2022.02.28
2023.04.14
2022.12.08
子供が食べることや食べるものに関心を持ったところから、実際に作ってみたりお手伝いをしてみることに興味を広げてくれたら、親としてはすごく嬉しいことです。ただ、ご飯づくりって楽しいことばかりじゃないですよね。
手も汚れるし、時には臭かったりもします。お魚なんかはヌルヌルしますし、指を切ってしまったり、火傷したり。洗い物だって大変。そういった「楽しいことばかりじゃない」ということも、子供にはちゃんと知ってほしい。
お手伝いをしてもらう時に、ただただ楽しく終わるようにこちらがお膳立てすることはもちろんできますが、面倒くさいことは面倒くさいとわかっていくことも必要だと思っています。
わが家では、お手伝いしてくれている子供が「疲れた」などとやめようとすると、「別にやめてもいいけど、その分おかず減るよ」とスパルタに言うこともあります(笑)。
ご飯を作ることの大変さも知ることで、できた時の達成感も知ってほしい。ついでに、普段ご飯を作っている私や夫の気持ちがわかってくれるようになったら、もっと嬉しいですね。
「料理を面倒くさがる自分はダメだ」とは思わないでほしいです。面倒くさいものなんだと開き直って、面倒くさいと思いながらやるしかない。そう思えるようになるとラクなんだという話を、服部幸應先生としたことがあります。
社会に出たら「なんで自分がこんなことをやらないといけないのか」と思うことだってあるでしょう。その時に「しょうがない、誰かがやらないといけないんだから」と思って動けるか、「こんなことはできないからやめます」と次々諦めてしまうかで、大きく違いますよね。
大げさかもしれませんが、どんな生き方をするかというところにつながる話だと思うんです。子供にこれを説明して理解してもらうのはすごく大変ですが、料理を通じてなら教えてあげられるような気がします。
子供たちには楽しいことだけ味わせてあげたくなる気持ちもわかりますが、「面倒くさいよねぇ」とか「手を切ったら痛いよね、やめたくなるよね」「それわかる」なんて言い合いながら一緒にキッチンに立つのも大切なことかな、と思っています。
「失敗から学ぶ」という点でも、子供にとって良い経験ができることがあります。
これはわが家の話なのですが、子供が、作っていたハンバーグを丸焦げにしてしまったことがありました。それだけでも本人たちにとってはショックだったと思うのですが、その焦げたハンバーグを、(平野)レミさんが一切食べてくれなかったんですね。「焦げているところは私は食べないからね」って。
いつもはただ生きているだけで褒めてくれるような人が、焦げたハンバーグは全否定してくる。これはレミさんのすごくいいところで、要は、子供であっても対等に見ていて、やればなんだっていいわけじゃない、ということなんだと思います。
これはどうみても失敗だよねと、失敗は失敗として認めて伝える。じゃあどうすれば失敗しないのか、どうすれば焦げなかったのか、悔しいから子供なりに考えるわけです。ちゃんと現実を見て、失敗と向き合ってくれる存在がいるというのは、子供にとって大事なこと。また1つ大きく成長する機会となりました。
普段からわが家はご飯づくりに対してはシビアで、子供だからといって甘やかしたりはしないところがあります。ちょっと特殊なのかもしれないですが(笑)、それだけ真剣に向き合うスタンスを見せるのも、私は大事なことだと思っています。多分、レミさんはそんなところまで考えていなかったとは思うんですけどね(笑)
和田明日香
料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、各地での講演会、コラム執筆、CM出演など、幅広く活動する。
文:志村江
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