わが子の英語教育に最も必要なことって? 「伝えたい」を育むために親ができること

わが子の英語教育に最も必要なことって? 「伝えたい」を育むために親ができること
うちの子にも英語教育を……とは言え何を目的に、どれくらい学んだらいいのだろう。家族でオーストラリアへの教育移住をした小島慶子さんが語る、英語習得のポイントとなった経験、そもそも大切な“大前提”とは?

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わが子の英語教育は何のため?

今は子供の英語教育に熱心な人が多いですね。赤ちゃんの時から触れさせている人もいるでしょう。さて、あなたは何のために、子供に英語力をつけてほしいと思っていますか? お受験のため? 留学のため? 就活のためかもしれませんね。今は、国内での就職にも英語力が必須ですから。

欧米の名門校に入れるためという人もいるでしょう。スタンフォード大学などの一流大学の合格率はわずか数%だそうですから、英語圏の秀才と競争するためには大変な努力とお金が必要です。もちろん、そんな投資ができるのは限られた人たち。ではそれ以外の人にとって、わが子の英語教育は何のためなのでしょうか。

私が息子たちに英語を習わせたのは、世界のどこでも生きていけるようにするためでした。このまま日本の低成長が続くなら、成長力のある非英語圏の海外で働くことも視野に入れておく必要があります。つまり、東南アジアでもアフリカでも、世界のどこでも生き延びられるようにしようと思いました。

日本語しかできないよりも、英語ができた方が選択肢が増え、生きていける場所も広がると考えたのです。いわば、サバイバルのための英語教育ですね。

息子たちを産んだ2000年代前半当時は、まさかオーストラリアで子育てをすることになるとは思っていなかったし、日本の公立小でもまだ英語は必修ではありませんでした。ただ、今後日本が経済的にシュリンクしていくことは予想できましたから、わが子が将来、日本以外で生きていけるようにすることが必要だと思ったのです。

週に1度でも、
英語に触れる経験が功を奏す

では何をしたか。週に1度は必ず英語に触れる機会をつくりました。英語といっても色々で、いわゆるネイティブスピーカーと話す時もあれば、日本人やフランス人や中国人など色々な国の人が話す英語に触れる時もありました。

グループの時もあれば個人レッスンの時もあり、遊びながら英語に触れることもあれば、いわゆる英会話のレッスンのこともありました。息子たちの年齢や興味に合わせて教室を変えながら、それでも週に1度は必ず英語を話す人と時間を過ごすようにしていたのです。

当時はこれで身につくのかなと半信半疑でしたが、息子たちが小6と小3でオーストラリアに引っ越した時に、やっていて本当に良かったと思いました。全く経験がないのと、簡単な英単語は知っているとか、相手が言っていることがなんとなくわかるというのとでは、やはり違います。オーストラリアのとても親切な英語教育のおかげもあり、その後は大きな壁にぶつかることもなく馴染むことができました。

息子たちは今ではオーストラリアの大学1年生と高校1年生です。子供の頃に英語を習っていて何がよかったと思う? と尋ねると揃って「英語を話す機会があったこと」と言いました。確かに、2人ともオーストラリアに来た当初から、不完全でも英語を話すことには全く抵抗がない様子でした。

おそらく、英会話教室でちゃんと大人が聞いてくれる経験をしていたので、英語を話すことを怖がらずに済んだのだと思います。耳が慣れていたことも大きいでしょう。rとl、thとsなどの音を聞き分けられるのは幼い頃に触れていないと難しいそうですから、これもやっておいて良かったです。


コミュニケーションの基本
「伝えたい」気持ちを育むもの

そして何より幸いしたのは、2人ともとてもおしゃべりな子供だったことです。ねえママ、ねえパパと、いつも話したいことがいっぱい。私と夫も子供たちの話を一生懸命聞いて、たくさんおしゃべりしました。日本語での会話ですよ。

外国語の習得で必ず言われることですが、そもそも日本語できちんとものを考え、言いたいことを言う力がないと、いくら外国語の単語を覚えたり発音を練習したりしても、話す・書くという自発的な表現は上達しません。

だからもしあなたが英語が苦手でも、子供の英語教育を心配しないでください。週に1度でも、月に1度でもいいから定期的に英語に触れて話す機会を作ってあげること、そして何より、親子の会話を豊かにすることです。

子供が、ものを考えて話すのは楽しい、文章を書けば喜んで読んでくれる人がいると思えるように。あなたは安心して表現していいんだよ、あなたの話には答えてくれる人が必ずいるよと全身で伝えましょう。

言語の習得にはまず考える力、つまり物事を頭の中で言葉に落とし込み、組み立てる力が必要です。大事なのは「伝えたい」という動機です。それらをまず、日本語でしっかりと与えてあげるのが、親にできる最大のことではないかと思います。だから時には先回りせず、本人が話すのをじっと待ってあげることも非常に大切です。

自分の考えを持ち、熱意を持って伝えることができる人は、たとえ言葉が完全でなくてもコミュニケーションが可能です。知性は言語を超えて伝わるもの。その根底にあるのは、人を信じる気持ちです。言語教育においても、親の仕事は、子供を全力で歓迎することに変わりはありません。

プロフィール

小島慶子(こじま・けいこ)
エッセイスト、タレント。東京大学大学院情報学環客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所特別研究員、NPO法人キッズドアアドバイザー。1995年TBS入社。アナウンサーとして多くのテレビ、ラジオ番組に出演。2010年に独立。現在は、メディア出演・講演・執筆など幅広く活動。夫と息子たちが暮らすオーストラリアと日本とを行き来する生活を送る。著書『曼荼羅家族』(光文社)、他多数。
Twitter:@account_kkojima
Instagram:keiko_kojima_
公式サイト:アップルクロス

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