2021.05.03
2021.02.22
2022.12.20
家事の分担をする時に大事にしているのは、妻には妻のペースがあるというのを忘れないこと。後でやるつもりだから手を出さない方がいいのか、忙しくてできないから手伝った方がいいのか、これを見極めるのが難しい! 妻をよく観察して、やってほしそうな時は率先して家事をするようにしています。
僕が家事をするのは、手伝うことで「妻の時間を作る」「家族の時間を増やす」と考えているから。僕が終わらせればご飯も楽しく食べられるし、夜のおしゃべりもたくさんできるでしょう?
せっかく結婚して夫婦になり、家族になったんだから、「助けてあげよう」という気持ちが大切だと思います。お互いができること、苦手なことをいいとこ取りで分担するのが理想ですよね。
家事をする姿を見せることは、子育てにも絶対影響します。僕が洗濯物をたたんでいると、高校生の長男は黙って手伝いにきてくれますよ。
逆にもし僕がたたんでいる横で子供がスマホを見ていたら、「本当にそのままでいいの?」と言うと思います。「僕は今、君のTシャツもたたんでいるし、家族全員の洗濯物をたたんでいる。少しでもママの助けになりたいと思っているんだよ。それを見て、何とも思わないかな?」。そう言うと、きっと手伝ってくれますよ。
これは家事分担だけの話ではなくて、思いやりの話。人が困っている時に助けてあげようとする気持ちがなければ、自分も助けてもらえないでしょう。洗濯物の干し方、畳み方なんてどうだっていいじゃないですか。実際に畳む行為、茶碗を洗う行為が大切。それを子供たちには伝えています。
お風呂のお湯張りひとつにしても、誰かが帰宅する時間に合わせて終わらせておけば、帰ってすぐにお風呂に入れますよね。やっていなかったら10分、15分と待たなくちゃいけない。その無駄をなくすために先に考え、先に行動することを覚えるのは、子供たちにとってものすごくプラスになると思います。
人は自分だけでは生きていけないし、自分中心で生きていても何も成長できないでしょう。「自分はこのやり方できたんだ」「自分はこれで生きてきたんだ」と頭がカチカチになっていたら、周りの人はついていきませんよね。自分を大切にするためにも、人のことに耳を傾けることが大切。僕の子育てでは、常にそのことを子供に伝えています。
コロナが流行り始めたばかりの頃、息子の友達が感染してしまったことがあるんです。息子は別の友達とその子の自宅まで行って、ゼリーなどが入った袋を玄関のドアに掛けながら、「待ってるからね! 早く治して戻ってきてね!」と外から声をかけていたんですって。その子の親からその話を聞いて、思わず涙ぐんでしまいました。
まわりの人が言葉にしない気持ちを感じて、支えてあげる。知らないうちに子供にもそういう気持ちが芽生えているんですよね。誰かに言われたからじゃなく、自分からやろうと思ったことにも感動したし、これまでのわが家の子育ては間違いじゃなかったんだなと確信しました。その代わり、成績の評定は全然ダメですけどね(笑)。
ママが家事をメインに行う家庭の場合、「手伝ってよ!」と文句を言うとママが悪者になってしまうパターンもあるかもしれませんね。そういう時は、やっぱりパパが家族を巻き込み、「家事をみんなでやろうよ」と言ってほしい。ママも「完璧にやろう」と思わず、どんどん「ヘルプ!」を伝えればいいと思います。
お母さんだからってできないこともある。大人になって、ママになったから、家事のことも家計のことも勉強しながら頑張っているだけで、できないことはたくさんあるというのを子供にどんどん伝えた方が絶対いい。
「ママ、これできてないよ」なんてもし言われたら、「やり方教えてよ!」と言ってもいいんじゃないかな。もしかしたら子供からすごいヒントが出てくるかもしれないし、子供の自立心がポンと生まれるかもしれませんよ。
親はプロじゃない。僕だって、親になってから常に自分を調整し続けてる気がします。悩み続けて、一生懸命パパとママをやっていることを子供に知ってもらった方がいい。そうすれば、素敵なファミリーづくりができるんじゃないかな。
照英(しょうえい)
1974年生まれ。俳優・タレント。学生時代、やり投げで全国区の選手として活躍。その後ファッションモデルとして活動し、『星獣戦隊ギンガマン』で俳優デビュー。芸能界にフィールドを広げ、現在は司会やリポーターを務めるなど、幅広く活動している。私生活では、3人の子供のパパとして子育てに奮闘中。等身大の子育て論が、子育て世代に強い共感を呼んでいる。
文:藤城明子
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