子供を性犯罪から守るために。幼い時から教えてあげたい「性的同意」の重要性

子供を性犯罪から守るために。幼い時から教えてあげたい「性的同意」の重要性
わが子が誤った情報で犯罪に巻き込まれてしまわないよう、幼いうちから取り組みたいのが「性教育」だ。親としてどう教えてあげたらいいのか? 多方面で活躍し、2児の母である小島慶子さんが語る。

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子供を性暴力から守るために
必要なのは“正しい知識”

今、性教育に関心を持つパパママがとても多いですよね。日本の学校教育では、体の仕組みや生殖については教えても、セックスについてはきちんと教えません。中には自主的にちゃんと教える取り組みをしている先生もいるけれど、少数派です。

セックスについて正しい知識がないと、ネットでポルノや暴力的なセックス動画を見てそれが「正しいセックス」だと学んでしまったり、友達に聞かされた噂話で間違った知識を鵜呑みにしてしまったりするリスクがあります。正しい知識は、子供を性暴力の加害者にも被害者にもしないために必要です。

私は、性教育では「人体の仕組みについて知ること」「赤ちゃんが誕生する仕組みについて知ること」「性的なコミュニケーションについて知ること」の3つに加え「性が社会でどのように扱われているかを知ること」が大切だと考えています。

日本では街中でもメディアでも、商品化された性を目にすることがとても多いですよね。それは誰によって、誰の欲望のために商品化された性なのか、商品化の過程で搾取や暴力はないか、商品化によって偏見や差別が助長されていないか……考えたことはあるでしょうか。

街もネットも、「教材」です。日常的に目にする性的な表現が自然に刷り込まれてしまいます。自分が何を見せられているのかを理解する読解力がなければ、女性を「男性の性欲を満たすための道具」、男性を「絶え間なく欲情し女性をモノのように消費する存在」と認識してしまいます。格好の「性の消費者」として教育されてしまうのです。

幼い時から教えてあげたい
「性的同意」の重要性

2018年12月に週刊誌「SPA!」が「やれる女子大学生ランキング」という記事を掲載し、批判された騒動がありました。名前の上がった各大学が次々と抗議声明を出し、抗議の署名活動をした女子学生たちが編集部と話し合いの場を持ちました。学生たちは編集部に対し、女性をモノのように扱うのをやめて「性的同意」について知って欲しいと訴えました。

「やれる女子大学生」とは、男性の一方的な意志で性交が可能な女子学生という意味ですよね。女性を男性と対等な存在とみなさず、性欲のはけ口として見ていることが明らかです。女性蔑視であり、女性の人権を無視した深刻な暴力です。

「性的同意」とは、体に触れていいかどうかの同意のこと。どのような性的な接触も、相手の同意がない限りしてはなりません。イギリスやドイツ、オーストラリアなどでは、同意なき性行為は犯罪です。日本でも、刑法を改正して同様にすることを求める声が上がっています。大学のキャンパスで、性的同意の知識を広め、性暴力をなくそうと活動する学生たちの輪が広がっています。

性的同意については、幼い時から教えておくことが大事です。「相手がいいと言っていないのに体に触れたり、体を見せろと言ったり、見せたりしてはならない」「いいと言っていないのに体に触れたり、体を見せろと言ったり、見せたりするのは、暴力である」「相手が誰であっても、嫌な時はNOと言っていい」と繰り返し教えることが、子供を加害者にも被害者にもしないために重要です。そしてもし被害にあったら、それは加害者が悪いのです。被害者に落ち度があったからではありません。

他者への思いやりを育む性教育
まずは親のバイアス点検を

性に関する話題を全て性欲と結びつけるのもよくある誤りですね。例えば生理について、正しく知っていますか? 女性器から出血するので、頭の中で「エロ」「下ネタ」のフォルダーに入れていないでしょうか。生理について話すのは、下品なことだと思っていないでしょうか。生理は女性の健康や社会生活に関わる重要な問題です。

2020年にスコットランドが世界で初めて生理用品を完全無料化して話題になりました。今、世界では「生理の貧困」をなくすため、無償化や非課税化の動きが強まっています。月経は人間にとって自然な生理現象なのに、タブー視され、隠すべきこととされてきました。途上国だけではなく先進国でも、生理用品代が工面できずに学校を休む女の子たちがいます。生理があることによって女性は差別され、社会的に弱い立場に追いやられてきたのです。子供たちが生理について習うときには、性別に関わらず、こうした事実を学ぶことがとても大切です。

性について正しく知ることは、人権を尊重し異なる性を生きる人へのリスペクトを育むこと。健康を維持し、人間の感情の豊かさと向き合い、他者を思いやることです。子供に性教育をする前に、まずは親が自身のバイアスを点検してみましょう。自分は何を「下ネタ」だと思っているのか、他者の体をどんな目で眺めているのか。それをどこで学習したのか。親が知識と意識をアップデートするのが性教育のスタートです。

思春期になって性の葛藤が始まる前までに、それこそ「どうしてバッタは飛ぶの?」「なんでスイカは丸いの?」と同じ感覚で体のことを色々尋ねてくれているうちに、照れずに真面目に、教えてあげて欲しいなと思います。

プロフィール

小島慶子(こじま・けいこ)
エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員、NPO法人キッズドアアドバイザー。1995年TBS入社。アナウンサーとして多くのテレビ、ラジオ番組に出演。2010年に独立。現在は、メディア出演・講演・執筆など幅広く活動。夫と息子たちが暮らすオーストラリアと日本とを行き来する生活を送る。著書『曼荼羅家族』(光文社)、他多数。

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