2021.09.25
2020.04.15
2020.09.08
「地域社会や職場、学校、クラブ、サークル、家庭内など、あらゆるグループ内に存在するプレッシャーがあります。それは“同調圧力”※4です」。
何か意思決定を行う時に、少数派※5(マイノリティ)に対し、暗黙のうちに多数派の意見に強引に合わせなければいけないという無意識の圧力だ。多数派が常に正しいとは限らないことは、災害時での行動心理でも証明されている。多くの人が逃げ遅れてしまうのは、周囲に自分以外にも大勢いることで、みんなに合わせようとする多数派同調バイアス※6の心理が働くからだ。
では、ランドセル選びのように、もし親子で意見が食い違った場合、最終的にどう意思決定するのが好ましいのだろうか。
「選択肢のカードを子供自身に渡すことです。私がいつも保護者のみなさんにお伝えしていることですが、子供が子供自身で決められないことは、実は1つもありません。どんなに年齢が低いお子さんでも同じです」。
まだ小さいから正しい判断ができないだろう、というのは親の勝手な思い込み。派手な色を選ぶとあとで後悔するよ、と脅すのも、男の子ならこの色が好きだよね、と決め付けるのも、“らしさ”に縛られた親のエゴなのだ。
「幼いうちから自己決定させる。これがとても大切です。子供は自分の意思を尊重されることで、自己肯定感を高めていきます」。
選んだ色がどうだったかではなく、あなたが自分で選んだものなら何でもいいよと、子供の存在を丸ごと受け止める姿勢が必要だ。
「大人だって、どんなにリスク回避をしても、失敗はつきまといます。人は失敗しないと、選び方が上手にならないんですよね。だから子供のうちに、小さな失敗をたくさん経験しておくのがいいんです」。
親ができることは、“選択できる多様なカード”を用意すること。そのためには知識が必要であり、世の中の多様性を理解しなければならない。
「こんなカードがあるよ、あっちには別のカードもあるよ、と提示しながら、さあどうする? と、最終的には子供に決断を委ねます。ここで最も大事なのが、真っ白なカードも必ず用意しておくこと。これはあなた自身が自由に決められるカードだよ、と。そこにはもちろん、言いたくないことは言わなくてもいい、という意思の尊重も含みます」。
自らの意思で手札を選んで場に出すことは、子供にとって大きなチャレンジ。時には不安定だったり曖昧さを帯びることもあるが、子供の1つ1つの選択を尊重することが大切なのだ。
「私自身はカミングアウトするという決断をしましたが、社会的抑圧のもとで言えない立場の人たちのことも尊重しています。私は、カミングアウトによって隠し事がなくなり、ありのままの姿でいられる自分に信頼が増して、自己肯定感が高まりました。おかげで子供たちにはナルシスト扱いされますが(笑)」。
ナルシストの本来の意味は、「自分自身に気づくこと」。 “らしさ”を押し付けない子育てのためにも、まずは気づいて、行動に移すというステップが重要だ。
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