何回言っても「お友達のおもちゃを奪ってしまう」3歳児。必要な経験と声かけのコツ

何回言っても「お友達のおもちゃを奪ってしまう」3歳児。必要な経験と声かけのコツ
NHK Eテレ「ハロー! ちびっこモンスター」でも大人気の現役保育士・てぃ先生が、FQ Kids読者の悩みに答える連載企画。今回は「お友達のおもちゃを奪ってしまう」と悩む親御さんのお話です。

《 今回の相談内容 》

お友達と遊んでいる時、相手のおもちゃを奪って遊んでしまいます。

すんなり譲ってくれる子もいれば、その場で泣き出す子もいて、いつも親として「○○くんが使ってるから順番だよ」「○○くん(息子)も遊びたかったんだね、でも今はだめだよー」と言って聞かせるのですが、なかなか直らず、ついにお友達とおもちゃを引っ張り合って壊してしまいました。

まだ子どもなので、お友達が使っているものに興味を示して欲しくなる気持ちもわかるのですが、取られる側の子も親も嫌な気持ちになり、もううちの息子と遊びたがらなくなるのではと心配です。

これは時期的なものなのでしょうか? それとも普段の私の接し方がよくないのでしょうか? どうやって声かけをしていけばいいのでしょうか? 一緒に遊んでいるお友達は、おもちゃを取り上げたりしないので心配になっています。

(かなたろーさん・3歳の男の子の親)

【てぃ先生の子育てお悩み相談】
子どもが失敗を経験することも大切

fqk_tse20230929-01「どうやって声かけをしていけばいいのでしょうか?」という質問への回答としては、「順番だよ」と諭したり、「遊びたかったんだね、でも今はだめだよ」と、お子さんの気持ちを代弁したり共感したりするのは大切な声かけです。

「○○くんが終わるまで待とうね」といった言葉もいいですが、「次おもちゃが使えるの楽しみだね」といった先が明るく思える言葉選びもポイントです。

「もううちの息子と遊びたがらなくなるのではと心配」という部分では、もし遊んでくれなくなっても、それはそれで仕方ない、と思うことも必要だと思います。

というのも、お子さんは、いつもかなたろーさんが間に入ってくれるから、それなりに相手とうまくやれていますが、3歳であればそろそろ自分のやった行動、態度、言葉は、相手に影響をもたらすことを学んでいってもいい時期です。

お友達のおもちゃを無理やり奪い、今まで一緒に遊んでいたお友達が「○○君と遊ぶのやだ!」と言われる経験も、ときには必要なのです。

子どもが失敗しないか心配だからといって、失敗する前にいつも親が解決しようとするのはおすすめできません。自分で失敗を経験して初めて、「自分がこういうことをしたら、友達は嫌な気持ちになる」ということを学ぶのです。

それに、子どもたちを見ていると、1回くらいいざこざがあったからといって、数ヶ月も1年もずっと遊ばないということはまずありません。

1つの物を取り合うということは、同じ物にお互い同じように興味を持っているということ。同じものを好きだからこそ、同じ遊びコーナーにいる割合も高くなります。子どもたちにとってこれ以上の「つながり」はありません。

取られる側の子や親が嫌な気持ちになることが心配ということでしたら、「お友達のおもちゃに興味を持ちやすい時期みたいで……」と事情を話すなど、親同士でしっかりコミュニケーションを取っておくことが、かなたろーさんの今の役割なのではないかと思います。

【てぃ先生の子育てお悩み相談】
子どもたちは自分で学んでいく

「一緒に遊んでいるお友達は、おもちゃを取り上げたりしない」から心配とのことですが、個人差はあるものの、友達が持っているものに興味関心があってつい奪ってしまうのは、3歳という年齢としてはごく自然なことです。

「言って聞かせても、なかなか直らず」というのも、どれくらいのスパンで見ているのかによります。

こういうことは、言って聞かせたらすぐできるというものではありません。根気よく声かけを続けることで、子どもの発達によってほんの少しずつできるようになっていくものです。1週間や2週間ではなく、最低でも1ヶ月以上はかかると思っていた方がいいでしょう。「できない」というよりも、「できるように成長中」ということです。

かなたろーさんは子どものことを想うからこそ、心配なことがたくさんあるのだと思います。でも、親が心配して一生懸命何かしなくても、子どもは自分で成長していくことができます。子どもの成長を信じて見守りつつ、事情の説明など、子どもにできない部分をフォローしてみてください。

プロフィール

てぃ先生

関東の保育園に勤める現役保育士。名前の読み方は「T」先生。SNSの総フォロワーは160万人を超え、保育士として日本一の数である。超具体的な育児法や子育てにおけるアドバイスは斬新なアイディアに溢れており、世のパパ・ママに圧倒的に支持されている。現在はSNSだけでなく、報道番組からバラエティー番組まで幅広いジャンルのテレビにも出演し、「いま一番相談したい保育士」と紹介されることも。

あわせて読みたい
「人に痛いことはしない」を理解させるには? 言葉より効果がある9つの親子遊び

友達にすぐおもちゃを渡してしまう……子供の主張の弱さに悩む親ができること

しつこく駄々をこねる子を納得させられる方法は? 今すぐできる「環境&習慣づくり」

 
» てぃ先生の連載一覧はこちら!


文:脇谷美佳子

連載記事 連載記事

〈連載〉照英さんの「子育て・夫婦のお悩み」一緒に考えます!
〈連載〉寺島知春さんの「非認知能力を育てる絵本」
〈特集〉「おうちで・楽しく・短時間で」実践に使える英語力をみにつける
〈連載〉てぃ先生の子育てお悩み相談室
〈連載〉小島慶子さんが語る「子育て 世育て 親育て」
〈連載〉平田オリザ “わからない”を超えるチカラ -演劇×コミュニケーション能力-
〈連載〉鶴岡そらやす先生の「子供の力を信じて伸ばす関わり方」
〈連載〉アフロ先生・阪田隼也さんの「大人と子供が響き合って、育ち合う」
〈連載〉佐藤卓/親子の「デザイン的思考」入門
〈連載〉和田明日香さんの「むずかしくない食育」
〈連載〉照英さんが実践する「子供の才能を伸ばす接し方・話し方」
〈連載〉谷崎テトラの「未来の地球人育て」
メニューフォームを閉じる

FQ Kids | 親子のウェルビーイング教育メディア

メニューフォームを閉じる