ごはん中のテレビから食べ方まで、「これだけは大事にしたい」和田家の食事ルールとは

ごはん中のテレビから食べ方まで、「これだけは大事にしたい」和田家の食事ルールとは
子供との食事で気になることの1つが「食べ方」。ごはん中のテレビやマナー、お箸の持ち方など……。食育インストラクターの和田明日香さんに、和田家の「食事の決まりごと」について聞いてみました。

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食事中は食べるものを意識して
家族団欒を楽しむ大切な時間

わが家では食事中だけはテレビを消すようにしています。なぜなら、テレビではなく「食べているもの」にきちんと意識を向けてほしいからです。

テレビは面白いので、見ながら食事をすると、「何かが口に運ばれている」みたいな状況になってしまいがちです。それはご飯を作る人間として、見ていて辛い。テレビをつけていなくても、よそ見や何か別のことをしたりしていると、「ねぇ、今何を食べているかわかってる?」と厳しく言ったりもします。

特にわが家では、夕食の時間はその日にあったことを家族で共有したり、コミュニケーションをとる時間として大切にしています。それに、「今日はこういう理由でこれを食べているんだよ」ということも伝えていきたい。

「ながら食べ」だと、適当に噛んで適当に飲み込むみたいに、食べることが適当になってしまうような気がして、私はそれがどうしても嫌で……。子供たちもそれをわかってくれているので、食事の時はテレビを消してから席に着いてくれます。

以前、人工知能を研究している黒川伊保子先生に聞いたのですが、脳が意識すると腸が受け入れ態勢になってくれるそうで、「これは体にいいもの」と思いながら食べるのと、何も考えずに食べるのとでは、体への吸収が変わってくるそうです。

だから、意識して食べることはすごく大事だし、同じものを食べるとしても、ただ口に運ぶ食事で終わってしまうのはもったいないですよね。

食事中のテレビが習慣になっている家庭では、急にまったく見ないようにするのはなかなか難しいと思います。1つの手として、区切りのいいところでテレビを消してご飯を始めるようにしてみたらいいかもしれません。

子供が楽しみにしている番組があと30分で終わるなら、「終わってからご飯を食べようね」というように。親が融通を利かせる必要はありますが、いきなりブチっと消してブーブー言われながら機嫌悪く食事を始めるよりも、みんなで気持ち良く食べられるんじゃないかなと思います。

テレビには、みんなで盛り上がれる楽しさがありますが、食事の時間以外でも見られます。子供が付き合ってくれるうちは、これをわが家のルールとして私は続けたいと思っています。

「肉の3倍、野菜を食べる」が
和田家の家訓

また、食事中の決まりごととして、日常的に「最初に野菜を食べる」ようにしています。先に野菜のおかずを取り分けて、そのお皿がきれいになったら肉や魚のおかずを乗せる、というルールです。

これは(平野)レミさんの教えでもあるのですが、和田家の家訓に「肉の3倍、野菜を食べる」というものがあって。先にタンパク質や炭水化物を食べてしまうと、お腹が膨れて野菜がたくさん食べられなくなってしまうから、という理由があります。

ご飯・主菜・副菜(汁物)をバランス良く順番に食べる「三角食べ」も大事ですが、これは大人でも意識しないと難しいですよね。3人の子供にちゃんとやらせようと思ったら、私が常に目を見張って、減り具合を把握して……と、食事を楽しめないので、わが家では特に意識していません。

ただ、好きなものばかり食べているようだったら、「他のおかずもちゃんと食べてからね」と横入りすることはあります。おかずが残っているのにご飯にふりかけをかけ始めたりした時も同じ。そうやって、気になったことはその時にちゃんと言うようにしています。

お箸の持ち方はその子次第
食事で大事なことって?

食事のマナーでいうと、「お箸の持ち方」も気になることの1つですよね。わが家では夫の方が厳しくて、ちゃんと持てるようになるための道具を買ってきたり、持ち方が崩れてきたらすぐに指摘して直そうとするのも夫です。

彼は子供たちに、「お友達の家に行った時に恥ずかしいよ」とよく言います。「和田さんの家はお母さんが料理の仕事をしているのに、お箸をちゃんと持たせない」なんて言われたらママが恥ずかしい思いをするから、と。

そう言ってくれるのはありがたいものの、私としては、誰かにどう見られて恥ずかしいみたいな気持ちは、子供たちにあまり育てたくなくて。これは価値観の話になってしまいますが、私は「自分で気付いて変えないと自分のものにはならない」と考えているので、「気付いた時が変わる時」ではないかと静観しています。

確かにお箸の持ち方は誰かが教えないといけないことです。小さい頃の習慣は大事なので、早いうちに正しい持ち方を教えるのは親の責任だと考えてしまいますよね。

でも、義理の兄と一緒に食事をしている時に、夫が子供の箸の持ち方を厳しく言っていたら「俺も中学生くらいの時に、自分の持ち方がダサいと気付いてからやっと真剣に練習をした」という話をしてくれたんです。そういう周りの大人の思わぬフォローも面白いなぁと。

夫のような人も含めて「いろんな人がいろいろなことを言っている」中で育っていくことは、子供にとって実はいい環境なのかもしれないなと感じています。

見た目にこだわってきれいに持ちたいと頑張る子もいれば、誰に何と言われようと「この持ち方で食べられるからいいもん」という子もいる。結局はその子次第で、正しくない箸の持ち方を見て気にする人もいるけれど、一緒に食事をしていて楽しければ、気にならないんじゃないかな、と。

やっぱり、「自分が気持ち良く食事ができているか」が一番大事なんじゃないかと思ったりするのですが、皆さんはどう思いますか?

PROFILE

和田明日香

料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM出演など、幅広く活動する。

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文:志村江

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