歌唱)といった音楽体験。もうひとつは探究プログラムというのがあり、子供のできた・できないにとらわれず、仲間といっしょに試行錯誤しながら考えたり、答えのないものを導き出したりする活動を中心にしたものです」
具体的に言うと、例えば音のない映像に、紙コップやビニール袋、声などを使って自由に音をつける取り組みで、つくったものはグループごとに発表する。さらに5歳児になると、どっちの音楽が好き? どこが好き? なぜ好き? など子供たちに自分の意見を述べてもらい、みんなでディスカッションする。その内容は、文部科学省が推進する主体的・対話的で深い学びにつながる「アクティブラーニング」そのものだ。
「これは、正解を求めるための音楽活動ではありません。お互いを認め合い、主張する力を身につけます。『おと♪はぐ』では、このような非認知能力を育み、音楽を好きになってもらうことを何より大事にしています」
実際、子供たち一人一人がみな、目を輝かせて、音楽に夢中になる。
「プログラムをやっている最中の子供たちは、本当に楽しそうです。園の保育士さんからも、普段は見せないいきいきとした表情の子供たちにとても驚いた、と高く評価されています。その姿を見ると、子供は元来、音楽が大好きなんだなあと感じますね。このプログラムを通して、子供たちの音楽への興味の芽を育てたいですね」
ヤマハ音楽振興会 ヤマハ音楽研究所所長 北林夕里子さん
お茶の水女子大学文教育学部(音楽)卒業。同大学大学院人間文化研究科修了。ヤマハ音楽振興会音楽指導スタッフとしてこれまで教材制作、指導法研究、ヤマハ音楽教室講師採用~自己啓発支援、新規事業開発等に携わる。2019年12月よりヤマハ音楽研究所所長。
文:脇谷美佳子
撮影:内田大介
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