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床にお尻をつけて両膝を立て、足を腕で抱えるようにして座る「体育座り」。教員や医療専門家からは、腰痛を悪化させたり内蔵を圧迫するなど体への負担が大きいとして懸念する声がある。当たり前のものとして受け入れられてきたこの座り方をやめた学校もあるようだ。
そもそもは、1965年に旧文部省による『集団行動指導の手引き』で示されたことで広まった体育座り。いま、どうとらえるべきなのか、パパママ世代を含む経験者たちの意見をみてみよう。
日本トレンドリサーチ(運営会社:株式会社NEXER)は、事前調査で「学校で『体育座り』をしたことがある」と回答した全国の男女を対象に、「体育座りに関するアンケート」を実施した。
まず、「最も楽な座り方」を尋ねたところ、1位はダントツで「あぐら(49.2%)」。差はあるが体育座りも2位となった。体育座りを選んだ回答者は「脚が圧迫されず痺れないから」「バランスがとりやすく、体のどの部分にも無理がないように感じる」といった意見を寄せている。
「最も座りにくい座り方」については、圧倒的に「正座(60.8%)」と答えた人が多かった。「体育座り」と答えたのは意外と少なく3.6%で、その理由として「おしりが痛い。お腹が締め付けられる」「背筋をきちんと伸ばさないと座りづらいから。長時間はキツいから」といった声が寄せられている。
そこで、体育座りを学校で廃止する動きについてどのように思うかを質問したところ、約半数が「良いと思う(49.4%)」と回答し、「良くないと思う」は6.7%にとどまった。自身の経験とは別に、現在の学校教育への思いが透けて見える結果となった。
廃止賛成派の意見は次のようなものだ。
●育ち盛りの時期に、冬の冷たい体育館の床に、腰や膝、背骨に負担のかかる座り方を強要するのは理不尽だから(40代・男性)
●軍隊でもないのに特定の姿勢を強要されるのはおかしい。常識の範囲内で、好みの姿勢で座って良いと思う(30代・女性)
●子供自身が苦痛を訴えていたから。また、女子の場合はスカートの中が見えてしまうのが気になる。体育座りだからというだけでなく、すべての人に同じ座り方を強要すること自体がおかしい(40代・女性)
体への負担を心配する声とともに、自主性や自由を尊重する意向がうかがえる。
一方、廃止に反対する意見は以下のようなものだ。
●体育座り以外の座り方だと全体が乱れてしまう。子供のけじめにならない(20代・女性)
●腰に良くない理由や根拠が無い(50代・男性)
●圧迫するほどしっかりと座っている子を見たことないし、ある程度の調整は自分でできるだろう(60代・女性)
規律を重視したり、体育座りの体への悪影響に疑問を感じる、ということのようだ。
規律を学び、守れる力を育むことは、子供たちにとって大事なことだ。しかし、これまで当たり前のようにしてきたことを改めて見直してみると、その根拠や必要性に疑問が生まれることは往々にしてある。「正しく座りなさい」と注意することよりも大切なこともあるはずだ。
さて、これは学校での体育座りだけの話ではない。家庭でも、子供に不要なルールを課していないだろうか。一度見直してみてもいいかもしれない。
引用元:「日本トレンドリサーチ(運営会社:株式会社NEXER)」の該当記事
〈調査概要〉
「体育座りに関するアンケート」
・調査期間:2022年5月17日~19日
・集計対象人数:1,250名(30代以下・40代・50代・60代・70代以上 各250名)
・調査対象者:事前調査で「学校で『体育座り』をしたことがある」と回答した全国の男女
文:平井達也
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