2022.04.07
2022.01.03
2020.08.06
スケートパークに行くと、技を決めた子供にパパがハイタッチしたり、上手く乗れない悩みを共有したりするシーンをよく見かけます。できないところを大人が叱り、指導するというより、いかに親子で楽しむかが「親子スケボー」の醍醐味。上下関係ではなく、「1人の人間として対等なヨコの関係」を大切にする考え方が、スケボーには文化として根付いている。それが、スケボーを親子で楽しむスポーツとしてベストだと考える理由です。
アドラー心理学とは「人が幸せになるにはどうしたらいいか?」を心理学的に体系立てたもの。スケボーには、ライド(乗ること)が完璧でなくても「自己を受容する」という姿勢があり、上手くなるために一緒に練習する他者の手を借りる「他者信頼」があり、練習相手が上手くボードに乗れるようサポートする「他者貢献」があります。スケボーは、アドラー心理学の自己受容・他者信頼・他者貢献という「幸せになるための3条件」を兼ね備えているのです。
親子スケボーでは、パパの方が先に上達することが多いので、子供の勇気をくじかぬように、次のことを予告しておきます。「パパは大人だから先に上手くなるかもしれないけど、やがて絶対、キミのほうがうまくなるからね。だってオリンピック代表選手は、パパみたいな大人じゃなく、みんな10代後半の子たちなんだよ!」と。
親子で練習するポイントは、褒めない・叱らない・評価しない・他者と比べない。褒めて育てろとよくいわれますが、褒める行為は上から目線。相手をリスペクトする態度とは言えません。
また、失敗を恐れないこと。転ぶのは恥ずかしいことではなく、経験値を上げることです。スケボーは誰でもみな必ず転びますから(笑)。親はあれこれ指示出しせず、ボードに乗るタイミングもスピードを落とすタイミングも、全て子供に「自己決定」させることが大切です。それが勇気づけに繋がります。
今回チャレンジしてくれた親子は、岡亮太パパと、息子の瑛都くん(4歳8ヶ月)。
最近スケボーを始めたばかりの瑛都くん。パパは経験者だが、スケートパークは初めて。「前から来てみたかったんです。広くて滑りやすそうですね」。
早速練習スタート!
STEP1:乗る(スタンス)
重心がデッキの中央にある状態を維持し、デッキ上の感触を覚える。ポイントは、共感ファーストだ。「できない!」に対して共感して声がけし、心理的安全を確保しよう。
①
デッキの正面に立ち、後ろ足を地面につけたまま前足をつま先が進行方向に向くように前方のビスの上に乗せる。※前に置く足は、左右両方試してみて違和感のない方を選ぶ。
②
後ろ足を地面から離し、テール側(後ろ側)のビスの上に乗せる。
③重心を前後に傾けると転ぶおそれがあるので、前足に重心を保ち、そっと後ろ足をテールへ移動。
◯ 子供に共感し、不安を和らげる。
「そうだね、怖いよね。でもヘルメットもプロテクターもあるから、大丈夫だよ」
「一緒にやってみよう!」
✕ 子供の考えを否定し、叱る。
「怖くなんかないよ」
「なんでできないの!?」
STEP2:プッシュ&止まる
スケートボードを漕いで前進する動作と止まる動作。ここで大事なのは「自己決定」。タイミングも漕ぎ方もスピードも、どんな遊び方をするか“自分で”決めるのだ。
<プッシュ>
①つま先を進行方向に向け、前足をノーズ側(前側)のビスの上に置く。
②重心を前足に置いたまま、後ろ足を真後ろにまっすぐ押し出す。
③軽く地面を蹴り、ゆっくり進む。
④慣れてきたら力と体重をかけ、後ろ足を押し出すとスピードがつく。
⑤両足がデッキの上に乗ったら、重心は前足からデッキの中央に移動する。両足を横向きに。
<止まる>
①重心をデッキの中心に保ったまま、後ろ足を地面におろす。
②後ろ足でブレーキをかけるように止まる。
◯ 決定を促しつつ、見守っていることを伝える。
「どこまでなら自分で行けそう?」
「バランスが上手くとれるまで、ちゃんと見てるよ」
✕ 他者と比べたり、勇気をくじく。
「あの子はできたのに、なんでできないの?」
「やっぱり運動神経がないのかな(笑)」
STEP3:チックタック
ノーズを左右に振ることで前進するトリック。ポイントは「相互尊敬」と「相互信頼」。ヨコの関係で一緒にうまくなろう。
①重心をデッキの真ん中に置き、スタンスを決める(自分が最も安定感を感じるスタンスを見つける)。
②完全に止まった状態から、ノーズを最初に振る方向に向かって、上半身を45°くらいひねる。
③半分くらいひねったタイミングでテールを踏み、ノーズを上げる。
④ノーズを浮かせて振る直前に、上半身を同じ方向に振り、この勢いを着地したタイヤに込める。
⑤ノーズを上げ、左右に振りながら地面に下ろす動作をタイミングよく繰り返し、止まった状態からどんどん加速させる。
◯ 同じ立場に立って気持ちを伝える。
「もう少しでできそうだね」
「ちゃんと見てるよ」
✕ 上から目線で褒める、ご褒美で釣る。
「やればできるじゃん。じゃ、次はこれやってみな」
「乗れたら欲しがっていたあのゲーム、買ってあげるよ」
Icomplete(ThreeWeather)
デッキに描かれたイラストが正しい足のポジションを教えてくれる。初めてのスケートに最適。公式サイトはこちら。7inch、7.4inch、7.5inch、7.75inch/¥6,900
熊野英一
株式会社子育て支援 代表取締役。日本アドラー心理学会正会員。アドラー心理学を基に子供のチャレンジ精神や責任感・協調性を育みつつ、パパママのストレスを軽減するサポートを行う。2019年ペアレンティングアワード コト部門受賞。著書に『アドラー 式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』他多数。
写真/渡邊眞朗
文/脇谷美佳子
FQ Kids VOL.03(2020年夏号)より転載
Sponsored by 株式会社ムラサキスポーツ
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