【医師が解説】子供の花粉症対策の方法は? 食事やスキンケアで気をつけたいポイント

【医師が解説】子供の花粉症対策の方法は? 食事やスキンケアで気をつけたいポイント
今年も花粉シーズンが到来。近年は、より子供の花粉症が増える気配にあるという。春の訪れを感じる季節を子供と思いきり楽しむために、花粉症のメカニズムと対策をしっかりと学んでおこう。

6割のパパママが
子供のアレルギーに悩んでいる

株式会社はぐくみプラスが2021年1月に全国の産科医・小児科医を対象に実施した「子供のアレルギー」に関する調査によると、子供の体調についての親の悩みのうち最多が「アレルギー全般」(60.2%)であった。

さらに「アレルギーを発症する割合は5年前と比べて高くなっているか?」の問いに対して、「非常に高くなっている(24.4%)」「多少高くなっている(54.5%)」と、「高くなっている」との回答が78.9%と実に8割にのぼる。

具体的なアレルギーを見ると、「食物アレルギー」(31.5%)、「アトピー性皮膚炎」(29.8%)、「気管支ぜんそく」(19.1%)、「アレルギー性鼻炎(花粉症)」(13.7%)と続く。確かに、子供でも花粉症を発症するリスクはあるのだ。

医師の日比野佐和子先生によると、花粉症は一度、体内に花粉の含む異物に対抗するための抗体が作られて初めて起こるので、花粉をまだ体内に取り込んでいない乳児が花粉症になる可能性はないという。

しかし、徐々に外に出る機会も増え、近年は生活環境に菌やウイルスが少なくなったことから、免疫機能が訓練されないまま成長する過程で幼児も花粉症を発症するケースは増えているそうだ。

子供のための花粉症対策

大人でもつらい花粉症。わが子を守りたいパパママに、家庭で取り組める対策を紹介しよう。

対策①
積極的に外遊びをさせてあげる

「衛生的にも感染症対策的にも危険がない環境で子供を積極的に外遊びさせることが、将来の花粉症予防につながる可能性があります。1歳頃までに動物園や牧場などの動物がいる場所に連れて行くのもおすすめです。

家畜農家の子供は、都会の子供に比較して、花粉症、アレルギー性喘息の発症が少ないということが以前から報告されています。動物がいる環境では、動物の糞などから出るエンドトキシンという細菌が大気中に浮遊していて、呼吸と同時に自然に体内に入ることで、病原体を攻撃する抗体が活発に作られるようになり、アレルギー体質になりにくくなる可能性が高まるといえます。」(日比野先生)

極端に衛生的な環境で育てると逆にアレルギーが出るという傾向は、どうやら本当のようだ。子供の体質をよく見つめながら、将来花粉で春が憂鬱なオトナにならないよう、できるサポートはしてあげたいもの。

対策②
花粉対策になる食品を積極的に摂取

1.たんぱく質を多く含む食品(大豆・肉・魚・卵など)
人間の身体をつくる主成分といえば、たんぱく質。免疫細胞を活性化するのに必要なのも「たんぱく質」。納豆、豆腐といった大豆製品や、肉や魚、卵をバランスよく食べさせてあげるようにしよう。

2.免疫バランスを調える「パラミロン」
最近スーパーやドラックストアでもパウダー状のものやドリンク状の製品で見かけるユーグレナ(和名はミドリムシ)は「虫」ではなくて「藻類(もるい)」の一種。ユーグレナにだけ含まれる「パラミロン」という食物繊維が、免疫細胞の働きのバランスを整える作用があることがわかっている。

「パラミロン」には“トゲ”のように突起した箇所があり、これが細菌が持つトゲトゲの部分(糖鎖という)に似た形状のため、「パラミロン」を身体に取り込むことで普段は活性化していない免疫が活性化され、花粉症対策に。子供が喜びそうな美味しいドリンク(昔懐かしい乳性飲料の味がして、パパママもちょっと楽しい)が出ているので活用しよう。

からだにユーグレナ
フルーツグリーンオレ

125ml ¥149(税込)

3.きのこ類のβ-グルカン
きのこ類は食物繊維が豊富ですが、中でも多くのきのこ類に含まれる「β-グルカン」は免疫細胞を活性化する作用が。他にもきのこに含まれるビタミンB1やB6、ナイアシンにも皮膚や粘膜を保護する効果、精神の安定をもたらす効果があると言われる。栄養価が高いきのこはいろいろな種類に挑戦させたい。

4.ヨーグルト
免疫細胞の約7割が腸に集まっているので、腸内環境を整え、免疫細胞を活性化することは非常に重要だ。腸内環境を整え、皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンAをはじめビタミンB群も豊富なヨーグルト。胃酸が薄まり、乳酸菌が生きたまま腸まで届きやすくなる食後に食べるのがおすすめ。

対策③
花粉を身体につけない

花粉はくしゃみや鼻水といった花粉症の症状だけでなく、花粉それ自体が皮膚に付着することで肌荒れを起こすリスクがあることをご存知だろうか? 資生堂の研究で、“花粉症でない人にも花粉による肌荒れが起こり得る”ことが判明したのだ。

資生堂によると、多くの花粉症の原因にもなっており、目や鼻のアレルギー症状を引き起こすスギ花粉のタンパクである「Cryj1(クリジェイワン)」という物質が肌に付着すると、通常は活動していない肌の中の「トロンビン」という酵素を活性化させてしまうという。この酵素が暴れることで、表皮細胞は興奮状態になり、肌荒れの原因になるという仕組みだ。

これは花粉症でない人でも発動しうるメカニズムだというから、花粉症でない子供の肌も、花粉用のスキンケアなどで守ってあげるほうが得策だ。

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