「できることを伸ばせばいい」子供の“好き”を応援するために親ができることとは?

「できることを伸ばせばいい」子供の“好き”を応援するために親ができることとは?
18歳で起業した髙梨智樹さんは、識字障害があり読み書きに困難がある。得意なことを仕事にできた経緯について、ご本人とお父様にお話を聞いた。

子供自身が好きなこと
やりたいことを応援する

智樹さんは2歳で周期性嘔吐症になり、小学校まで週の半分は病院で点滴を受ける生活が続いた。識字障害があると文字を見ることに体が拒否反応を示し、周期性嘔吐症などの不調を抱えることがあるらしい。しかし、2歳の子が字を読めないのは当然だし、就学後も読み書きが難しいのは、具合が悪くて学校に行けないからだと、本人も家族も思っていたそうだ。

そんな彼を父はできるだけ外に連れ出そうとした。「僕は体育会系で上の子は厳しく育てましたが、智樹は違うと感じていました。横になっている時間や家にいる時間が長かったので、週末で体調が良さそうなら、ヘリポートへ行こうとか、無線操縦を一緒にやろうとか、今できる好きなことをやらせたいと思っていました」という。

小学生の頃からPCを使いこなし、中学生の頃には海外から部品を個人輸入してドローンを自作していた。

そんな家族のサポートが、智樹さんを日本を代表するドローンパイロットに成長させる。

17歳で日本代表になり、ドバイで開催された世界大会World Drone Prix Dubaiに出場。

中学は特別支援学校へ進学し、担任のすすめで識字障害の診断を受け、神奈川県ではじめて合理的配慮を受けて受験のうえ高校進学。高校2年生の時にドローンの国内大会で優勝し、ドローンパイロットとして一躍有名になった。その腕を活かし、18歳でドローン空撮会社を起業することを思い立つ。

会社員でない生き方が
自分には合っていると気づく

智樹さんは「毎朝同じ時間に起きて通勤や通学をする自信がなかった。事務仕事も難しい。でも、ドローンはやりたいと思っていたので、いろいろな道を調べました。ドローン大会で出会う人に自営業や企業の社長さんなどが多かったのも刺激になりました」という。

16歳で初出場して以来、数々の大会で優勝や準優勝を獲得。ランキングも上位で、その実力が仕事にもつながっている。

息子の選択を父はどう思ったのか?「彼の人生なので、僕が決めることではない。彼には彼にしかできないことがあるので、彼がやりたいことを1番に考えたい。やりたいことをやるのが、彼には合うんじゃないかなと思いました」。

その上で家族としてどう応援できるかを考え、父は会社員を辞め智樹さんの仕事をサポートする道を選ぶ。撮影補助をはじめ、クライアントとの事務連絡などを担当する。今後、仲間を得て仕事が軌道にのり、役割を終えたら、別の道を考えればいいという。

TVドラマやCM、観光用PVの撮影をはじめ、橋の欄干の点検作業など空撮の需要は幅広い。講演活動も行う。

「子供は1人ひとり違う。向いている方向も違う。その子にあう方向を見つけ出すのも親の責任かな」と浩昭さん。現在、充実した生活を送る智樹さんからは「子供がやりたいこと、興味を持ったことはぜひやらせてほしい」と読者へメッセージをいただいた。親がやらせたいことでなく、本人がやりたいことを心から応援する。それが子供の将来につながる。

智樹さんのこれまで

2歳  周期性嘔吐症と診断、入退院を繰り返す
10歳 小学校は休みがちで学習に遅れる、担任は識字障害を疑うが、両親はまだ気がつかなかった
13歳 特別支援学校の中学校に進学
15歳 識字障害の診断を受ける
16歳 定時制高校へ進学、DO-IT Japanのプログラムに参加
17歳 ドローン全国優勝。世界大会へ
18歳 スカイジョブを起業

DATA


文字の読めないパイロット〜識字障害の僕がドローンと出会って飛び立つまで〜
髙梨智樹 著
¥1,300
イースト・プレス

PROFILE

髙梨智樹さん/浩昭さん
1998年神奈川県生まれ。小学校の頃から読み書きに遅れがあり、中学生で識字障害と診断を受ける。中学生の頃からドローンの世界にのめり込み2016年に国内優勝。世界大会に出場。18歳で父親とともにドローン操縦・空撮会社「スカイジョブ」を設立。


写真:渡邊眞朗、小野寺廣信 
文:江頭恵子

FQ Kids VOL.04(2020年秋号)より転載

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