2023.08.02
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2022.04.27
近年では子供を対象にしたサイエンス教室や実験系のワークショップなど、科学に触れられる機会が以前に比べて増えているという。ひと昔前は子供の理科離れが叫ばれていたが、「最近は自治体や科学館主体の理科系イベントが開催されたり、自然に触れる機会を与えたいと願う保護者が増えた」と話すのは理科教育のスペシャリスト山田暢司先生だ。
「今はインターネットで検索すればすぐに答えが出るため、科学的探究心が育ちにくい時代です。そんな中、子供たちの興味と好奇心を刺激するには、あらゆるものごとを体験させ、幅広く興味をもたせることが大切になってきます。
やるのは本人だから環境を整えすぎてもダメ。どうしてもすぐに結論を求めてしまいがちですが、本人が積極的にどういうメカニズムかを理解し、その過程を楽しむことができれば、きっと理科の楽しさに気付いてもらえるはずです」。
また、幼いころから科学に親しむと、いろいろなメリットがあるそうだ。
「好奇心が高まりチャレンジ精神が育まれることや、合理的な考え方や実用的な知識が身につくことが挙げられます。子供に知的好奇心をもたせるのにちょうど良い時期は、大きく分けて2つあります。まずは文字を覚える前の幼児期。もう1つは小学校高学年~中学2年くらいの思春期に至るまで。
その時期は、子供たち自らの手でトライアル&エラーを繰り返しながら、自分自身が納得できるまで結論を考えさせてあげてください。実験や工作は答えが1つではありませんし、トライアル&エラーを一番許されるのが子供時代です。決して大人の常識を押し付けたり、先回りして答えを教えたりせず、ぐっと我慢。それを見守るのが親の役割だと思います」。
好奇心が高まりチャレンジ精神が育まれることにより、合理的な考え方や実用的な知識が身につきやすくなる。つまり、理科が好きな子供は何かに集中して取り組んだり、ものごとを追求することに興味・関心をもち、行動を起こしやすい傾向が見られるというわけだ。
『3つの力』を大切に!
大人が見てもおもしろい本物の科学だからこそ、子供もハマって自ら学び考えるのだろう。それは積極性・能動的な姿勢を培い、将来、社会に出たときに役に立つに違いない。子供の頃に育てた探究心は、大人になってから差がついてくる。子供に何かを体験させたいと思ったとき、意外と日常にチャンスはあふれている。まずは身近なところから子供の世界観を広げていきたいものだ。
山田暢司先生
公立大学法人 都留文科大学教養学部学校 教育学科 特任教授。
理科教育における教材開発や実験指導等に関する研究に取り組んでいる。学校現場での教員経験もあり、ユニークな教材開発や実験を積極的に活用する指導の一方、ドラマやCMの監修も手がけ幅広く活動している。https://sciyoji.site
文:竹治昭宏
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