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2023.08.30
食育が重要視されている理由はいくつかある。子どもの心身の発達や生きる力を育むために大切であるということ。さらに、環境問題や国際的な資源の偏在など、SDGsにも挙げられる現代的な課題を知るきっかけになること。また、畑で作物を育てたり料理をすることを通して、子どもは五感を使って学ぶことができる。
とはいえ、料理を教える以外にどんなことをしたら良いのかよくわからない……そんなパパ・ママも少なくないだろう。今回は、昨今特に注目されている食品ロスの問題にもフォーカスして開かれた、ある教室の様子をレポートする。きっとわが子への食育のイメージがわくはずだ。
2023年7月26日(水)、グローバル刃物メーカーの貝印株式会社が小学生を対象とした包丁教室「畑で学ぶやさしい切りかた教室」を開催した。
会場となったのは、千葉県木更津市にあるサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」だ。バスの中では、管理栄養士/SDGs料理研究家で、お料理エンタメ動画の配信でも人気のとぅぃんくる星美さんも同乗。
それぞれの家庭で事前に調査した1日の食品ロスを発表して、気づきのきっかけをつくったり、食と環境についてのクイズを出して、子どもたちの興味を盛り上げた。
KURKKU FIELDSでは、食べ物が生まれる現場ならではの体験学習が行われた。施設では「エネルギー」や「土」「水」が形態を変えながら循環する仕組みを作っている。その循環型農場のシステム説明の後に見せてもらったのは、近隣で捕獲されたイノシシの骨。本物の野獣の骨に子どもたちは大興奮!
骨は廃棄物ではない。まず煮込まれてスープになり、残りは粉砕されて鶏のエサになる。ここでは近隣の海で海苔の養殖に使われた後破棄されていた蠣の殻も、カルシウム源として鶏のエサや肥料に活用されている。
野菜クズを農場の肥料に変えるコンポストではミミズが一役買っている。子どもたちは興味深そうに箱をのぞき込んでミミズを探していた。
農場では野菜の収穫も体験。爽やかな香りのバジルを摘んだり、ミニトマトも種類によって味や食感が違うことを自分の舌で確かめた。
そしてキッチンに移動して調理体験。食品ロス問題の原因の1つは、本来食べられる部分まで捨ててしまう「過剰除去」だ。とぅぃんくるさんの指導のもと、子どもたちは過剰除去をしない“やさしい切りかた”で、自分たちで収穫した野菜を刻んでいった。
刻んだ野菜はおにぎりや餃子の具材に。調理では貝印のキッチンツールブランド「リトルシェフクラブ」の子ども用包丁や「とびだすおにぎり型」「はさんでできるぎょうざ型」を用いて、みんなスムーズに楽しむことができた。
食品ロスを生まない切り方やレシピを知るには、Webサイトの「やさしい切りかた辞典™」※がおすすめだ。監修しているのはラク家事アドバイザー/料理研究家の島本美由紀さん。キャベツやにんじん、ブロッコリー、たまねぎといった野菜を無駄なく美味しく食べられる切り方を動画などで紹介している。
カボチャのワタも調理すれば食べられることを知っているだろうか。ついつい過剰に切ったり、剥いたりしてしまう皮や茎の部分も、実はムダなく美味しく食べることができるという。ぜひ家庭でもこうしたサイトなどを活用して、わが子と一緒にサステナブルな調理に挑戦してほしい。
※Webサイト「やさしい切りかた辞典™」:www.kai-group.com/products/special/hocho/yasashii
SDGsについて考えたり、循環型農場の仕組みを知ったり、食品ロスを減らす食べ方にトライしてみたり……食育でできること・学べることはたくさんある。
農業の現場や料理を体験することは、食べることは命をいただくことだという気づきにつながる。そして、生きものや環境への思いやりを育てることにもつながっていくはずだ。
文:平井達也
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