2020.05.29
2022.05.26
2023.03.21
僕は学生時代に野球と陸上競技をやっていて、結局陸上競技にどっぷりはまりました。自分が頑張ったら頑張っただけのことが返ってくるのが、個人競技のいいところ。そういう経験から、あきらめないでコツコツ積み重ねていくことが、自分を構築していくうえで一番大切だと学びました。
ステップの幅は小さくてもいいから、続けることが大切。継続することが、自分づくりにつながっていくと思います。才能はいつどこで開花するかわかりませんよ。だから、身体づくりは大切です。体力・筋力のバランスを整えておけば、いざという時に自分を助けてくれます。
勝ち続けている人間は負けた時にどん底まで落ちやすいし、這い上がるまでに時間がかかりますよね。でも、コツコツと努力してきた人間は、何度も挫折をくり返しているから、1回滑り落ちてもまた努力を積み重ねるだけ。それが負けることを知っている人間の強みで、それを学べるのがスポーツの良さです。
ライバルと競い合うこともとても大切。ライバルに競り勝つ努力をするには、相手をよく見ることが必要になります。「なんであの子はあれができて、自分はできないんだろう」と自分を見つめ直すことができるのも、スポーツのいい面ですね。子供たちにはスポーツを通じてそこを学んでほしいです。
僕自身はずっと陸上競技でやり投げをしていたんですが、どこかで「やらされている」感があったんですよね。そのまま高校生、大学生にまでなって、本当に好きだと気がついたのは陸上競技をやめる直前。そこで「やっぱりやりたい」と思ったということは、実は自分は陸上競技が好きだったんだなと気づきました。
もっと「好き」に気づくのが早かったら、もっと夢中になれたんじゃないかと思ってしまう。だから、子供にも「好きじゃないなら、やめていいんじゃないの? 好きなことが見つけられた方がいいと思うよ」といつも言っていました。
それで、長男には小さな頃から体操やサッカー、水泳といろんなスポーツを体験させました。少年野球チームにも入っていたのですが、「あんまり面白くない」って。「面白くないなら、やめてもいいんじゃない?」とあっさりやめさせてしまったんです。
ところが、高校生になった今、自分で軟式野球部に入ってすごく頑張っている。もう夢中みたいですね。今まで体験したどんなスポーツよりも情熱をかけて、朝練も頑張っています。
それを見ていると、「だったら、あの時野球の面白さに気づくまでやらせてあげて、ずっと続けさせてあげればよかったのかな」なんて考えてしまいます。そこが子育ての難しいところだと思うし、少し後悔している部分でもあります。
とはいえ、最終的に自分で夢中になれることを見つけてくれたことは、すごく嬉しいことですね。夢中になれることが1つもないのが、いちばん寂しい。それを見つける旅をするのが、人生だと思っています。
彼は今道標を見つけて、高みを目指そうと思っている。スポーツから得られるものを間違いなく吸収している。スポーツをやらせてきてよかったなと思う瞬間です。
子供の試合も見に行きますよ。そこですごい子がいたら、「あの子はすごかったな! 君(息子)があれをできたら僕はすごくうれしい。次の試合までに頑張って、その結果を見せてよ。楽しみにしてるから!」と言っています。
練習の過程を見ている訳じゃないので、努力しているかどうかはわからない。でも結果は試合に出るから、それを僕に見せてほしい。そう伝えると、嬉しそうに練習に行っています。
一方で、試合で子供が失敗しても「いいんだよ」と言ってあげられる心の余裕がないといけないな、とも思っています。子供の試合を見て、ヒートアップしちゃう親っていますよね。その理由は「自分の子供ならできるだろう」という思いと、「他の親が集まっている中で、恥をかかせるな」といういやらしい気持ちが出てしまっているのだと思います。
でも、それは子供にとってプレッシャーにしかなりませんよね。ふだんの練習はろくに見ていないのに、試合だけ見て「なんでできないんだ!」なんて言うと、子供は「何も知らないくせに」と思うはず。
子供は親に喜んでもらいたいと思うから、みんな頑張っています。親にできるのは、ふだんは見つめてあげるだけ。そして、相談された時や、挫けそうになった時に助言ができるよう、親もしっかり勉強をしておくこと。
いい言葉がけができるように、親も努力をしておきたいですね。
照英(しょうえい)
1974年生まれ。俳優・タレント。学生時代、やり投げで全国区の選手として活躍。その後ファッションモデルとして活動し、『星獣戦隊ギンガマン』で俳優デビュー。芸能界にフィールドを広げ、現在は司会やリポーターを務めるなど、幅広く活動している。私生活では、3人の子供のパパとして子育てに奮闘中。等身大の子育て論が、子育て世代に強い共感を呼んでいる。
文:藤城明子
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