「豊かなお金の使い方」ができる子を育てる! 幸せのためのお金の教育、8つのポイント

「豊かなお金の使い方」ができる子を育てる! 幸せのためのお金の教育、8つのポイント
お金があれば幸せになれるわけではないが、「お金に幸せになるためのお手伝いをしてもらうこと」はできるという。『NOLTYキッズワークブック お金を大切にできる8つのミッション』監修者の八木陽子先生に、幸せのためのお金の教育について聞いた。

<目次>
1.自分がどこにお金を使いたいか価値基軸をしっかり持つ
2.「いいお金だったね」と思える稼ぎ方・使い方を
3.「周りがどうなるか」という視点も持つ
4.幸せのためのお金の教育8つのポイント
 STEP 1 「 お金ってなんだろう?」を考える
 STEP 2 上手にお金を使う準備をする
 STEP 3 実際にお金を使ってみる

 

自分がどこにお金を使いたいか
価値基軸をしっかり持つ

子どもたちは単純に「お金持ちになりたい」「お金がたくさん欲しい」などと考えがち。だが、お金があるかどうかは、必ずしも幸せとイコールではない。金融教育とキャリア教育の専門家として活動する八木陽子先生は、「人に振り回されないで自分が納得したお金の使い方ができていると、幸せなお金との付き合い方ができる」と語る。

「まずは、自分はどこにお金を使いたいか、という価値基軸をしっかり持つことが大切です。子どもはよく、友達が持っているからゲームが欲しい……となりがちですが、人に振り回されないで、『本当に欲しいものなのか、それがあると幸せになれるか』を一緒に考えてみてください。

親も、家、車、海外旅行、学費など、さまざまなお金の使い道がありますが、自分が『どれを選ぶと幸せなのか』を考えることが大切です。その習慣をつけることで、自分が本当に大切にしたいものだけに囲まれた幸せな暮らしができるのではないでしょうか」と八木先生は語る。

「周りがどうなるか」
という視点も持つ

次に考えたいのが、「豊かなお金の使い方」だ。先ほどの、自分なりの価値基軸を持つことに加えて、お金で自分だけが幸せになるのではなく、「周りがどうなるか」という視点も持つことが重要だという。

「まずは、おじいちゃんおばあちゃんのためにお小遣いを使ってプレゼントをしたり、募金をしたりと、『自分以外の誰かのために使ってみる』のが第一歩です」と八木先生。高学年になったらさらに視野を広げ、「応援したいと思える会社にお金を支払う」、という考え方もあることを伝えてほしいという。

例えば、欲しいものがあっても、そのメーカーがいわゆるブラック企業だったら「応援したい」と思えるだろうか。「自分が支払うお金は、回り回って世の中を良くすることにつなげることもできる、ということを子どもにぜひ伝えてほしいですね」。

「いいお金だったね」と思える
稼ぎ方・使い方を

そもそも、お金とはどういうものなのだろうか。お金で人の幸せをお手伝いすることもできれば、賄賂などの悪いお金の使い方や、人のお金を奪うような稼ぎ方もできる。

「お金自体にいいも悪いもなく、『いいお金』にできるかどうかは自分次第。例えば心からの感謝と共に支払われるお金など、『いいお金だったね、幸せなお金だったね』と思える稼ぎ方・使い方をしようと教えてあげてください」と八木先生はにっこり。

お金には色がないと言われるが、使い方次第でウェルビーイングな暮らしと社会を支えることができる。将来『いいお金』を使えるようになるために、子どもたちへの伝え方はとても重要だ。

幸せのためのお金の教育
8つのポイント

STEP 1 親子でやってみよう!
「 お金ってなんだろう?」を考える

POINT 1
「なぜお金が手に入るのか」を伝える

キャッシュレス時代、子どもたちは現金を見る機会が少なくなっている。まずは、お金はそもそも、パパ・ママががんばって働いてもらっているものであること。そして、お金をもらえるのは、その仕事が誰かの役に立ち、「ありがとうと感謝をされているからなんだよ」、ということを伝えよう。

お金=感謝という考え方の基本を伝えることが、幸せのためのお金の教育の第一歩となる。

POINT 2
「お金を使って、感謝する」体験をする

お金の考え方に「ニーズ&ウォンツ」がある。ニーズは必要なもの、ウォンツは欲しいもの。要は、あれもこれも買うのではなく、本当に自分が必要かどうかを立ち止まって考えてみよう、ということだ。

本当に必要なものを購入すれば、お金を払って相手に感謝する気持ちが自然に出てくるはず。お互いに「ありがとう」を言い合えるのが幸せなお金の使い方だと体験しよう。

STEP 2 上手にお金を使う準備をする

POINT 3
身近な「目に見えるもの」の値段を知る

スーパーやコンビニの支払いはキャッシュレス、衣類・雑貨はネット通販で届くことも多い生活だと、子どもは物の値段を覚える機会が少ない。そこで、お金を使う前に、普段使っている生活雑貨や服など、身近な物の値段を親子で調べてみよう

買い物になるべく一緒に行くのもおすすめ。商品代金だけでなく、電車代やバス代など、移動の際の乗り物にかかっているお金も確認してみよう。

POINT 4
身の周りにある「目に見えないもの」の値段を知る

「見えるもの」の値段がわかったら、次は「見えないもの」の値段。光熱費や家賃はどれぐらいかかっているのか。また「税金」について教え、「それが道路や図書館の本、学校などに使われている」という社会の仕組みも伝えたい。

さらに、レストランなどのサービスの値段についても考えてみたい。「コーヒーでも、コンビニとレストランで値段が違うのはなんでだと思う?」などと問いかけてみよう。

POINT 5
同じモノ・サービスでも
値段が変わることを知る

同じ遊園地でも、平日と週末で利用料金が違う。それはどうしてかを考えることは、「需要と供給」のことを理解し、「売る」側の視点を考えることにつながる。

例えば、どんどん新しいキャラクターやバージョンが出るおもちゃは、なぜそうなのかといったことも、一緒に考えられたら理解が深まるはずだ。値段の仕組みを知っておくことは、サービスや商品を納得して選択することにつながる。

POINT 6
目的や価値観によって、
値段が変わることを知る

賢い買い物というと、「安いものを探して買う」ことだと考えられがち。だが、値段は高いけれど肌に優しい商品を選ぶ人もいるし、エコ製品やフェアトレード商品など、環境や社会にとって良いものを選ぶ人もいる。「自分は何を大切にして買いたいか」を子どもと一緒に考えよう。値段の背景にある目的や価値観を踏まえて選ぶことが、「豊かなお金の使い方」につながっていく。

STEP 3 実際にお金を使ってみる

POINT 7
お金を使う前に計画を立てる

子どもがお金を使う練習をするには、お小遣いをあげるのがおすすめ。あげる前には、子どもと一緒に「お小遣い契約書」を作るのがポイントだ。金額や頻度はもちろん、「貸し借りはしない」など、使い方のルールなども話し合って紙に書いておくとよい。

次に、お金を使う計画を立てよう。このとき、「自分のために使うお金」「誰かのために使うお金」「貯金するお金」の3つに分けて考えると、幸せなお金の使い方の練習になる。

POINT 8
お金の使い方を見える化する

実際にお金を使ったら、お小遣い帳をつけて、お金の使い道を見える化しよう。多少収支が合わなくても1ヶ月ごとにリセットすることで、まずは続けやすくするのがポイントだ。

とにかく記録し、可視化を続けていくことで、「収入内で欲しいものを考えないといけない」「時々ハプニングが起こるから少し貯金が必要」など、体験を通してお金の使い方が身についていくはず。

教えて八木先生!

幸せのためのお金の教育、いつから? いつまでに?

幼児のうちは、まずはお買い物に連れて行って現金で払うところを見せるなど、できることから始めてみましょう。1~3年生になったら、8つのポイントを少しずつ伝えていくのがおすすめ。高学年からでも遅くありません。できれば本格的にお小遣いをあげ始める前までに取り組んでおけるといいですね。

CHECK!
「幸せ」のためのお金の教育を「8つのミッション」で学べるワークブック

NOLTYキッズワークブック
お金を大切にできる8つのミッション

今回ご紹介したポイントを、「8つのミッション」として楽しく取り組みながらお金について学べる本。「地球に優しいマークがついている商品を探し出せ!」など、具体的なミッションをクリアしていくうちに、8つのポイントをしっかり身につけられる。

イラストや漫画入りで親しみやすく、ミッションをクリアしたらシールを貼れるのも嬉しい。この1冊でお金の教育がばっちりできるのが魅力だ。

お金の歴史や知識、お金の役割なども楽しく紹介。

ミッションを解く度にお金の知識が深まる仕掛けに。

八木先生こだわりのお小遣い帳。シンプルで小学生でも続けやすいが、お金に関する基本的な行動をしっかり可視化できる。

細かい計算が苦手な小学生でも、無理なく続けやすいお小遣い帳。

教えてくれた人

ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタント
八木 陽子さん

2005年から「キッズ・マネー・ステーション」を主宰し、金融教育とキャリア教育の専門家として活動。2017年より文部科学省検定の高等学校の家庭科の教科書に、ファイナンシャルプランナーとして初めて掲載される。著書・監修本に「10歳から知っておきたいお金の心得」「投資の心得」(えほんの杜)「マンガでカンタン!お金と経済の基本は7日間でわかります。」(Gakken)など多数。

問/日本能率協会マネジメントセンター

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文:笹間聖子
協力:日本能率協会マネジメントセンター

FQ Kids VOL.18(2024年春号)より転載

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