子どもの30年後の幸せのためにすべきことは? ウェルビーイングを1週間で高める方法

子どもの30年後の幸せのためにすべきことは? ウェルビーイングを1週間で高める方法
長続きする非地位財型の幸福こそが、子どもにとってのウェルビーイングにつながる。ウェルビーイングを高めるために、今できることを考えてみよう。

 

教えてくれた人

前野隆司先生

慶應義塾大学大学院SDM研究科教授、武蔵野大学ウェルビーイング学部長。幸福学、イノベーション教育、システムデザイン・マネジメント学などの研究に従事。

得意なことがたくさん
見つかる学びを目指す

「地位財型社会」から「非地位財型社会」へと変化した現代では、学歴は幸福度を測るパラメーターから既に外れつつある。変動が激しく、先が見えない現代社会で幸せになるためには、個々の「生きる力」が必要となる。

だからこそ、ウェルビーイングを高めるための学びが重要視されているのだ。

単に成績が良くなることを目指す学びは、地位財型の学び。「100点を取ること」「1番を取ること」といった、人と比較することで得られる幸福は長続きしない。

ウェルビーイングを高める学びには、「自分自身の良さ」を伸ばすことが重要となる。そのためには、苦手な科目を平均に近づけるよりも、得意科目を伸ばして個性を磨く教育が必要だ。「これからは多様な良さを伸ばして、個性をとがらせる時代です」と前野先生。

また家庭でも、子どもの主体性を尊重し、得意なことを伸ばす子育てがウェルビーイングにつながる。「今後どんなに時代が変化しても、主体性がある人は幸せに過ごせます。子どものやりたい事を見付け、主体的に過ごす時間を大切にしてください」。

子どもが伸びるポイントは
「伸びると信じること」

アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが行った実験では、無作為に選んだ生徒のリストを「これから成績が伸びる生徒だ」と教師に見せ、教師が期待を込めて接した結果、実際にその生徒たちの成績が伸びたという。これは「ピグマリオン効果」と呼ばれる。

「親が子どものためにできるのは、子どもを信じて、十分な栄養を与え、のびのびと過ごさせること。また、短期的な結果に左右されず、“この子は伸びる子だ”と長い目で見て信じ続けてあげることが大切です」。

子どものウェルビーイングを
1週間で高める方法

まず親が日頃の姿勢を変える
親が子どもへの態度を1週間変えるだけで、子どもはよい方向へと変化する。といっても、やるべきなのはとても基本的なこと。まずは子どもに対して感情的にならず、叱る時は冷静に伝えること。また日々の挨拶をきちんと交わして、笑顔で接すること。

子どものウェルビーイングを高めるには、家庭が安心できる場所であることが大きなポイント。家族が仲良く過ごすことが、子どもの自信と安心感を育てるのだ。

親子できちんと挨拶する
笑顔で接する
感情的に叱らず、冷静に伝える
夫婦、家族で仲良く過ごす

1週間トライして、子どもの変化を見てみよう。そして「いい学校」「いい会社」に入ることではなく、「わが子が40歳になった時に幸せになれるか?」を考えて行動しよう。

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文:藤城明子

FQ Kids VOL.18(2024年春号)より転載

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