2024.03.28
2023.07.13
2022.09.27
>>関連記事【子供へのお金の教育、いつ・何を・どうやって伝える? 専門家が推す3つのポイント】
「お金の教育」と聞くと、どうしても難しいイメージがつきまとう。お金の仕組みや価値を教えることに、苦手意識を持つ人も少なくないだろう。
「親御さんと話をすると、『きちんとお金の教育ができていない』と答える方が多くいらっしゃいます。『お金の教育』というと、熱心に教えなければと身構え、ハードルを高く捉えがちです。
でも、難しく考えることはありません。毎日の買い物も、お小遣いを貯金箱に貯めることも、日常にあるさまざまなことがお金の教育につながっているのです。まずは、親子でお金について楽しく話をしてみること。お金の知識が少しずつ身につき、社会で生き抜く力が育まれます」。
日常生活ですぐできる
6つの実践方法
誰でも楽しく「お金の教育」に触れられるのが、お店屋さんごっこやお買い物ごっこ。お金について学ぶスタートに、最適な遊びだと横川さんは言う。
「幅広い年齢で楽しむことができるのが、『ごっこ遊び』です。オモチャのお金やレジスター、ままごとセットなどを使い、親御さんも一緒に遊びましょう。これらの遊びを通して、品物を選んで買う、物を売る、という仕組みを少しずつ理解できるようになります。
また、オモチャの硬貨や紙幣で遊ぶことで、お金の価値や数え方も少しずつ身につけることができます。おうちで遊んだ後は、スーパーやコンビニで実際に買い物をしてみるのもおすすめです」。
リアルなお店屋さんごっこを
していた時期もありました
「小学生になると、家族相手に、少し本格的な遊びを始めました。本屋さんになって漫画や本を貸したり、お茶を淹れて販売する真似ごとをしたり、値段をつけて遊んでいました。売る側としてお金の仕組みを知る機会になりました」。
子供たちに人気のゲームの中には、お金の教育に役立つものもあるという。
「お金の価値観を学ぶことができるゲームもあります。例えば、『あつまれどうぶつの森』は、バーチャルでお金を稼いだり、増やしたり、使ったりする機能があり、お金に親近感がわきます。教えるのが難しい『投資』についても、ゲームを通して知ることができます」。
ゲームを活用したお金の教育を進めるコツは、親子で楽しむこと。
「ゲームはつい1人で遊んでしまいがちですが、親御さんも一緒に楽しむことをおすすめします。画面をのぞきながら、『現実ではこうだよ』とエピソードを交えながら話をすると、お金の仕組みがリアルに感じられます」。
お金教育におすすめなのは
堅実な要素のあるゲーム
「お金が関わるゲームは多々ありますが、運の要素が強いものは、お金教育にはあまり向きません。コツコツお金を貯めていくなど、堅実な要素のあるものがおすすめ。『あつまれどうぶつの森』など、楽しみながらお金の仕組みが学べるゲームを選びましょう」。
お金の基礎知識を学べる教育ボードゲーム
「キャッシュフロー・フォー・キッズ」
ベストセラー本「金持ち父さん 貧乏父さん」シリーズの著者である、ロバート・キヨサキ氏考案のボードゲーム。「金融・財務・投資」を楽しく学ぶことができる。家族みんなで遊びながらお金のことを話す機会にも。
対象年齢:6歳~。¥10,780(税込)/マイクロマガジン社
「いつ何にいくら使ったか」を、お小遣い帳につけることは、お金を管理して計画的に使う習慣作りに役に立つ。
「もらったお金を、使ったり貯めたりする時に、セットで考えてもらいたいのが、『記録する』ことです。自分のお金を管理しながら、欲しいものを買うためにいくら貯めればいいかなど、計画的なやりくりが身につきます。
大人になると家計簿などをつけるのが面倒になる人もいますが、子供のうちは楽しみながらできるはず。記録することを通して、使えるお金が限られていることをきちんと認識でき、本当に欲しいものが明確になります。お小遣い帳で自分のお金を管理しながら欲しいものを手に入れる。小さな成功体験にもつながります」。
『小学生のこづかいちょう 2022年版』
「入金」「出金」「今あるお金」を書き込み、月ごとのお金の使い方を認識することができる。「よさん」のページでは、何にどれくらい使うかを考えて実践する体験も。
¥275(税込)/婦人之友社
子供の頃、もらったお金を貯金箱に貯めていたことはないだろうか。この“貯金箱”も、お金の教育につながる手軽なツールだ。
「お小遣いやお駄賃をもらうようになったら、専用の貯金箱を用意してお金を管理する機会を作りましょう。もらったお金を自分で貯金箱に入れていくことで、お金への興味が芽生えます。『この中でやりくりをしていこうね』と、親も一緒に使い道を考えてあげると、やりくりをする思考が身につきます。
貯金箱は、まさに『家庭内銀行』。おうちで貯金の意味を少しずつ感じさせてあげるのにぴったりです。貯金箱がいっぱいになったら、銀行などの金融機関に行きお金を預ける体験も」。
途中で開けることができ
数えられるものを
「貯金箱は、子供が好きなもの、愛着を持てるものがおすすめです。市販の貯金箱はもちろん、お菓子の缶や瓶などでもOK。透明で中身が見えるものや開けやすいものなど、どれくらい貯まっているかをすぐに確認できるものがいいですね」。
買い物ごっこやゲームだけではなく、リアルな買い物体験も、お金について学ぶ絶好のチャンスとなる。
「買い物に連れて行き、物を選んでかごに入れ、お金を払って買う流れを見せましょう。お金の価値や社会の仕組みを伝えるいい機会になります。キャッシュレス社会になりつつある今、クレジットカードや電子マネーでの会計も、見せて説明をすることで、お金の価値を正しく伝えることができます。
また、買い物の体験をさせてみることも大切です。例えば200円のお小遣いを渡して欲しいものを選ばせたり、レジで会計をしてお釣りをもらったり。買えるものと買えないものがあることを知ることで、お金を大切に使う練習になります」。
交通系電子マネーで
キャッシュレス体験を
「子供が電子マネーを使って会計をすることも、いずれ必要になります。子供にとって、カードをかざした時のピッという音は、支払ったのだという満足感につながります。親御さんが付き添い、体験させてみましょう」。
金融機関に行くことも、お金に接する貴重な体験となる。
「お年玉や貯金箱に貯めたお金など、手元に現金が増えてきたら、ぜひお子さんを連れて金融機関へ行きましょう。預ける金額を一緒に考えたり、通帳を見てお金が増える過程を喜んだり、お金を預けることは子供にとって楽しいイベントです。社会の仕組みを知るきっかけにもなります」。
横川 楓さん
やさしいお金の専門家・金融教育活動家。1990年生まれ。明治大学法学部を卒業し、明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科へ進学。24歳で経営学修士(MBA)を取得。「お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーに活動。2022年、一般社団法人日本金融教育推進協会を代表理事として立ち上げ、「誰もが平等に金融リテラシーを身につけ、活用できる社会に」を目標に金融教育の普及に努める。著書に「ミレニアル世代のお金のリアル」。
文:鈴木ゆうこ
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