2023.10.13
2023.03.30
2024.01.16
昨年度から高校の家庭科で「資産形成」の学習が必修化された。これには金融商品への投資的内容も含まれており、保険や株式、債券、投資信託などについても教えられるようになった。
日本ではお金の話は避けられがちで、資産形成も長く貯蓄が中心だった。しかしこれからは、長期的・安定的に資産を増やしていくためにはお金や投資についての知識が不可欠だ。小学校や中学校でも、子どもたちがお金について学ぶことは必要だろうか。そして、お金の何を学ぶべきなのだろうか。
システム開発やコンサルティングなどを展開するウィズ合同会社は、全国の20~60代を対象に、「子どものお金教育に関するアンケート調査」を実施した。
投資・お金の教育に取り組んでいる学校があることをご存知ですか? n=3,000人
まず尋ねているのは「投資・お金の教育に取り組んでいる学校があることを知っているか」。「知っている」と答えたのは8%にとどまった。「知らない」という回答が約6割。一般的なイメージとして、学校とお金が結びつかない現状も反映しているのかもしれない。
学校での投資・お金の教育は必要だと思いますか? n= 3,000人
次に、「学校での投資・お金の教育は必要だと思うか」を尋ねている。これには「絶対に必要(22.0%)」「どちらかというと必要(44.2%)」と、7割近くが必要だと考えていることがわかった。
子どものお金の教育をいつからはじめるべきだと思いますか? n=1,986人
必要だと回答した人にはさらに、「お金の教育をいつからはじめるべきだと思うか」を質問している。最も多かったのは「小学校高学年(41.5%)」、次が「小学校低学年以下(26.6%)」だった。合わせると約7割が小学校からお金の教育を始めるべきだと考えていることになる。
お金の教育といっても、何を教えるかによって方向は大きく変わってくる。「お金の教育で最も力を入れるべきだと思うことは何か」を聞くと、最も多かったのは「お金の大切さ(42.0%)」だった。次いで「お金の仕組み(34.4%)」という結果に。
子どものお金の教育で最も力を入れるべきだと思うことはなんですか? n=3,000人
生活していく中で最低限必要な、お金への態度・お金の知識をまず教えるべきだという思いがうかがえる。「各投資のやり方(11.0%)」 「為替の仕組み(6.5%)」といった具体的な資産形成にかかわる内容には支持は集まっていないようだ。
子どものお金の教育について、どのような不安がありますか? n= 3,000人
最後に、子どもへの投資・お金の教育を学校で行うことについて、不安なことを尋ねている。多かった回答は「投資に失敗する可能性があること(24.3%)」「他に大事なことが疎かになる可能性があること(24.2%)」の2つだった。
回答を整理すると年代別の特徴も浮き彫りになった。「他に大事なことが疎かになる可能性があること」を懸念する割合は若いほど低く、20代が16.5%、30代が19.5%。年代が上がるとともに不安視する人が増え、60代以上では28.9%にのぼる。
投資にリスクが伴うのは事実だ。そのことから、特に日本ではお金の話が危険なものとして遠ざけられてきた面もあるだろう。一方で投資は個人の資産形成に一役買うとともに、ビジネスに資金を集め社会の活力を高めるのに欠かせない。
リスクを回避するためには経済の仕組みや金融商品についての知識、理解を深めることが一番だ。これからは子どももお金を学ぶことを避けては通れないだろう。
諸外国に比べても、日本では子どもへのお金の教育では遅れをとっているという。成人年齢引き下げにより、18歳になると契約行為ができるようになった。若年層が悪質な商品の勧誘に惑わされるのを防ぐためにも、早期からのお金の教育は必要だろう。
身近なお金に興味をもつことは社会の仕組みへの関心にもつながる。パパ・ママも子どもからお金について質問されたら、先延ばしにせずに一緒に考えたり調べたりしてあげてほしい。
〈調査概要〉
「子どものお金教育に関するアンケート調査」
・調査対象者:全国20~60代男女
・有効回答数:3,000
・調査期間 :2023年8月24日(木)
・調査方法 :インターネット調査
・調査機関 :Freeasy
文:平井達也
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