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第1回:医学博士に聞く! 脳や身体に良い影響をもたらす音楽の力
第2回:音楽系の習い事で得られる“幸福度”調査の結果とは?
AI化が進み、常に変化し続ける時代を生きる子供たちに必要な力として、話題となっている「非認知能力」。一般的には、自己抑制力やコミュニケーション力、主体性や向上心など、数値化できない能力のことを指し、子供たちが学び、成長し、生きる上での基礎となる力だ。
この非認知能力を伸ばす教育が模索されているが、なかでも60年以上前から続くヤマハ音楽教室の指導メソッドが、効果的に非認知能力を伸ばすのではないかと注目を集めている。
長年、教室で使用されている教材『ぷらいまりー』
画像左上:1972年(昭和47年)に発行された初代『ぷらいまりー』
画像右下:現在使用されている『ぷらいまりー』
ヤマハ株式会社の前身である日本楽器製造株式会社社長の川上源一氏は、約3ヶ月に及ぶ欧米視察を実施した際に、人々が音楽を身近に、心から楽しんでいることに強い感銘を受けたという。そのことがきっかけとなって1954年、現在のヤマハ音楽教室の前身となる教室が誕生した。
「ヤマハ音楽教室は、音楽を自由に楽しむことのできる人をつくる、という理想を掲げてスタートしました。それは今も変わらず『すべての人がもっている音楽性を育み、自ら音楽をつくり、演奏し、楽しむことの出来る能力を育て、その音楽の歓びを広くわかちあう』という理念となっています」
当時、個人のピアノ音楽教室の教育法は、理論と演奏を重視する指導スタイルが主だった。難解な楽譜を読み解いて演奏するというハードルの高さに、多くの子供たちが挫折した。実際、今でも個人ピアノ教室で多用されている指導法だ。
「理論と演奏だけではなく、さまざまな要素を通して子供が音楽に触れられるようにすれば、音楽を楽しみながら学び続けられるはず、という開設者の信念のもと、新たな音楽教育のメソッドの開発に取り組みました。それが①音楽を聴いて ②聴いたものを歌って ③歌ったものをその通りに弾いて ④弾いたものを最後に楽譜で読んで確認する、というプロセスです」
1961年頃のヤマハ音楽教室
ヤマハ音楽教室が大切にしているのが、生徒の身体的・精神的な発達段階に応じ、その時期にふさわしい教育を受けること=「適期教育」だ。
特に、音楽的聴感覚の発達する幼児期の指導方法では、「きく」ことを重視している。4、5歳の時期は、たくさんの音楽を体験することで、豊かな「音感」が育まれる。音感とは、ドレミ、拍子、リズム、強弱、調など、音楽を形づくるさまざまな要素を聴き取る力のこと。
楽しみながら音感を身につけることで、子供たちは“音楽で自分を表現する”ことへの意欲や興味をふくらませていく。これが、一番自然に音楽を自分の中に取り込める方法なのだそうだ。
「幼児期は、生きていく上で必要なことすべてを、大人の真似をしながら学んでいきます。言葉を覚える能力が一気に高まる時期でもあり、この本能的な模倣性を活用して、言葉を覚えるのと同じように音楽的な要素を学んでいくのです」
この動画を見てほしい。
「チャイム」という同じテーマを、子どもたちが各々のアレンジで演奏する様子は、圧巻の一言に尽きる。音楽と戯れているような様子は、まさにヤマハ音楽教室の理念を体現しているといえるだろう。
「オリジナルの演奏を、周囲に臆することなく主張できることは、とても素晴らしいことです。自分の好きなものを、みんなの前で表現する力があるのはすごいことですよね」
これを可能にしているのが、ヤマハ音楽教室の特長の1つ、「総合音楽教育」だ。鍵盤楽器を教具として、「きく」「うたう」「ひく」「よむ」「つくる」といった要素を総合的に学ぶ。
個人教室はピアノが「弾ける」ことを重視するところが多いが、ヤマハでは弾くための技術指導に偏ることなく、音楽を総合的に学ぶことを通して、子供たちの豊かな感性や創造性、表現力といった、いわゆる「非認知能力」につながる力を育む。
「モーツァルトやショパンなどの曲を弾くというのは、再現性です。もちろん、再現性を磨くのも大事なことですし、こういった曲を自分なりにどう表現するかにも、創造性が必要です。ただ、ヤマハ音楽教室で培われる創造性の特長は、また少し別のものになります」
例えば、テレビやネット、街中で流れる音楽など、楽譜がないものでもメロディが弾けて、そこに自分で伴奏をつけて、自分で「〇〇風」というアレンジを加えられるといった、より高いオリジナリティが求められる力が身につくのだという。
「それは、幼児期に聴く力を磨いたからこそできることです。その後、自分なりに音楽をつくり出す力が養われていきます。創造性や表現力を育むことを軸にしている教室、というのが、他の教室との一番の違いかなと思います。」
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