【子育てコラム】「お受験は本当に必要?」自己肯定感を育てる教育

【子育てコラム】「お受験は本当に必要?」自己肯定感を育てる教育
“子供”と“教育”をキーワードにネット検索をすると、いわゆる「お受験教育」の保育園が無数にヒットする。子供たちに決められたレールを歩かせることが本当によいことなのだろうか。子供の未来を考えさせられる、藻谷浩介の「里山資本主義的子育て」コラム。

親の側にある
主体性がないという共通の問題

“子供”と“教育”をキーワードにネット検索をすると、いわゆる「お受験教育」の保育園が無数にヒットする。高いお金をかけてまで、そういった園に通わせる親は、何を願っているのだろうか?

「成績優秀な“勝ち組”に入れなければ、子供の将来は暗い」と、お受験産業に恐怖心を煽られている場合もあるだろう。裏返せば、「自分はそういう教育を受けられなかったので、暗い人生を送っている」と思っておられるのだろうか。あるいはそうではなく、「自分の人生がまずまず成功したのは、親の言うとおりにお受験したおかげだ」と考えている人もいるのだろう。

だがそのどちらにも、共通の問題がある。親の側に、自分自身への「セルフリスペクト」が足りないのではないかということだ。「世の流れに乗れなかったからうまくいかなかった」と思うのも、「世の流れに乗れたのでまあまあうまくいった」と思うのも、人生を世の流れに任せているのであって、そこには「道は自信をもって自分で切り開くものだ」という主体性がない。

なぜ主体性を持てないのか。各人には本来持っている、お受験などで無理に引き出さずとも出てくる力、どんな環境に置かれても変わらない個性というものがある。その力や個性に対する自覚と自己評価、つまり「セルフリスペクト」を得られていないことが、根底にあるのだ。

セルフリスペクトから生まれる
生きていくうえで本当に必要な力

そもそも生きていくうえで本当に必要な力とは、日本の試験で100点を取るテクニックとは無縁だ。例えば、日本国内の英語のテストで満点だとして、リアルな英会話ができる可能性は低い。

逆にテストの点数は悪くても、「自分は(日本のペーパーテストでの)英語の点が高い」などという役に立たないプライドを植え付けられなかったがゆえに、現場での失敗の場数を素直に踏んで、英会話ができるようになった人は幾らでもいる。ことほどさように、一人で紙に向かって点を取るテクニックなどというものは、実地では役には立たない。

必要なのは、困難にぶつかった時にも怯まない気持ちや、折れない心だ。そうした心は、自分が本来持っている、無理に引き出さずとも出てくる力に対する、セルフリスペクトから生まれる

そしてそのようなセルフリスペクトは、幼少時より自分で失敗し、その失敗を自分なりに考えて克服した経験を積み重ねてこそ培われる。手を引かれて赤絨毯の上を歩いてきたような人生からは、得られない価値だ。

自然保育で考える力を
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