2023.04.14
2023.01.03
2022.11.20
元々インドアよりアウトドアで過ごすことが多いので、3人の子供たちとも釣りやキャンプ、サイクリングやドライブによく出かけます。
幼少期に自然に触れさせることは、とても大切。例えばマニュアル本に「火のおこし方」が書いてあったとしても、雨が降っていたら? 風が吹いたら? 湿度が高かったら? 本の通りに行動しても、自然界では通用しないことばかり。「思い通りにいかない」をリアルに体験できるのが、自然の中で過ごすことのメリットだと思っています。
わが家では犬を飼っているのですが、暑さの厳しい時期は朝の6時に散歩させています。もし「どうして昼間には散歩できないの?」と聞かれたら、「犬が熱中症になってしまうから」が答えです。
でも実際に午後の暑い時間帯に子供を連れ出し、アスファルトを手で触らせてみたら、「熱い!」と感じる。「犬は人間よりも小さく、アスファルトの熱に近いから、熱中症になりやすいんだよ」という答えを手や肌でリアルに体験させるのも、生きた授業になるのだと思います。
とは言え、親が子供に教えようと思っても、子供が興味を持てなければ「やらされている」感で集中できません。大事なのは、子供自身が興味を持つことです。
子供に興味を持たせるコツ。それは、親が真剣に取り組むこと。「これ面白いんだよ! ちょっと見て!!」と親が夢中になっている姿を見せてあげれば、子供もきっと興味を持ってくれるはずです。
例えば1冊の本を子供に読ませたい時。「これ読んでみて」と手渡すだけでは、「こんな分厚い本読むの、めんどくさい!」で終わってしまうでしょう。
でも「これはパパが子供の頃読んだ本なんだけど、感動して忘れられないんだよ。この“秘密”気になるよね? 君だったらどうする?」とヒントを与えてワクワク感を抱かせるようにする。それぐらいやったら、子供もきっと興味を持つはずです。
僕は3人の子供に、いつも「なんで? それはどうしてなの?」と問いかけることで興味を持たせています。答えが出てこない問いをなげかけると、子供は自分で調べて、答えを探してくれますよ。どんなパパ、ママでもこれはできるはず!
僕自身「多趣味ですね」とよく言われます。でもホンネを言ってしまうと、実はたくさんある趣味を意図的に作っている面もあります。
僕の場合、趣味として本当に好きになる前に、「好きじゃないけど、やってみたい」気持ちが先にあるんです。興味が少しでもあったら、やってみる。「やろう」と思って一歩足を踏み入れるのは、自分にとってとてつもないチャンスです。
もちろん、実際にトライしてもうまくいくことばかりじゃありません。以前ハワイに行った時に、つい「Kamaka」という一流メーカーのウクレレを買ってしまった。もうこれはやるしかない(笑)。
「よーしやってみよう!」と教本を買ってポロンポロンと弾いてみたけど、全然ピンとこないんですよ。しまいには「誰のためにやってるの? 何のためにやってるの?」という気持ちになってしまって……。今じゃ壁の飾りになっています。
それでも、「嫌い」「やりたくない」を減らして、ストライクゾーンを広げてあげることはすごく大切。トライしてみてイヤだったらやめてもいい。そのくらい軽い気持ちで初めてみたら、とてつもなく好きになってしまう事もあります。やってみないとわからない! 「これ好き!」と感じられる瞬間を子供にもたくさん体験させてあげたいですね。
子供が何かを始めたいと興味を持ったら、本物に触れさせてあげることが大切。絶対本物じゃなきゃダメですね。
例えば「ドラムを習ってみたい」と言い出したら、まずは本物のスティックを買い与えてみて。それを渡してあげると、まずは身近な布団やテーブルを叩き始めるはずです。その程度で満足するなら、子供の「やりたい」気持ちもその程度。でも本物なら、絶対本物のドラムをたたいてみたくなるはずです。
ここは机上の空論じゃダメなところ。自然を体感させたり、犬が熱中症になる理由を教えるために、地面を触らせるのと同じです。興味の導火線があっても、そこに火をつけるのは、やはり本物に触れる体験だと思います。
照英(しょうえい)
1974年生まれ。俳優・タレント。学生時代、やり投げで全国区の選手として活躍。その後ファッションモデルとして活動し、『星獣戦隊ギンガマン』で俳優デビュー。芸能界にフィールドを広げ、現在は司会やリポーターを務めるなど、幅広く活動している。私生活では、3人の子供のパパとして子育てに奮闘中。等身大の子育て論が、子育て世代に強い共感を呼んでいる。
文:藤城明子
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