2021.02.03
2022.10.29
2023.06.09
日頃、わが家の子どもたちは料理の作り方にそれほど興味を示しませんが、先日、(平野)レミさんが作った「椎茸のポタージュ」を食べた息子がボソッと「これ、どうやって作るの?」と聞いてきたことがありました。
それを知ったレミさんは涙を浮かべながら、「どうしてそんなことを言ってくれるの!」と大喜び。あまりにもすごい熱量で細かく教えようとしたので(笑)、結局息子は引いていましたが。
料理に関して子どもが興味を持ってくれたら嬉しいですが、他に好きなことがあればそれで全然いいですし、「一緒にできたらラッキーだな」「いつか“大切な人のためにご飯を作りたい”という気持ちが芽生えたらいいな」くらいに考えています。
でも何を食べるかは、自分をどう作っていくかに直結すること。だから子どもたちには食べることを大切にできるようになってほしいです。
「これだけあなたのことを思って毎日作って食べさせているんだから、伝わっているよね?」と無言の念力も送ってはいますが(笑)、まずは、近くにいる大人が食べるものについてきちんと考えていることが肝心だと思います。子どもは大人のことを見ているし、そこから何かしら感じ取っているはずです。
同時に、「ご飯を食べるって幸せなことだな」という感覚も持ってほしい。「ご飯を囲んでいるとあったかいな」と感じてもらえるような時間を無理なく共有して、子どもたちの心に残ってくれたらなと思います。
わが家は今年の4月から長女が中学生になり、次のステージへと進んでいます。どんどん大きくなっていく3人の子どもたちの姿を見ながら、数年後はどういう家族になっているんだろうと想像すると、一体どれだけのご飯を作ることになるんだ……と怖くなります(笑)。
ただ目の前のこの人たちを大事に大事にとしているうちに、気づいたらどこかにたどり着いているんだろうな、と。あまり先のことは計画的に考えず、日々を淡々と大事に生きていくのが、私には合っているような気がします。
子どもたちにはどんどん自分自身の人生を切り拓いていってほしいです。今はまだ、何をするにもパパやママの安心の範囲内でやっていますが、いずれはそこを超えていく時が来ます。
私たちが思わないような選択もしてほしいし、外の世界で自分の人生を見つけてもらいたい。なので、あまり子どもに興味を持ちすぎないように、干渉しすぎないように、と気をつけています。子どもではあっても、別人格。突き放す意味ではなく、あなたの人生だからご自由にどうぞ、という尊重する気持ちは忘れたくないなと思います。
国語算数理科社会ぜんぶが詰まっている食育は、学べることや伝えられることがたくさんあって、とても大切なことです。
けど、「やらなきゃいけないこと」とか「教えないとダメなこと」と考えるのではなくて、むしろ大人自身が「自分が考えるチャンス」と捉えて、もう一度食べ物と向き合う機会として面白がれるといいのかな、と思います。
私にとってはそれがすごく良かったし、何事もそうだと思いますが、子どもに「やってあげる」という気持ちを持つのではなく「一緒にやる」というスタンスの方が楽しいですよね。
もちろん子育てにおいて、親としては責任を取らないといけないことはあります。ただ、基本的には子どもは親とは別の人生。私たちだって「親をする」という初めての人生を生きているわけです。
全部のことを先導してあげる必要はなく、後ろから応援するような、伴走するような気持ちでいてあげたいです。子どもが転んでもじっと見守る、みたいに……それが一番難しいんですけどね。ついつい手を差し出してしまうし、走りやすいように道を整備してあげたくなるし、ジレンマは尽きません。そんな悩みながらの子育てを、これからも楽しみたいと思っています。
楽ありゃ苦もある地味ごはん。
和田明日香/著(主婦の友社)¥1,496(税込)
2021年4月に出版され、シリーズ累計30万部を突破している超人気レシピ本『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)の続編となる、3月3日リリースの新刊。
「本当に何回も作っている料理ほど、頭を使わずに作れて、食べれば“あぁこの味だ”ってホッとする。だから地味で代わり映えしないことは悪いことじゃないし、自分を取り戻すことだってできる」。(和田さん談/FQKids連載の取材にて)
家庭と仕事を“両立”させるのではなく、“両輪”で回していくための、和田さん流の楽しい知恵やアイデアが詰まった一冊。
和田明日香
料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM出演など、幅広く活動する。
文:志村江
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