2024.09.23
2024.08.26
2023.09.21
イギリスの児童文学作家、J・K・ローリングによるファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズ。2001年に原作小説を初めて映画化した『ハリー・ポッターと賢者の石』が公開されると、日本でも大人気に。親子そろってファンだという家庭も多いだろう。
そんな人気映画の「ハリー・ポッター」や「ファンタスティック・ビースト」シリーズの世界観や制作の舞台裏を味わい、体験できるのが、今年6月に東京都練馬区にオープンした「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」だ。
エントランス イメージ図
ハリー・ポッターの屋内型施設としては、世界最大規模のウォークスルー型エンターテイメント施設。ここでは映画制作の舞台裏を覗いたり、ホグワーツ魔法魔術学校の象徴的な大広間、ダイアゴン横丁、禁じられた森をはじめとする映画のセットが再現され、物語の世界に没入できるとともに、映画制作の裏側を探索することができる。
さらに、学生向けに映画制作への理解をより深めてもらおうと、9月からは特別授業「エデュケーション・プログラム」が始まった。どんな内容なのか、魅力を詳しく紹介しよう。
エデュケーション・プログラムは、スタジオツアーロンドンで2012年にスタート。これまでに5700校を超える学校が訪れ、21万人以上もの学生が体験した人気のプログラムだという(2023年7月31日現在)。イギリスでの評価は高く、British Youth Travel Awardsなど、さまざまな賞を受けている。
そのスタジオツアーロンドンと同様の内容を、日本の学習指導要領に沿うようにデザインされたのが、スタジオツアー東京のエデュケーション・プログラムだ。
授業は教員資格を持つスタッフによって行われ、受講言語は日本語と英語から選ぶことができる。生徒の年齢やバックグラウンドに合わせてカスタマイズも可能だ。20人以上の学校単位の団体が対象で、1レッスン60分(授業の所要時間:45分)行われる。
授業はスタジオツアー東京の展示と連動しており、ツアー前にエデュケーション・プログラムを受けることで、より楽しく意義深い経験にすることができそうだ。
プログラムは現在、「アート・オブ・サウンド」「企画の売り込み」「映画ビジネス」「映画のグラフィック・アート」の4種類。それぞれの特徴を見ていこう。
①アート・オブ・サウンド (Art of Sound)
映画では効果音がとても重要な要素。それを支える効果音アーティストの仕事を理解する。音波とその特性についても学んだり、ワークショップでは映画版「ハリー・ポッター」の背景音の作成にも挑戦。
②企画の売り込み (Film Pitch)
映画制作の始め方、映画の制作費など、映画を制作する際の資金調達に関する授業。自分の企画を映画として実現するために必要なのはプレゼン力だ。インタラクティブな授業を通して、創造的なアイデアをプレゼンするための言葉や表現を学ぶ。
③映画ビジネス (Movie Business)
「ハリー・ポッター」の具体的な映画のシーンを取り上げて、映画制作には膨大なお金と人手がかかること、映画制作に必要なビジネス原則を学ぶ。予算と組織のマネージメントを知ることは、将来どんな仕事を選ぶにしても役立つだろう。
④映画のグラフィック・アート (Movie Graphics)
細部にこだわったグラフィック・アートが映画に生命を吹き込む。それを担うグラフィック・デザイナーの役割を学ぶ。
エデュケーション・プログラムの開始に先駆けて、5校22人の生徒が参加して、「アート・オブ・サウンド」の模擬授業が行われた。生徒たちからは次のようなコメントが寄せられた。
●「映画を見るときは純粋に楽しんでいたけど、この経験を通してこんな裏側があることを知り、映画を見るときの視点が変わった。音にも意識して見ようと思った」
●「1つのシーンでいくつもの音をつくる必要があるので、想像力が必要だなと感じた。作った人の気持ちを考えてまた映画を見返したい」
●「日常でいろんな音が出せるんだなと思った。それが映画で使われていることがわかり、すごく感動した」
●「音を作る授業は初めての体験だったので難しかったけど、最終的にチームメイトのみんなと作れてとてもいい経験になった」
●「一時期、映像クリエイターになりたいと思っていた時期があったので、今日、このような機会にくることが出来てとても嬉しい」
スタジオツアー東京では、小・中高の学校団体(20人以上)向けのチケットがあれば、プログラム自体は無料。さらに特別なフード・メニューも予約できる。
スタジオツアー東京のエデュケーション・プログラムでは、「映画を」学ぶ方法と「映画で」学ぶ方法とが組み合わさっている。実はイギリスでは、エンターテイメント施設や観光施設におけるエデュケーション・プログラムの設置が一般的で、それらを研究、評価する専門機関も多く存在するという。
日本でも、例えば食育のように、身近な素材を通して多角的な学びにつなげる動きが広まりつつある。そうした学び方の変化に、親としても関心を持っていくことは必要だろう。
‘Wizarding World’ and all related names, characters and indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc. – Wizarding World publishing rights © J.K. Rowling.
〈施設概要〉
「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」
・営業時間:HPにて要確認(季節によって前後するため)
・チケット料金:大人¥6300、中人(中・高生)¥5200、小人(4歳~小学生)¥3800(すべて税込)
・チケット予約方法:公式WEBサイトより事前予約制
・公式WEBサイト:www.wbstudiotour.jp
〈プログラム概要〉
エデュケーション・プログラム
・参加対象団体:国内の学校団体※国内の小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、認定インターナショナル・スクールなど(6~18才)、学校単位での受付となる
・授業可能日程:月曜日~金曜日
・時間:ツアー体験の前 1レッスン60分(授業の所要時間:45分)
・参加人数:1クラス最低20名 ※受講人数の上限は予約状況によりご相談
・参加費:無料(スタジオツアーチケット料金が別途必要)
・予約方法:コンタクトセンターへ要問合せ
文:平井達也
編集部のオススメ記事
連載記事
#今話題のタグ