お友達の特性や行動、子どもにどう伝える? 個性を大切にするシンプルな話し方

お友達の特性や行動、子どもにどう伝える? 個性を大切にするシンプルな話し方
テレビ番組やSNSでも大人気の現役保育士・てぃ先生が、FQ Kids読者の悩みに答える連載企画。今回は「娘と同じクラスの子どもの行動について、どのように説明したらいいか」と悩む親御さんのお話です。

» てぃ先生の連載一覧はこちら!

《今回の相談内容》

娘のクラスに、おそらく発達障害があると思われるお友達がいます。給食の時間に立ち歩きながら手でご飯を食べたり、勝手に他のクラスに行ってしまったり、パニックになると頭を地面に打ちつけてしまうといった行為があるようです。

娘は帰宅すると「あの子はなんで歩きながらご飯を食べるの?」「どうして教室から出て行っちゃうの?」などと聞いてきますが、親としてどのように説明すれば良いのかわからず、困っております。

「いろんな子がいて、それも個性の1つなんだよ」と伝えていますが、それで良いのか不安です。

また、悪いこととわかっているのに、わざと問題行動を起こしている子を肯定してとらえてほしくもありませんし……。

娘にはどのように説明するのが良いでしょうか? 教えていただけたらうれしいです。

(ミランさん・4歳の女の子の親)

無理に説明するのではなく
「個性だよ」と伝えて

「個性」や「性格の違い」だよと伝える今の説明でいいと思います。ここであえて発達障害の話をする必要はないと感じるからです。「あの子はそうなんだね」でも十分納得は得られます。

そもそも、質問者さんはその子の毎日を実際に見ているわけではないですよね。「発達障害」というのもざっくりとしており、本当のところはわかりませんし、なぜそういった行動をとるのか完璧に理解しているわけでもありません。

あれこれ想像して、結果間違った解釈で娘さんに伝えるよりも、本人がその子と一緒に過ごす中で感じたことが一番正しいように思います。

過去に病気で毛髪が抜けてしまった子がいました。送り迎えで保育園を訪れる保護者の中には驚く方もいましたが、一緒に過ごす子どもたちにとっては、最初は疑問があってもしばらくたてば、それが当たり前。逆に大人の方が気にし過ぎてしまうんですよね。

今回のケースでも同じように、「そういう子なんだな」と感じている部分があると思います。であれば、「あの子はそうなんだね」で説明としては足りていますよね。

シンプルな答えが一番
もっとわが子を信じてみて

質問者さんは、もしかしたら「あの子がそういった行動をとることで、わが子に悪影響があるのでは」という心配があるのではないでしょうか? だとしたら考え過ぎかもしれません。

もし他の子が食事の時に走り回っていたとしても、自分のご飯を放り出して走り回る子はいません。先述の通り、「あの子はそう」なだけで、自分は違うからです。もちろん、一時的に面白がって真似をする可能性はあります。ただ、それは永続的なものではないです。

一番大切なことは、娘さんが気になった時に親子で話せる環境があることです。現在「どうしてあの子は歩きながらご飯を食べているの?」と聞いてくるのは、親子の関係性が良好である証拠です。

もしそこで親がネガティブな話をしてしまうと、「この話をするとパパ・ママがイヤな顔をする」と娘さんが気にして、以後そのことについて話そうとしなくなるかもしれません。すると、他の物事についても気になった時に聞けなくなり、大事な話や相談ができなくなります。

今後同じように聞かれた時は、シンプルに「あの子は、歩きながら食べたい時もあるのかもね」でいいと思います。その際は、「(あの子はきちんとできないけど)あなたはできるよね。“いい子”ね」と他の子を貶める伝え方ではなく、「あの子はそう。あなたはこうだね」と、事実だけをシンプルに伝える話し方をすることが大切です。

PROFILE

てぃ先生

関東の保育園に勤める現役保育士。名前の読み方は「T」先生。SNSの総フォロワーは200万人を超え、保育士として日本一の数である。超具体的な育児法や子育てにおけるアドバイスは斬新なアイデアにあふれており、世のパパ・ママに圧倒的に支持されている。現在はSNSだけでなく、報道番組からバラエティー番組まで幅広いジャンルのテレビにも出演し、「いま一番相談したい保育士」と紹介されることも。

X:@_HappyBoy
インスタ:@tsenseidayo
オフィシャルサイト:tsensei.com

» てぃ先生の連載一覧はこちら!
 

あわせて読みたい
「人に痛いことはしない」を理解させるには? 言葉より効果がある9つの親子遊び

人見知りでクラスに馴染めないわが子が心配……子供が園で楽しく友達関係を築くには?

子どもが納得して自分ごとにできる! 尊重し合える関係を築く「多様性教育」のコツ

 


文:藤城明子

FQ Kids VOL.20(2024年秋号)より転載

連載記事 連載記事

〈連載〉島村華子の「“自分でできる子”になる親子コミュニケーション」
〈連載〉寺島知春さんの「非認知能力を育てる絵本」
〈連載〉新井美里の「“個才”を発見して伸ばす方法」
〈特集〉自己肯定感を高める おうち性教育
〈特集〉専門家に聞いた! 子どもの健康なカラダづくり
〈特集〉「おうちで・楽しく・短時間で」実践に使える英語力をみにつける
〈連載〉てぃ先生の子育てお悩み相談室
〈連載〉小島慶子さんが語る「子育て 世育て 親育て」
〈連載〉平田オリザ “わからない”を超えるチカラ -演劇×コミュニケーション能力-
〈連載〉鶴岡そらやす先生の「ごきげんおやこの視点づくり」
〈連載〉アフロ先生・阪田隼也さんの「大人と子供が響き合って、育ち合う」
〈連載〉佐藤卓/親子の「デザイン的思考」入門
〈連載〉和田明日香さんの「むずかしくない食育」
〈連載〉照英さんの「子育て・夫婦のお悩み」一緒に考えます!
〈連載〉谷崎テトラの「未来の地球人育て」
メニューフォームを閉じる

FQ Kids | 親子のウェルビーイング教育メディア

メニューフォームを閉じる