AI時代を生き抜く『アート思考』を育てる、Art中心のSTEAM教育とは|専門家が解説

AI時代を生き抜く『アート思考』を育てる、Art中心のSTEAM教育とは|専門家が解説
STEAM教育といえば、プログラミングなど理数系のイメージがある。しかし、STEAMのAである“Art”で育まれる『アート思考』が、これからのAI時代を生き抜くためには不可欠だ。アート思考を育てるポイントを専門家に聞いた。

<目次>
1.STEAM教育における“Art”の意味とは?
2.『アート思考』を育てるために大切なこと
3.森下さんに聞いた! アート思考を育てる4つのプロセス
4.3歳から楽しんでできる! 「Art×〇〇でSTEAM教育」アイデア

 

教えてくれた人

STEAMS教育コンサルタント
森下絵美子さん

バーミンガム大学美術史・音楽学士号取得、ロンドン大学 University College London美術史修士号取得。アトリエベッラルーナを設立し、STEAM教育にSportsを加えた“STEAMS教育”のコンサルタントとして、教室運営、出張授業、教材販売、企業/団体とイベント開催及びプログラム開発等を行う。

STEAM教育における
“Art”の意味とは?

「Artの教育というと、お絵描きや工作、というイメージがあるかもしれません。でもArtの本質は、固定概念を取り払って、自由な発想や表現をすること。AIやITがどんどん発展するこれからの時代には、そんな『アート思考』を育てることが重要です」。

ロンドン大学で美術史を修め、Art中心のSTEAMS教育(※)のプログラムを開発・提供している森下絵美子さんはそう語る。(※STEAM教育にSportsを加えた教育のあり方)

「美術でも有名なレオナルド・ダ・ヴィンチは、科学を始めとするさまざまな分野でも造詣が深い人物でした。そんなオールラウンダーな人間を育てることが、STEAM教育の本来の目的だと考えています」。

『アート思考』を
育てるために大切なこと

では、アート思考を育てるためには何が必要なのだろうか。

「自分の表現を作品としてアウトプットすることは不可欠ですが、そのプロセスが重要です。いろいろな体験をして、自分なりに考え、脳にさまざまな情報を蓄えること。また、人との対話を通して新しい表現を生み出したり、自分のアイデアを言葉で人に伝える経験を積むことも大切です」。

Artはゼロから自分1人で作り出すものだと思われがちだ。しかし、「実際はゼロからは生まれないし、1人でも生み出せません」と森下さん。アート思考を育てるために重要な4つのプロセスを教えてもらった。

森下さんに聞いた!
アート思考を育てる4つのプロセス

1.考えながら観察する

作品や物事を見るときに、「なぜ?」と考えるくせをつけること。「これはどうしてかな?」と子どもに投げかけ、当たり前だと思っていたことを問い直すことが、課題を発見したり、新しいものの見方に気付くことにつながります。

2.試行錯誤する

自分なりの表現やアウトプットをするために、自分で考えて試行錯誤をすること。大人が正解を教えずに、自分で考えて、やってみて、気付くプロセスを体験することが、課題に対して創造的な解決方法を生み出すことにつながります。

3.人と対話する

人の意見やアイデアに耳を傾け、視野を広げること。Artは1人で取り組むものだと思われがちですが、人とコミュニケーションやコラボレーションをすることで新しいアイデアや表現が生まれます。

4.プレゼンテーションする

自分の表現やアウトプットについて、自分の言葉で人に伝えること。相手に伝わるような言葉で説明する、さらに言えば、人に伝わるような表現やアウトプットを考えることは、将来的に社会で自分の力を活かしていくためにも欠かせません。

3歳から楽しんでできる!
「Art×〇〇でSTEAM教育」アイデア

「STEAM教育でアート思考を育てる」というと難しそうだが、Artを中心にすることで、幼児から楽しんで取り組めるという。森下さんが実践した事例を通して、アート思考を育む具体的なプロセスを紹介!

Art × 食育

小学校低学年を対象として、世界各国で本格的なイタリア料理やエスプレッソを提供するパスクッチとのタイアップにて実施。

①プロのシェフから、イタリアの食事の文化についての話を聞く

②お菓子の塗り絵をしたり、オリジナルお菓子のデザインを考える

③シェフの指導で、ティラミスをアレンジしたお菓子「チョコミス」の作り方を教わる

④自分で折り紙で型抜きをし、ココアパウダーをかけて自分の作品を作る

Art × スポーツ

小学校低学年を対象として、子ども向け運動教室も運営する株式会社Grit Nationとのタイアップにて実施。

①ボールを投げるフォームについて教える

②カラーボールを配る

③全員白Tシャツを着て、お互いに追いかけっこをしながらカラーボールをシャツに投げ合う

④インクが付いてカラフルに染まったシャツを作品として持ち帰る

Art × 自然

幼児を対象として、季節の自然とアップサイクル(※)をテーマに代々木公園にて実施。(※ごみになるものを、別の価値あるものに生まれ変わらせること)

①公園内を歩いて季節の変化を観察する

②落ちている葉っぱや木の実を拾う

③段ボールをアップサイクルした台紙に貼っていく

④季節の自然とアップサイクルを楽しみながら作品を作る

Art × 鑑賞教育

小学校高学年を対象として、「日本絵画」をテーマに東京都美術館にて実施。

①日本絵画について美術の専門家から学ぶ

②実際に美術館で日本絵画や掛け軸を鑑賞して、気づいたことを話し合う

③春夏秋冬の四季の音を聞いて、何を連想したかを絵に描く

④水彩画で掛け軸を描いて作品を作る

 

森下さんからのメッセージ

STEAMS教育でアート思考を育てる、というと難しそうに思えますが、料理やお菓子作りを通して物質の変化を楽しむこともできますし、身の回りのものを使って工作をするだけでも思考力を養うことができます。ぜひ、日常の親子の対話の中でアート思考を育てる取り組みをしてみてくださいね。

Art中心のSTEAMS教育のプロフェッショナル『アトリエベッラルーナ』

アトリエベッラルーナは、「AI時代を生き抜く創造力を身につける!」をビジョンとして、Art中心のSTEAMS教育のプログラムをさまざまな形で提案・実践しているプロフェッショナル。子どもたちやクライアントのニーズに合わせた豊富なアイデアの数々は、まさにアート思考の結晶だ。

 ◆イベント・ワークショップ提案 
企業・団体のニーズに合わせたSTEAMS教育のイベントやワークショップを提案。

 ◆プログラム提案・出張授業 
保育園・幼稚園などの教室施設にSTEAMS教育のプログラムを提供。

 ◆教材・書籍販売 
STEAMS教育の厳選したプログラムを誰でも実践できるよう、書籍やプログラムカードを販売。

 ◆STEAMSクラス運営 
東京都内の千石・大森でSTEAMS教育のクラスを運営。

DATA

アトリエベッラルーナ


文:FQ Kids編集部

Sponsored by アトリエベッラルーナ

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