「そもそも違う」から始めよう。家族と“ダイバーシティ”を考えるための4つのヒント

「そもそも違う」から始めよう。家族と“ダイバーシティ”を考えるための4つのヒント
「ダイバーシティ」について頭では理解しているつもりでも、本当に自分ごとにできているだろうか? “多様な生き方を認め合うこと”について、YouTube動画や本、映画から家族で考えてみよう。

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お互いの色を尊重し
自分も他者も理解したい

YouTube 「星と虹色なこどもたち」
レッドくん、オレンジちゃんなど7人のパペットが登場。困ったことがあっても他の色の仲間が助けてくれる。障害があるなしの境界線は限りなくグラデーションで、誰もが虹色のどれかを持っている。

動画を配信する一般社団法人「星と虹色なこどもたち」会長で明星大学教育学部教授の星山麻木先生は「多様性尊重を理解するには自分理解が大切。自分の個性や特性をよく知ってから子供やパートナーと向き合うことで、相手を受容する力が育まれます。自分は何色が濃い虹色の親なのか理解してみて」とアドバイス。同タイトルの絵本も要チェック。

子供は大人の姿勢を見ている。
ごまかせない!

Book 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
ブレイディみかこ 著
新潮社 ¥1,350

2019年の本屋大賞を受賞したこの本は、貧困問題や人種差別、ジェンダーの悩みなどを中学生の「ぼく」が軽やかに乗り越えていく物語。母であり著者のブレイディさんは「特別にどこかに行くとか教材を買うとかではなく、生活の中で自分とは違う立場や考え方の人と対話し、知ろうとする姿勢が大人にあれば、子供は見ています」という。

子供の個性の捉え方については「子供は親を選べないので、生まれた時から親の個性とつきあい、我慢してくれていると思えば、尊重すべきものとしか捉えられなくなるのでは」とアドバイス。それは親子関係だけでなく、他の場合も同じだ。

互いを尊重して生きる力を育てる
日本初のイエナプラン教育の実践校

School 「茂来学園大日向小学校」

異年齢クラスでは、入学時から、誰と、いつ、どのように学ぶかなどを選択できる。

2019年に長野県南佐久郡に生まれた大日向小学校はイエナプランのコンセプトに基づいた日本初の小学校。自然豊かな地で地域の人と交流しながら「共に生きる」ことを大切にしている。

宅明健太教頭はいう。「多様な人たちが共に生きるにはどうしたらよいかを学ぶためファミリーグループ(クラス)は異年齢で構成。年齢が違えば発達段階も異なり、得意不得意や価値観なども違い、『そもそも違う』を出発点に活動しています。グループリーダー(教師)は1人ひとりの特徴を捉え、個々の学びを支援します」。多様性を尊重されて育つ子供たちの将来が楽しみだ。

異なる価値観がぶつかり合うことは当然。学校を共につくる保護者達とも対話を重ねる。

発達障害の叔父の
幸せな日常を追う記録映画

Movie 「だってしょうがないじゃない」

障害があるとかわいそうという概念が取り払われる。広汎性発達障害があるまことさんは母を亡くし福祉サポートを得ながら1人暮らしを続ける。彼のルーティンは美しく、限りなく自然体だ。

監督の坪田義史さんは「僕は発達障害(ADHD)の診断を受けているけど、子供の成長を妨げるもの=障害にはなりたくない。伸びたい方向にいかせたい」という。障害をどう捉える? と考えさせられる映画だが、「まことさんの心配と僕らの心配は違い、まことさんの安心と僕らの安心は違う。そこに他者理解のポイントがあります」社会が作るスタンダードとは果たして? と考え直したい。


文/江頭恵子

FQ Kids VOL.04(2020年秋号)より転載

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