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2023.09.01
関東大震災が発生した日であることから、防災の日と定められた9月1日。国民の1人ひとりが災害への認識を深め、対処する心がまえを準備しようというのがその趣旨だ。今年は関東大震災から100年の節目にあたる。
あらためて防災グッズなど、必要な備えを点検したい。備蓄は何日分必要なのだろうか。トイレを使い続けるためにはどうすればいいだろうか……。地震だけではなく台風もまたやって来るだろう。家庭での防災対策は万全か、最新の防災意識に関する調査や専門家のアドバイスを参考にして見直してみよう。
衛生用紙製品ブランドの「エリエール」を展開する大王製紙株式会社は、「クラブエリエール」会員604人を対象に防災意識調査を実施した。
まず、自宅を避難場所とする「在宅避難」について。この言葉を知っている人は全体の約7割(74.7%)だった。そのうちの約9割(90.5%)は、災害時には在宅避難を検討しており、在宅避難への意識は高いといえる。
「在宅避難」とは、災害発生時に自宅に倒壊や焼損の危険性がない場合、自宅で生活を送る避難方法のことだ。背景の1つには避難所不足がある。内閣府の「首都直下地震の避難者対策について」では、東京都区部において、自区内避難に対して約60万人分の避難所が不足すると想定されている。
また、昨年5月、10年ぶりに見直された東京都防災会議の「首都直下地震等による東京の被害想定報告書」によると、タワーマンションの増加に伴い、集合住宅の6階以上に住む世帯は2020年時点で10年前と比べて約3割も増加。マンションのエレベーターが停止した場合など、在宅避難が長期化することが懸念されている。
調査でつぎに尋ねているのが、備蓄術の「ローリングストック法」について。
日用品や食品を少し多めに買い置きしておき、古いもの(消費期限・賞味期限が近いもの)から日常的に消費して、減った分を買い足して補充するのが「ローリングストック法」だ。普段使いのものと備蓄品を区別しないため、特別な保管場所を確保する必要はなく、いざというときに期限切れといった失敗もない。
この言葉を知っていたのは全体の約8割(82.5%)。そのうちの約7割(68.9%)は、日常生活においてローリングストック法を実践している。こちらについても「在宅避難」同様、防災方法として浸透してきているようだ。
さらに意識調査では、「日用品は何を、何日分備蓄しているか」も尋ねている。
品目別では1位がトイレットペーパーで84.1%、2位がティシューで82.8%と“紙モノ”の需要が高いことが明らかに。
何日分の備蓄をしているか、については「2~6日分」が約4割(42.5%)と最も多い結果となった。続いて「1週間分」の備蓄をしている人が多く、「2~3週間分」と「1ヶ月分」を合わせると、約半数の人が「1週間分以上」の備蓄をしていることもわかった。
防災を楽しく学べる教材や啓発ツールの作成、企業の社内向け防災啓発活動のコンサルティングなどを手掛ける、NPO法人プラス・アーツ東京事務所長の小倉丈佳さんは、在宅避難のポイントについて次のようにコメントしている。
「(在宅避難は)住み慣れた自宅で生活できるため、心と身体の健康に良いことです。避難所では、見ず知らずの人たちと共同生活をすることになるため、プライバシーが確保できなかったり、会話の声が気になったり、生活リズムが違ったりと、ストレスを感じるケースが多いんです。
一方、あらかじめ備蓄をしていないと生活が苦しくなります。水道やガス、電気といったライフラインが止まってしまったとき、飲料水やカセットガスコンロなどの備えがないと、飲み水や温かい食事が手に入りません。
また、支援物資や必要な情報は避難所に集まるので、在宅避難した人も、物資や情報を得るためにこまめに避難所に足を運ぶ必要があるということも注意してください」。
ローリングストック法については「ここ数十年で大きな災害を何度も経験した結果、現在は国も『1週間分の備蓄』を推奨しています。災害発生から72時間は人命救助が最優先で行われます。その後、生活基盤を支えるインフラの復旧が優先されるため、支援物資を配る体制が整うまでに1週間程度かかるというのがその理由です。
マンションの高層階に住んでいる人の場合、災害でエレベーターが止まってしまうと階段で上り下りをしなくてはいけません。そこで、頻繁に上り下りをしなくても良いよう、ちょっと多めに10~14日分備蓄するというように、1週間分を基本として、ご自宅の状況に合わせて日数をプラスして調整してください」。
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関東大震災では死者・行方不明あわせて10万5千人あまりとされている。今後30年以内に70~80%の確率で起こると言われている首都直下型地震では2.3万人、南海トラフ地震では32万人超の死者が出る可能性もあると予測されている。
近年注目されている在宅避難やローリングストック法については多くの人が意識していることがわかった。避難生活を少しでも安心して過ごせるように、わが家の場合は何をどう備えたら良いか、ぜひ家族で話し合ってほしい。
そして何よりも命が一番大事だ。家族ですみやかに安否が確認できるよう、連絡手段も決めておこう。
〈調査概要〉
「防災意識調査」
・調査期間:2023年5月
・調査対象:クラブエリエール会員604名
・調査方法:アンケート調査
文:平井達也
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