2024.05.10
2023.03.18
2024.11.29
私はクラスに通う保護者から「わが子の個性に合う幼稚園や小学校はありますか?」という進路相談を受けることがあります。
幼児期の選択肢は、認可保育園や私立・公立幼稚園以外にも、インターナショナル系、独自の幼児園などさまざまですが、実は小学校もさまざまな選択肢があります。
公立はもちろん、国立・私立小学校も視野に入れるのか、発達特性のある子の学校はあるのか、オルタナティブ教育の学校を選ぶのか……悩む方も多くいます。子どもの個性に合う学校が見つかったが通学圏内ではない場合は、教育移住という選択肢もあります。
しかし、移住後子どもの成長とともに、また適した場が変わってくることもあるでしょう。
そんなとき、私はいつも伝えています。親が先走りすぎて悩むのではなく、「子どもはどうしたいのか」を第一に優先させましょうと。5・6歳であれば、自分にとっての居心地良さはどこなのかを判断することはできます。
その選択が親からすると不安に思うこともあるかもしれません。でも親だって完璧な選択ができるかといえば、そうではありません。
「子ども自身に決めてもらう」。この方法が、たとえ失敗したとしても、後悔が一番少ないのです。だって学校に通うのは、親ではなく子どもですから。
教育環境はあまり変えない方が良いと思っている方も多いかもしれませんが、私はそう思いません。多様化が加速する社会の中で育つ子どもたちにとっては「学校教育の枠」が窮屈に感じる子も増えてきています。
実はわが家は、子ども3人全員が「不登校」を経験しました。でも今となれば、まさに三者三様な教育の選択をする機会になったとポジティブにとらえています。
自己表現が得意な長女は、テスト・制服・校則がない、自由教育を実践する中高一貫校に入学。中学卒業後は17歳で大学入学資格を取得し、心理学部に在籍中。
次女は小学5年生から学校の枠にはまらない「アンスクーリング」を実践しながら高卒認定に合格、現在大学受験を目指しています。
長男は、保育園が座学の多い教育で、彼に合わず元気がなくなってしまったため、外遊びの豊富なモンテッソーリ教育の園に転園。その後公立小学校に入学、コロナ渦中は自主休学も経て、現在中学1年生になりました。
時代は変化し、偏差値の高い大学を出て大企業に就職すれば一生安泰の時代は終わりました。勉強だけを頑張っても一生安泰でないのであれば、強みとなる才能=個才を伸ばし、自由で自分らしく生き抜く力を伸ばしてあげたいと願う親も増えてきたと感じます。
「ピボット」という言葉があります。日本語では「回転軸」ともいい、スタートアップ企業が成長を目指してさまざまな事業に取り組むことや、他事業へ転換することなどを指します。これからの子育てに必要なのは、まさにこのピボット的な発想ではないでしょうか。
わが家の3人も、その時その時に必要な教育をピボットしてきたことで、主体的に学び続ける楽しさを実感しています。
この連載のテーマは「子どものありのままの個性を肯定し、わが子を信頼できるようになるコツ」。今回が最終回となりますが、「教育を自由に選択する大切さ」を最後にお伝えできればと思います。これからの時代のパパ・ママの子育ての不安が、信頼へと少しずつ変わっていくことを願っています。
※全4回の連載予定でしたが、私新井の仕事の都合で今回が最終回となります。
新井美里
mamagaku(ママガク)学長/一般社団法人子育てデザイン総合研究所理事。自身の子育て経験をきっかけに、2013年、新しい子育て支援の場として「ママガク」を設立。これまで延べ4万組以上の親子に子育て講座を提供。また2018年からは、おうちではできない本気の遊びを通じて非認知能力を伸ばす「こどもリベラルアーツけんきゅうじょ」も開講。0歳から小学生対象に年間累計750回のクラスを担当している。他、講演会を多数実施。現在、夫と20歳、17歳、12歳の3人の子どもと埼玉県で暮らす。
こどもリベラルアーツけんきゅうじょの様子
FQ Kids VOL.20(2024年秋号)より転載
Sponsored by 一般社団法人 子育てデザイン総合研究所
編集部のオススメ記事
連載記事