2021.01.29
2022.02.26
2023.03.18
日本でいま最も認知されている海外の教育法の1つが「モンテッソーリ」だ。世界各国に広がっていて、日本でもモンテッソーリの保育園、幼稚園はたくさんある。
育児書なども多いが、おうちで取り入れてみようと思ったもののうまくいかなかった……という親子も少なくないようだ。独学でパパ・ママが行おうとしても、忙しい毎日の中で継続するコツがつかめなかったり、成果がわかりづらいこともネックになっていた。
モンテッソーリ教育は、20世紀初めにイタリアのローマで、医師のマリア・モンテッソーリによって開発された教育法だ。子供を発達段階に沿って自発的に成長していく存在ととらえ、大人は適切な環境を整えるべきだと考えた。
そんなモンテッソーリ教育を、おうちで、ゆるく、でも確実に成果を上げられるようにと執筆されたのが『世界一やさしい おうちゆるモンテッソーリ』(株式会社実務教育出版)だ。
最大のポイントは、モンテッソーリ教育の“説明本”ではなく、親が自分の子供に使いこなすためのモンテッソーリの見方やアレンジの仕方がわかるようになり、わが子との時間をより楽しくしていくための本であること。0~10歳の子供を対象としている。
モンテッソーリ教育といえば、専用の場所や教具が欠かせないと思われがちだが、これらも工夫次第でクリアできるという。日常生活に無理なく取り入れることができ、継続しやすいノウハウを紹介している。
前半では一章をさいて「敏感期」にフォーカスしている。これはモンテッソーリの重要な概念で、子供が各種の能力を伸ばしていくのに最適な時期をいう。この概念を正しく知ることで、子育ては大きく変わるのだ。
モンテッソーリ教育の考え方をベースにして、子育て全般を応援してくれるのがこの本の特徴だ。ほめ方・叱り方や、これからの時代に身につけるべき力といった悩みがちなテーマから、夫婦関係の改善にまで答えてくれる。さらに、全ページに理解しやすいイラストがついているのも、忙しいパパ・ママにありがたい。
著者の菅原陵子さんも2児の母。編集者として働きながら子育てをする中でモンテッソーリ教育と出会い、モンテッソーリ教師・カウンセラーに転じ、講演や講座は大人気。モンテッソーリ挫折組にも頼られ、「モンテの駆け込み寺」とも呼ばれる。10年間でのべ2万人の子育ての悩みを解決してきたから書けた、リアルな事例も踏まえた書なのだ。
将棋棋士の藤井聡太が幼稚園でモンテッソーリ教育を受けていたのは有名な話だ。グーグルの共同創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ。彼らもみなモンテッソーリ教育を受けていたという。
彼らのようになってほしいとは言わずとも、わが子の力をもっと伸ばしてあげることができたら……と願うのは親であれば自然なこと。いつもの毎日をほんの少し変えてみるだけでそんな教育を実践できる方法があるのなら、検討してみる価値はあるだろう。
文:平井達也
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