必ずしも「早期教育が良い」とは限らない? 運動が得意な子に育つ“マルチスポーツ”が注目されるワケ

必ずしも「早期教育が良い」とは限らない? 運動が得意な子に育つ“マルチスポーツ”が注目されるワケ
「運動会で活躍してほしい」「運動が得意な子に育ってほしい」と考えるパパ&ママに、オリンピアンを育てるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さんが、正しい運動能力の身につけ方を教えてくれた。

早期教育がいいわけではない
英才教育の対極にある最新理論

「未就学のうちにスポーツを始めれば、将来有望なアスリートに育つのでは?」と考える方がいらっしゃいます。小さな頃から専門的に学び始める早期教育、いわゆる英才教育の効果を期待しているのでしょう。でも、ちょっと待ってください。近年のスポーツ界では、早期教育よりも、マルチスポーツの効果が注目されているのです。

早いうちに1つの運動に特化すれば、一定の効果を望める反面、多くの失敗や挫折を経験することになります。また、身体にも局所的に大きな負担がかかる心配があるのです。一方で、マルチスポーツ(複数スポーツ)を経験すれば、挑戦する心を育み、より多くの「出来た!」を体験できます。この成功体験の積み重ねが、運動好きを育てることが分かってきているのです。確かに早期教育が有利に働くスポーツは存在しますが、「運動が得意な子供に育ってほしい」と願うなら、私はマルチスポーツをおススメします。

成長段階に合わせて
楽しく適切な運動をしよう

我が子が運動する姿を見て「他の子は出来るのに、どうして我が子は出来ないの?」と感じたことはありませんか? でもそうした個人差はあって当たり前。月齢による成長の違いだけでなく、専門的には“生物学的年齢”と呼ばれる違いもあります。同じ年齢・月齢であっても、成長段階が異なるのが自然なのです。例えば同じ5歳児であっても、まだ4歳児の身体である子もいれば、既に6歳児の身体に成長している子供も存在するわけです。そう考えればパパ&ママは、誰かと比較しての出来る、出来ない、に注目すべきではありません。

大切なのは子供の成長段階を正しく把握して、その子に合った強度の運動をさせてあげること。適した強度の運動を楽しみながら経験すれば、運動能力は確実に高まります。一方で、高負荷な運動をさせてしまうと障害を負う危険性が高まります。子供の成長段階に応じて、適した強度の運動をさせてあげる。それが大切なのです。

マルチスポーツの組み合わせ方
そこに大事なポイントがある!

具体的には、どのように複数の運動を選べば良いのでしょうか? 将来的には、その選択は子供に任せるべきですが、小さいうちは親が選択肢を与えるのが一般的です。そこでここでは「将来、運動が得意になる組み合わせ」の考え方を2つご紹介します。

1つ目は「水と陸」の組み合わせです。水とは水泳のこと。水泳は全身運動であり、身体の特定箇所に負担が掛かることが少ない、というメリットがあります。ですから、水泳と、陸上で行う運動とを組み合わせると良いでしょう。もう1つは「左右対称と非対称」の組み合わせです。左右対称の運動には、水泳や体操、それに陸上競技(走る)などがあります。これらと、左右非対称の野球やサッカー、テニスなどを組み合わせると良いでしょう。テニスと野球のような、左右非対称スポーツの組み合わせは、利き腕の酷使につながりますので、低年齢児には細心の注意が必要です。

パパ&ママは子供のトレーナー!
子供を伸ばす関わり方とは?

子供は一人ひとり成長具合が異なります。また、どんな運動を好むか、その嗜好も様々です。放っておいても前向きに取り組む子供もいれば、最初は引っ込み思案でも、粘り強く身につけて行く子供もいます。そうした特性を認めてあげたうえで、それぞれの成長段階に適した運動をさせてあげる……それが保護者の役割です。パパ&ママは、いわば子供のトレーナーなのです。

私が見ているトップアスリートの保護者の多くは、「しっかり見ている。けれど余計なことは言わない」というタイプが、ほとんどです。保護者の熱心な指導は逆効果であることが多く、子供を運動嫌いにしてしまうことも少なくありません。適度に距離をおきながら、子供が前向きに運動に取り組めるよう、早寝早起きで生活のリズムを整えたり、栄養バランスのとれた食事を与える、といった生活面でのフォローもまた、保護者の重要な役割です。

子どもの運動Q&A

Q:子どもの運動へのモチベーションを継続させるには、どうしたらいいでしょうか?

A:達成感を感じさせてあげること、褒めてあげることが大切です。

Q:いつも体力測定の結果が悪いのですが、運動能力が低いのでしょうか?

A:体力測定の結果とスポーツの才能は必ずしも一致する訳ではありません。

Q:勉強をせずに外で遊んでばかりなのですが、大丈夫でしょうか?

A:運動や遊びで獲得できる脳への刺激もあります。

※保護者からの質問は、中野ジェームズ修一氏の著書より抜粋

『医師も薦める 子どもの運動』
子供の健康と運動能力の向上をテーマにした本書は、どのような運動が必要で、どのような運動をさせてはいけないのかを具体的に説明。保護者と子供が一緒に取り組める構成が特徴だ。最新のスポーツ科学のみならず医学の専門家の視点も交えてトレーニング、ストレッチなどが解説されている。

教えてくれた人

中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーション CLUB100 最高技術責任者/PTI 認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定運動生理学士 (ACSM/EP-C)
1971年、長野県生まれ。フィジカルを強化することで競技力向上やケガ予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。また、日本では数少ない、メンタルとフィジカルの両面を指導できるスポーツトレーナーとして、日本を代表するトップアスリートから一般の個人契約者まで、数多くのクライアントをもつ。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当しつつ、講演会なども全国で精力的に行っている。


文:川島礼二郎
写真:渡邊眞朗(中野ジェームズ修一さんプロフィール写真)

FQ Kids VOL.02(2020年春号)より転載

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