2022.08.08
2022.05.21
2023.10.06
七五三は、平安時代に宮中で行われていた儀式が元になっていると言われている。昔は子どもの死亡率がとても高かったため、3歳、5歳、7歳の節目に、成長を神様に感謝し、お祝いをしていたようだ。それが江戸時代以降、武家から庶民にも広まり、現代のような形式が年中行事として引き継がれている。
とはいえ七五三は参詣するだけではない。いつ、どこで、どんな服装で……など、費用面も含めて選択の幅はかなり広い。実際のところ、どのように行うのが一般的なのだろうか。昨年七五三イベントを経験したファミリーへの調査結果を参考にしてみよう。
出張撮影マッチングサイト「OurPhoto」を運営するOurPhoto株式会社は、昨年2022年に七五三イベントを実施したパパ・ママ166名を対象に、「七五三 最新実態調査 2023」を行った。
まず尋ねているのは「七五三で何を行ったか」。「七五三衣装の着用(81.9%)」が最も多く、次いで「スタジオ撮影(前撮り・後撮りを含む)(72.9%)」「神社・お寺での参拝(70.5%)」と続いた。この3つは7割以上のファミリーが実施している。
さらに「神社お寺でのご祈祷(58.4%)」「食事会(29.5%)」「出張撮影(前撮り・後撮りを含む)(11.4%)」を行った親子も。
次は「七五三のイベントには誰が参加したか」。「父母(98.2%)」に加え、兄弟・姉妹がいる場合は「兄弟・姉妹(41.6%)」、次いで「母方の祖父母(34.9%)」「父方の祖父母(28.9%)」となった。「父方の祖父母」より「母方の祖父母」の参加が多いようだ。
さて、七五三イベントはいつ行うものなのだろうか。「七五三の日」ぴったりに行うなら11月15日だが、実際には七五三の日の「1週間前~1ヶ月前(24.7%)」が最も多く、次いで「11月16日以降(19.3%)」「前日~1週間前(16.9%)」だった。
「11月15日当日」の実施率は9.0%で、約9割の人が日程をずらして実施している。神社や写真スタジオなどの混雑を避ける狙いもあるのだろう。
七五三イベントの準備を始めた時期については、最も多かったのが「1ヶ月前~2ヶ月前(28.9%)」、次いで「1週間前~1ヶ月前(19.3%)」「3ヶ月前~半年前(18.1%)」「2ヶ月前~3ヶ月前(15.1%)」という結果に。早めの準備を心がけた方が良いようだ。
さて、七五三で大変だったことを質問すると、さまざまな声が寄せられた。約4割と最も多かったのは「子どもの機嫌を損ねずにイベントをこなすこと」「子どもが慣れない着物や袴、草履などで過ごすこと」の2つ。3位と4位は「イベント実施日の調整(30.1%)」「七五三当日のスケジューリング(27.7%)」とスケジュール関連が続いた。
また「子どもの体調管理が大変だった」という声もあり、慣れない衣装を着続けさせることも含めて、当日万全のコンディションで乗り切れるようにすることがポイントになるようだ。そのことは「七五三イベント時に準備して良かったもの」への回答にも表れている。
1位は「子どもの移動用の履き慣れた靴」、2位「子どもの好きなお菓子やジュース」、3位「子どもの着替え用の服」となり、子どもが快適に過ごせることを重視すべきなのがわかる。
さらに、七五三イベントで失敗・後悔しないためのアドバイスを自由回答で聞くと、具体的な「やってよかったこと」が挙げられた。
●事前に衣装の写真を見せてカッコよく写真をとろうねと声をかけていたので、当日は嫌がることなく衣装を着ることができた。
●参道は砂利道が多いので普段履いている靴で移動した。
●幼い子どもにとって服を汚さずに飲食することは不可能に近いので、ストロー式マグと手が汚れない棒状のお菓子があると注意散漫になった時に助かった。
●普段着慣れない衣装だと機嫌も悪くなると思ったので、好きな飲み物やお菓子を用意して、少しでも気が紛れるようにした。
●木々に囲まれた神社だったので、ご祈祷する際も緊張すると思い、何度か参拝に行き、環境にも慣れるようにしておいた。
●今まで親にべったりだったのが、写真撮影では1人になるため、親から5m離れても大丈夫なように準備しておくと良い。
●いつもと違う雰囲気に圧倒されないよう、あらかじめ「着物を着て、神社でご祈祷をすること。太鼓の大きな音が鳴ること。」を伝えておいた。
●撮影の際、七五三の衣装とは別に、家族でお揃いのドレス・スーツを着た。家族写真を撮る少ない機会なので、特別な写真を残しておくことをおすすめする。
●着付けや撮影を神社の境内内でしてくれるところに頼み、着物の着用時間をできるだけ短くすることによって、ぐずる前に終えたのは良かった。
●着なれない衣装を何回も着用させるのは厳しいと思ったので、お参りと撮影をいっぺんに行った。長時間も厳しいと思い、全て2時間くらいで終わるようスケジュールを事前に組んでおいてよかった。
●ヘアメイク後の着替えがしやすいよう、前開きの洋服を準備した。
着慣れない服装を試みた家庭が多いようだが、七五三当日の子どもの服装はどのようなものだったのだろうか。1位は「着物、袴(77.1%)」、次いで「ワンピース、スーツ」と「ドレス、タキシード」が12.7%で同率2位となった。日本の伝統的な行事だけに、和服が圧倒的な人気だ。
子どもの衣装をどう手配したかも尋ねている。最多は「レンタルした(65.1%)」、2位「家族・親戚・知人などのおさがりを着用した(18.7%)」、3位「購入した(16.9%)」という結果となった。
ヘアメイクや着付けについてもどうしたか質問すると、1位は「写真スタジオでやってもらった(42.8%)」、次いで「自宅で両親や親族が仕上げた(38.6%)」「美容室でやってもらった(10.8%)」が上位に挙がった。
パパ・ママの服装についても尋ねたところ、「父母ともに洋装(ワンピース、スーツなど)」が53.0%と過半数を占め、次いで「少しフォーマルな普段着(16.3%)」「父は洋装、母は和装(12.0%)」という結果に。「父母ともに和装」は8.4%にとどまった。
そんな七五三イベントには費用がいくらかかるのかも気になるところだ。かかった総額を聞くと、「40,000円~69,999円(44.0%)」が最も多く、次いで「10,000円~39,999円(32.5%)」「70,000円~99,999円(14.5%)」という結果だった。
かかった費用に対して想定通りだったか、の質問には、「想定通りだった(54.2%)」が最も多く、次いで「想定よりもかかった(24.7%)」「想定よりもかからなかった(15.1%)」となり、半数以上が予算内ですませられたようだ。
一方で、「想定よりもかかった」「想定より大幅にかかった」と答えた人(計26.5%)が、「想定よりもかからなかった」「想定よりも大幅にかからなった」と答えた人(計19.3%)を上回り、意外とお金がかかる可能性も覚悟しておいた方がいいかもしれない。
なお、祖父母から費用に対する援助があったかという質問に対しては、半数以上が「援助はなかった(58.4%)」と回答し、多くはお祝い金以外で祖父母から費用の援助を受けていないことがわかった。
兄弟・姉妹がいる場合、本来七五三の年ではなくても費用や手間を考えて一緒に実施しようと思うこともあるだろう。このようなケースについても尋ねている。
結果は「年の近い兄弟・姉妹がいるが、それぞれ該当する年に実施する/した」が41.7%。「年が近いので一緒に実施した」が28.1%、「年が近くないが、記念に同じような衣装を着用した」が26.0%だった。少し大変かもしれないが、七五三の本来の意義を大切に、1人ひとり都度行うパパ・ママが多いのだ。
事前準備や安くはない費用、当日子どもの機嫌を損ねないような立ち回りなど、決して楽ではないにも関わらず今も大事なイベントとして多くの家庭が行っている七五三。
はるか昔は現世の存在としてまだ安定していない乳幼児は神様からの預かりものと考えられていたが、現代家庭においても、節目を無事に迎えるまでにはいろいろなことがあったはず。子どももパパ・ママもよく頑張ってきた。七五三はそのことを家族で確認する大事な日なのだ。
〈調査概要〉
「七五三イベントに関する実態調査」
・調査対象:昨年2022年に七五三イベントを実施したママ・パパ
・調査方法:クラウドソーシング「シュフティ」を活用した、インターネット調査
・調査期間:2023年8月25日~9月2日
・サンプル数:166名
・調査主体:OurPhoto
・調査レポート:www.uluru.biz/news/12386
文:平井達也
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