2021.04.21
2023.10.27
2021.04.09
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子育てファミリーが大切にすべきは、子供の幸せな学びである。もちろん学力は大切だが、小学生なりの教養を身につけ、社会性を獲得できる環境を整えて、幸せな学びの機会を提供してあげたい。その場となるのが小学校。だから小学校選びは大切にして欲しい。
子育てをしていると、いつしか終わりがないことに気付く。小学校を卒業したら中学校。そして高校、大学、就職……親の悩みは尽きることがない。なので、小学校入学前の段階で、わが子にどんな人生を歩んで欲しいのか、またわが子の幸せとは何かをパートナーと話し合っておくことをオススメしたい。有名私立小学校に入学することは決してゴールではない。まだまだ先の長い人生のスタートラインから、たった数歩進んだだけなのだ。
ここからは、小学校選びにあたっての具体的な情報を示して行く。まずは小学校の種類だが、設置母体により、公立(一般的には市立・区立。国立もあり)と私立とに大別される。文科省が発表した『令和2年度学校基本調査(速報値)』によると、全国の小学校数は1万9526校。うち公立が1万9218校で私立は240校、国立が68校である。圧倒的に公立小学校が多い。それでは、公立と私立とでは何が違うのだろうか?
出展:文部科学省「令和2年度学校基本調査(速報値)」
まずは公立小学校から。公立小学校は普く一条校に合致している。だから国が定めた教育の質が確保されている。教育を受けるのにふさわしい教室があり、校庭があり、免許を持った教員により、定められたカリキュラムに沿って授業が行われる。入学金や学費は無償であることも私立との違いである。
公立小学校は社会の縮図である。弁護士の子供もいれば、先生の子供も、ラーメン屋の子供も、警察官の子供もいる。ある日突然、日本語が全く話せない外国籍の子供が転校してくることだってある。
あらゆる事柄を素直に受け入れることができる小学校年代にこうした経験ができることは、実は公立小学校に通うメリットではないだろうか? また近所の子供達の多くが公立小学校に通うことから、地域コミュニティへの入口としても機能する。
私立小学校は、それぞれにユニークな教育方針を掲げている。ミッション・スクールや文教系の小学校は顕著な例だが、それ以外でも創立者の精神が教育方針やカリキュラムに反映されていることが多い。そうした教育方針と子育てファミリーのニーズが合致すると、そこが幸せな学びの場となるだろう。
公立小学校では不可能な文化・芸術・スポーツなどのリベラルアーツ=教養を得られる機会を多く設けている私立小学校も多い。教員の質や充実した施設もまた、私立小学校でなければ享受できないメリットだ。大学受験に有利という説もある。
私立小学校は中高一貫である場合も多く、そうした学校では最後の一年間を大学受験勉強に使えるようカリキュラムを作成している。デメリットの一つは費用である。入学金・授業料のほか、遠方の学校に通う場合は交通費もかかる。制服や施設管理費、特別教育の際の費用なども出てくる。二人目以降の子供がいる家庭は、予め資金繰りを計算しておくと良いだろう。
公立幼稚園 13万9,752円
私立幼稚園 36万2,258円
公立小学校 10万6,830円
私立小学校 95万1,802円
公立中学校 18万1,906円
私立中学校 107万5,169円
公立高等学校(全日制)28万487円
私立高等学校(全日制)71万9,051円
出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について 」より「学校教育費」「学校給食費」を編集部が合算した数値。
一条校という言葉をご存知だろうか? 一条校とは、学校教育法に掲げられている教育施設のことであり、幼稚園から小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(短期大学・大学院を含む)と高等専門学校が含まれる。
一条校の教育課程は、文部科学省が示す教育要領・学習指導要領に基づいて定められている。各学校の教育課程を定める際には、学校の設置者が文部科学省その他の官公署(都道府県の教育委員会、「市町村」 「特別区」「地方公共団体の組合」の教育委員会、 知事部局)が作成した「解説」や「手引」を参考にして大綱を定めて、各学校がさらに年間計画などの詳細を定める。一条校でない教育施設(一条校として設置・認可されていない教育施設)は、本来的には、小学校、中学校、といった名称を使用してはならないことになっている。
実はオルタナティブスクールは明確に定義されていないのだが、広義にはフリースクールやホームスクール、それに無認可校も含めた学校の総称である。
狭義には、欧米の特定の思想をもとに発展したオルタナティブ教育を取り入れた学校を指す。狭義のオルタナティブスクールは、それぞれの思想に基づいて、極めてユニークな教育が行われている。個人の尊重、自主性の重視など、画一的になりがちな公教育機関では行われていない独自の手法が魅力である。一方で、一条校として認可されていないスクールがあることや、卒業後の進路についても入学前に考慮しておきたい。
広義のオルタナティブスクールには、フリースクールやホームスクールが含まれる。主には諸般の事情で学校に通わなくなった子供の学びの場である。一条校の要件には該当しないが、学校に行かなくても幸せな学びの場がある、というのは子供にとって良いことだ。小学校入学前からフリースクールやホームスクールを検討する家庭は多くないだろうが、こうした「学校」も存在していることを頭に入れておきたい。
●大日向小学校(イエナプラン教育)
●シュタイナー学園(シュタイナー教育)
●東京モンテッソーリスクール(モンテッソーリ教育)
●ジャパンフレネ(フレネ教育)
●東京サドベリースクール(サドベリー教育)
●ドルトンスクール(ドルトンプラン教育)
文:川島礼二郎
FQ Kids VOL.04(2020年秋号)より転載
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