2021.11.02
2023.06.07
2020.03.03
子供のための遊びと学びの拠点を作るワークショップを企画・開発する「キッズクリエイティブ研究所」。2008年にスタートした「こども造形工房」を前身とし、大学やオフィスなど、社会のあらゆる場所で500回以上のワークショップを実施してきた。
大事にしていることは、「造形」「サイエンス」「身体表現」「プログラミング」「電子工作」など、様々なことを子供たちに体験してもらうこと。
同研究所を運営するNPO法人CANVASの理事長を務める石戸奈々子氏はプログラミング教育の第一人者だが、デジタルとアナログのどちらも同等に重要であると考えている。
線や配色などカラーコードで動く「ozobot(オゾボット)」というロボットをつかって、宝箱がある目的地に連れていったり、みんなで街を作ったりする。
多種多様な葉っぱを集めて自分だけの図鑑づくり。手で触ったり匂いを嗅いだり、五感をつかった遊びも大事にしている。
研究所では、アーティストや専門家との連携により、プログラムを300個以上開発。多種多様なワークショップの内容の中に「かんじる・かんがえる・つくる・つたえる」という軸を持ち、作品として目に見えるアウトプットだけでなく、子供たちが様々な体験をする中で生みだすプロセスを慎重に見守るファシリテーションを整えている。
CANVAS理事長・石戸さん:例えば、『こまかく切って犬にんぎょうつくり』というプログラム※1。紙をハサミで細く切りジップロックに詰めて、犬を作る内容です。
犬って触るとどんな感じ? と問いかけると、『ふわふわ!』『やわらかい!』『気持ちいい!』などの反応があります。
どんな風に紙を切るとそうなるかな? と問いかけると、子供たちは紙を切ってジップロックにつめて抱えてみて、自分が思う“ふわふわ”や“気持ちよさ”を確かめながら、再び紙を切ってジップロックに詰めてを繰り返します。
ただ“紙を切る”という行為の中にも、紙をどれだけの細さに切る? どうやったら効率よく紙を切ることができる? など、子供が自分で感じたこと、考えたことを起点に楽しみながら試行錯誤を繰り返した先に自分だけの犬を完成させました。
紙をもくもくと切る心地よさ、それを思わず袋に詰めたくなる衝動など、自然と○○したくなるようなプロセスも大切にしています。
こうした体験を通じて、子供の創造性や自主性を育むことを目的としているんです。
造作教室「こどもだけのミュージアム」も人気。約70種類の素材と道具を与えられ、2時間の中で子供たちは自由に、想像し、色々試しながら造作を楽しむ。
「viscuit(ビスケット)」というプログラミング言語を用いて、子供たちは自分で描いた絵に「動き」のプログラムを入れて遊ぶ。友達みんなが描いた絵が1つの画面に集まると愉快な世界が広がる。
同研究所の窪村永里子氏は続ける。
窪村さん:『STEAM(スティーム)』は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取った言葉で、理数系教育をアートの要素を取り入れながら統合的に学ぶことを表し、教育分野で注目されています。
本物の自然に触れて自然科学への興味を見つけてもらう、何かを作る経験を通して創作性を伸ばしてもらうなど、押し付けでない子供本人の『自主性』を育むことが一番大事だと思っています。
私たちのプログラムは、豊かな学びへの入り口を見つけるきっかけを目指すものです。
※1『こまかく切って犬にんぎょうつくり』のプログラム提供は深沢アート研究所。
CANVAS
TEL:03-6802-7984
文:木村悦子
FQ Kids Vol.00 より転載
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