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2023.06.27
学校でも家庭でも、子どもが当たり前にデジタル端末に触れるようになった今だが、ChatGPTなどの生成系AIの利用には不安を覚える保護者も少なくない。不安の1つには間違った情報へのアクセスがあるだろう。もう1つは、勉強もAI頼みになってしまい思考力や創造力が育たないのでは……という懸念からくるものだ。
子どものChatGPT利用にはどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。また、規制したり禁止したりすべきなのだろうか。調査結果から考えてみよう。
株式会社CyberOwlが運営する塾や習い事に関する総合情報サイト「テラコヤプラス by Ameba(terakoya.ameba.jp)」は、全国の小学3年生~高校生の保護者508人に対して「子どものChatGPT利用」について、インターネット調査を行った。
まず尋ねているのは、保護者自身がChatGPTを使ったことがあるか。「ある」と回答したのは3割にとどまった。
使わない理由も質問すると、「必要性を感じない」がもっとも多く30.0%、続いて「使い方がわからないから」が24.1%、「ChatGPTを聞いたことがない」という保護者が17.2%いることも明らかになった。
「子どもはChatGPTを知っているか」を聞くと、4割が「子どもはChatGPTを知っている」と回答した。「知っているかどうかわからない」の回答も27.4%あり、過半数の子どもがChatGPTを認知している可能性がある。
実際に子どもがChatGPTを使っているという声も寄せられた。具体的には「目的はなくただどんなものか遊び半分で使っていた(小学6年生の保護者)」「ChatGPTが答えられないようなひねくれた質問を考えては書き込んで、1人でツッコミを入れている(高校2年生の保護者)」と、無邪気な利用が中心のようだ。
中には「課題の作文に行き詰まり、アドバイスを貰うために利用したそうです(高校1年生の保護者)」と実用的な利用の例も出てくる。
子どもの利用を保護者たちはどう感じているのだろう。「子どものChatGPTの利用に不安はあるか」を尋ねると、「不安(15.2%)」「どちらかと言えば不安(49.0%)」と、約6割の保護者が子どもへの影響を不安視していることがわかった。
不安の中身としては、「思考力の低下」と「誤った情報を信じてしまうこと」が多い。
しかし、子どもの利用への不安は、「保護者自身のChatGPTの使用経験」によって大きな違いが出た。ChatGPTを利用したことがない保護者は、「子どもの利用は不安か」の問いに対して「不安(18.6%)」「どちらかと言えば不安(54.3%)」と、7割が不安という回答。
一方、ChatGPTを利用したことがある保護者は同じ問いに「不安(7.1%)」「どちらかと言えば不安(37.0%)」と、不安は4割にとどまった。自分で利用経験がある親は、過半数が子どものChatGPT利用にさほど不安を感じていないのだ。
「子どものChatGPTの利用に規制などは必要だと思うか」という質問でも同様の結果となった。全体では「とてもそう思う(24.0%)」「そう思う(48.0%)」の7割以上が規制を設けることに前向きだ。
これが、利用経験がない保護者に限ると、「とてもそう思う(28.5%)」「そう思う(53.1%)」の約8割が規制をすべきだと考えていることに。利用経験がある保護者だけでは、「とてもそう思う(13.6%)」「そう思う(36.4%)」の5割にとどまった。ChatGPTを使ったことのない人の中では不安が先行しがちなのかもしれない。
さらに、「規制が必要」と考える理由と「規制は不要」と考える理由を寄せられた声から紹介しよう。
●「ChatGPTは、知らず知らずのうちに著作権を侵害してしまうことがあると聞いたため、きちんと規制をしてほしい。また、何でもかんでもChatGPTに任せてしまうと思考力が低下するため、年齢ごとに制限があるといい」(小学3年生の保護者)
●ある程度の知識やリサーチ力がないと、チャットGPTの提供する内容の正誤を判断できない。最低限、その判断ができる知識を得るまでは使用を制限した方がよい」(中学1年生の保護者)
●「使いこなせれば非常に面白いツールだと思ったため。例えば、『この本の感想文をChatGPTを使って書きなさい。ただし丸写しは禁止。必ず自分の言葉に書き換えること』と授業があったとしたら、読書感想文の書き方がわからないだけで『嫌い』と言っていた子が本に興味をもつきっかけになったり、語彙力が増える可能性もあると思う」(小学3年生の保護者)
●「規制するのではなく、どのように利用していき、どのような懸念点があるかを知っておくことが大切だと思う」(小学6年生の保護者)
さて、AIの発達により人間の仕事が奪われるなど、社会が大きく変わることを心配する声は大きい。これから人生を歩んでいく子どもの親としては、わが子はどんな社会を生きていくことになるのか、考えずにはいられないだろう。
AI時代と言われる中、子ども世代の将来は保護者世代と比べて大きく変化すると思うか、も尋ねている。「とてもそう思う(47.7%)」「そう思う(48.0%)」と、ほとんどの親が大きな変化を予想している。
そんな変化への予感も背景に、保護者たちは子どもに何を身につけさせたいと考えているのだろうか。調査では、将来役に立ちそうな習い事も尋ねている。
1位は「プログラミング教室」。やはりAI時代への対応が必要だと考えられているのだ。2位は「スポーツの習い事」。AIに代替してもらえない健康や自主性、協調性に価値が置かれている。3位は「塾・学習塾」。自分で考える力を育んでほしいという願いの反映のようだ。4位は「語学」、5位は「アートの習い事(工作や絵画教室)」と続いた。
実はChatGPTの操作はそれほど難しくはない。だからこそ子どもが容易に使ってしまうことへの懸念も生まれるのだが。ChatGPTの便利さや面白さも、その危うさも、実際に使ってみることで体感できる。
わが子がAIと付き合いながら生きていくことはほぼ間違いないだろう。わが子にどう触れさせるかを考えるために、パパ・ママ自身が利用して確かめてみる必要がありそうだ。
〈調査概要〉
「ChatGPT」に関するアンケート
調査期間:2023年4月28日~5月22日
調査機関:自社
調査対象:全国の小学3年生~高校3年生の子どもの保護者508人
調査方法:インターネット(クラウドワークス)
文:平井達也
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