2022.05.30
2022.03.28
2024.07.26
三島隆章さん
大阪体育大学スポーツ科学部教授。広島大学大学院博士課程を修了。専門は運動生理学、発育発達学。JATI認定特別上級トレーニング指導者(JATI-SATI)。
多様な動きを体験できるか
見学時にチェックしよう!
子どもにとって、8歳頃までは多様な動きを学ぶ大事な時期。このタイミングでサッカーや水泳など1つのスポーツだけに専念すると、同じ動作を繰り返すことが増えるため、コーディネーション能力の発達が停滞するリスクもある。
「最近ではこのコーディネーション能力に注目して、多様な動きの育成を意識した取り組みをしているクラブなどもあります」と三島先生。
例えばサッカークラブでもわざとボールを手で打つ時間を設けたり、遊びの要素を入れたエクササイズを取り入れたりしているクラブもあるので、近所のクラブがどういう取り組みをしているか調べてみるのもおすすめだ。
実際に入会する前に、普段の練習内容を見学しておくのも大切。例えば試合での勝ち負けにこだわりすぎるチームに入ると、反復練習で同じ動作を繰り返す時間が増えたり、試合に出してもらえるか否かで運動量の差が生まれたりすることもあるだろう。
また幼児期の子どもは、絶えず動き、経験したいという欲求が強い。練習中に説明を聞いたり他の人を待ったりする時間が長いところは、学ぶ意欲も落ち、短い時間では経験できる動きも限られてしまう。
そうなると、コーディネーション能力という面ではずっと自由遊びをしていた方がむしろ効果が高いということになりかねない。
これから子どもが習い事を始めるのであれば、多様な動きが経験できるかという視点でチェックすることも大切になってくるだろう。
◆待ち時間が長すぎない
練習中の待ち時間が長いと動きの経験時間が短くなり、子どもの「動きたい」という欲求も満たされない。
◆勝ち負けを重視しすぎない
試合に勝つためにチーム内の競争が激しすぎるチームだと、運動能力を伸ばす前に、もともとの能力によって扱いの差が生まれてしまうことも。
◆1つの動きだけを繰り返さない
1つのスポーツに特化したり反復練習が多すぎると、同じ動きの繰り返しになり、多様な動きをバランスよく育てるのが難しい。
特定のスポーツだけを行う場合、伸ばせる能力が限られることも。足りない動きは、他の運動や遊びなどで補おう。
水泳
●連結能力
●リズム能力
全身運動のため、身体の各部分を連動して動かす連結能力や、リズミカルに身体を動かすリズム能力が養われる。
野球・サッカー
●連結能力
●変換能力
打つ、投げる、走る、蹴るなど、試合中の場面に応じて動きを変えることで連結能力や変換能力などが養われる。
武道系
●反応能力
●バランス能力
柔道、剣道、合気道などの武道は、1対1の相手がいるため、相手の出方に対応したいろいろな動きが必要となり、反応能力やバランス能力が養われる。
アーバンスポーツ系
●定位能力
●バランス能力
●リズム能力
スケートボード、BMX、ブレイキンなど、近年注目されているアーバンスポーツ。定位能力やバランス能力、リズム能力などが養われる。
楽しくコーディネーション能力を伸ばすためにおすすめの習い事、アイテム、お出かけ先を編集部が厳選して紹介!
3歳~
オリンピックのメダリストを多数輩出しているセントラルスポーツが提供する、コーディネーション能力を伸ばすためのコース。スイミング、体育、ダンスから好きな組み合わせで2つ選び、週1回ずつ通うことができて、別々に習うよりも月会費の単価がお得な設定になっている。
複数の運動種目を組み合わせることで、運動能力をバランスよく身につけることを目指す。複数種目に通うことで友だちの幅も広がるかも。
幼児~小学6年生
スポーツ科学に基づいた東大名誉教授監修の300種類以上のプログラムで、子どもたちの運動能力を伸ばすスポーツ教室。全国で500以上の教室を展開している。
すべてのスポーツの土台となる9つの基本動作を身につける「忍者300」、社会性や協調性、自分で考える力などを育てる「忍者バトル」を実施。
また、動作分析シミュレーションシステム「スポーツ適性ナビ」では子どもの運動能力を可視化し、どんな競技に向いているかを診断してくれる。
3~9歳
主に幼児~小学校低学年を対象とした運動スクール。映像と音楽を使いながら、ラダー、バランス、スピード、ボール種目など、サーキットトレーニング形式でさまざまな種目にチャレンジ。
運動を楽しみながらコーディネーション能力と非認知能力を高め、自己肯定感を育むことを目指す。子どもが「運動の楽しさ」を実感し、運動を続けるきっかけとなることで、生涯にわたって健康的な身体と心を育む土台を作る。
問/ルネサンス
3〜12歳
まだ専門的にスポーツを始める前の子どもを対象とした総合スポーツスクール。1つのスポーツには特化せず、サッカー、野球、テニス、体操など7種目以上のスポーツを総合的に実施してコーディネーション能力を伸ばす。
また、コミュニケーション能力や課題解決能力といった「非認知能力」を伸ばすプログラムも実施。1人ひとりに密着した指導も特徴で、「子どもたちにスポーツを好きになってもらうこと」を最も大切なポリシーに掲げている。
問/biima
幼児〜大人
どんな障害物も乗り越えて進むパルクールは、身近な場所で行う「どこでもアスレチック運動」。道具を必要としない全身運動で、あらゆる地形を臨機応変に進むことでコーディネーション能力を育む。
東京・仙台で展開するパルクール教室『SENDAI X TRAIN』は、「SASUKE」で活躍する佐藤惇さんがヘッドコーチとして指導。幼児からできる「ゆるパル」から、小学生〜大人が挑む「超人」クラスまである。
※靴サイズ:16.0~25.0 ※画像はチャイルドモデル
3~12歳
東京大学名誉教授でスポーツ科学を研究する深代千之氏監修のもと制作・開発された、子ども向けスマートシューズ。専用のセンサーを入れて専用アプリと連動させ、身体の動きを精密に分析・判定。
シューズを履いて室内外で歩いたり走ったり踊ったりすることでストーリーが展開し、楽しみながら運動習慣を身につけられる。2024年2月から未就学児向けのチャイルドモデルと追加機能もリリース。
チャイルドモデル・通常モデル ¥4,950(税込)/高機能モデル ¥5,390(税込)
専用センサーユニット¥3,300(税込) 専用アプリ ¥完全無料
問/バンダイ
0歳6ヶ月~12歳
天候に左右されず、いつでも思いっきり身体を動かして遊べる室内あそび場。世界の運動遊具を体験できるアクティブエリアは、山梨大学 学長の中村和彦氏の提唱する「幼児期に身につけておきたい36のからだの動き」の多くが出現するように設計されており、バランス力や筋力が刺激される全身を使った多様な遊びが楽しめる。
子どもの心と知能を刺激する「知覚遊び」等ができるエリアや、赤ちゃん向けのエリアも。
こどもフリーパス 平日 ¥1,500/休日 ¥2,000(いずれも税込)
おとなフリーパス 平日・休日 ¥600(税込)
問/ボーネルンド
文:藤城明子
FQ Kids VOL.17(2024年冬号)より転載
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