2023.12.29
2023.05.11
2024.10.28
共働きファミリーにとってとにかく時間勝負な朝、子どもがなかなか朝ごはんを食べてくれない……と悩むパパ・ママは少なくない。しかし健康のためにはもちろんその日のパフォーマンスにも重要といわれる朝ごはんは、時間がないからと言って抜くわけにもいかない。
朝ごはんの時短レシピは数あれど、頑張って作っても食べてくれないと余計なストレスを感じることに。朝からイライラせずに笑顔で1日をスタートさせる良い方法はないだろうか?
小1の息子を持つ筆者も頭を悩ませていたところ、「これは朝ごはんをスムーズに食べてもらえるヒントになるに違いない!」と感じるイベントのお知らせが届いたので行ってみた。結論、わが家の朝ごはんが大きく変化したので詳しくレポートしてシェアしたい。
子育てファミリーの朝ごはんの悩みを解決すべく向かったのは、雪印メグミルク株式会社の「10月11日は「とってもいい朝食の日」「6Pチーズ」からはじめる朝の新習慣 発表会」。
朝ごはんにまつわる実態調査や、4歳3歳1歳の娘さんを子育て中のタレント・横澤夏子さんが実際に感じている朝の悩みをもとに、脳科学者の瀧靖之さん、管理栄養士の古谷彰子さんが、平日の忙しい朝問題を解決するノウハウについて解説してくれるという。
まず知っておきたいのは、世の中の子育てファミリーの朝ごはん事情。雪印メグミルクが全国の3歳~小学校低学年の子をもつ母親800名を対象に行った調査によると、約8割の家庭が朝食の用意を大変だと感じていると判明。
子どもの朝食の用意に対して大変だと感じている理由には、多いものから「忙しく準備する時間が十分にない(45.5%)」「子どもが朝食を食べるのに時間がかかる(43.1%)」「子どもが集中して食べてくれない(41.4%)」と続き、わが子の朝ごはんを食べる意欲や集中力に関する悩みが多いことがわかる。
そして平日は「パンだけ」の朝食になる日も少なくないようだ。手軽に用意でき、とにかく子どもが食べたいと思ってくれてお腹を満たせるものを……と考えたら頷ける結果である。
さらに「パンだけ」の朝食に対しては約8割が栄養に偏りを感じているものの、それでも平日の朝は約9割の家庭が「早くしなさい」と子どもをせかしているという、なんともやるせない実情がある。
こうした平日の朝ごはんに関する悩みを解決するため、脳科学者の瀧靖之さん・管理栄養士の古谷彰子さん監修のもと制定されたのが、「親子のドタバタ朝食を救う3か条」だ。
まず、席についてから食べ始めるまでの時間を短縮するために、朝の準備の中で子どもに役割を与え、子どもが食べたくなる食材を用意することで食事への意欲を高める、という作戦。
ポイントは、「簡単なこと」を1こずつ「楽しくやってみる」こと。難しいことは苦手意識が芽生えてしまうし、「これをやりなさい」と命令するのはNG。周りの人が楽しそうにやっていると真似をする脳習慣があるので、家族が楽しそうにやることも大切。
ただし「一緒にやろう」と誘うよりも、子どもは役割を与えられた方が大きな喜びや信頼を感じる。「ありがとう」と感謝を伝えられることで成功体験としても記憶され、次の成功体験を作り出す原動力になるとともに、脳の前頭前野などが刺激されることで自己肯定感が高まるそう。
例えば、子どもが好きな『6Pチーズ』を家族に配ってもらうという役割。配り終えたらすぐに食べられるのも嬉しい。
横澤夏子さん「4歳の長女は1人で『6Pチーズ』を剥けるのですが、3歳の次女が剥けない姿をみると手伝ってあげることも」。
忙しい朝は“出すだけ食材”を活用する、という方法。とはいえ、先ほどの調査結果のように、パンだけの朝食では栄養面が気になる。朝ごはんでは「何を」「どれだけ」準備できればいいのか、その指標となるのが、パン・チーズ・トマトの組み合わせ「パチト」だ。
パン・チーズ・トマトは出すだけで手軽に食べられる食材だが、実は3大栄養素の炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスが整ったメニュー。
近年、日本人が不足がちと注目されているたんぱく質の1日あたりの推定平均必要量は、3~5歳は20g、6~7歳は25g、8~9歳は30~35g、10~11歳は40gとなっている※が、例えば朝ごはんメニューに6Pチーズ1個(3.5g相当)、牛乳200mL(約6g相当)を加えれば、1日あたりのたんぱく質推定平均必要量の約1/3~1/2ほど摂ることができる。
※参照:日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
手作りにこだわらずとも、パンやお米だけの朝ごはんに上図のような3色食品群を意識した“出すだけ食材”をプラスすればOK! もちろん過剰摂取には配慮し、わが子の好みや冷蔵庫状況に応じていろいろ試してみると良いだろう。
最後は、親子でたくさん言葉を交わし、子どもにとって「朝食=楽しい時間」にするという方法だ。瀧先生によると、食事中の会話量は食事への意識と深い関わりがあり、子どもが積極的に食事に参加するようになる要因の1つだそう。
例えば①で子どもに与えた役割や朝ごはんの色・形、分けて食べることなどを話題にするもよし。親が小さい頃に好きだった/苦手だった食べ物の話なども効果的なようだ。ノスタルジーは自分自身の幸福感を高めるとさまざまな脳科学で実証されており、話している親自身が楽しい気持ちになるとミラー効果で子どもも楽しい気持ちになるという。
そもそも朝の寝起きが良くなく、グズグズしてしまって朝ごはんを食べてくれない……という場合はどうしたらいいのだろうか?
古谷先生によると、「光を浴びる」「よく動く」「朝ごはんを食べる」といったトリプル刺激によって、朝に体内時計のリセットを行うことが効果的だという。
特に炭水化物とタンパク質は朝の目覚めスイッチに適しており、バランスのとれた食事をとっている子は早寝早起き傾向にあるというデータもあるそう。
また、夕食時にたくさん食べてしまうと体内時計が後ろにずれ、遅寝遅起きになってしまうため、食事は4:3:3と朝食時にボリュームをおくのが理想的。平日の朝は特に2:3:4になりがちだが、夕ごはんの1皿を朝ごはんにしたりして、少しずつ3:3:3に近づけていけたらいいだろう。
さて、イベント翌日の朝。小1の息子を起こしながら「朝ごはんはお米とパンどっちがいい?」「パン!」「よし、パンにするから起きて!」とコンセンサスを得てからいざ3か条を実践。
わが家の場合は椅子に座る&一口目までに時間がかかっていたが、「見て見て、今日は『6Pチーズ』食べるから、みんなに配ってほしいな」と言うと「いいよ」とフタをパカッと開けて配り始め、前のめり気味に椅子に座ってペリペリと剥いていた。
スムーズな流れに感動し、思わずこちらも笑顔でありがとうと言うことができ、なんとも穏やかな一日のスタートとなった。
毎日続けられるか不安もあったが、『6Pチーズ』を違う種類のものにしてみたり、シリアルを選んでよそってもらったり、しらす&海苔をごはんにかけてもらったり……わが子が喜ぶとっかかりがわかれば自然とバリエーションは広げられた。
焦らず、手作りにこだわらず「パチト」な朝ごはんを続けることで、早寝早起きの生活習慣へ少しずつ整えていける希望が持てた。朝ごはん食べてくれない問題に悩むファミリーは、トライしてみてはいかがだろうか。
お笑い芸人
横澤夏子(よこさわ・なつこ)さん
1990年7月20日生まれ、新潟県出身。高校卒業後、NSC東京港に15期生として入学。2016年、R-1ぐらんぷり決勝進出。「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」(フジテレビ系)の常連で、2023年12月16日放送回で悲願の優勝を果たす。2017年に懸命な婚活が実を結び、会社員男性と結婚。2020年2月に第一子出産を公表し、2021年10月に第二子、2023年6月に第三子出産を報告した。タレント・3児の母としても活躍中。子育てママをはじめとした幅広い層に支持を得ている。
脳科学者
瀧 靖之(たき・やすゆき)氏
東北大学加齢医学研究所教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター センター長。医師 医学博士。株式会社CogSmart代表取締役。脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIは、これまでにのべ約16万人に上る。「生涯健康脳」「賢い子に育てる究極のコツ」は共に10万部を突破するベストセラーとなり、海外でも翻訳本が多数出版。テレビ東京「主治医が見つかる診療所」、NHK「NHKスペシャル」「あさイチ」「チコちゃんに叱られる!」、Eテレ「バリューの真実」、TBS「駆け込みドクター!」などメディア出演も多数。
管理栄養士
古谷 彰子(ふるたに・あきこ)氏
愛国学園短期大学 准教授。博士(理学)・管理栄養士。早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員。アスリートフードマイスター認定講師。発酵料理士協会特別講師。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチすることを専門とし、科学的根拠を基にしたライフスタイルへのアドバイス、時間栄養学的栄養指導、実体験を基にした食育活動や講演活動、料理教室も開催中。現場を通じて得た問題点をもとに、ヒトを用いた臨床試験、官能評価、アンケート調査を行うことを得意とする。メディア出演、連載、著書多数。
〈調査概要〉
「子育て朝食に関する調査」
・調査期間:2024年8月
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:全国の20~50 代の女性800名(3歳~小学校低学年の子どもをもつ母親、普段自宅で朝食を用意している方)
文:FQ Kids編集部
編集部のオススメ記事
連載記事