2023.06.15
2022.09.19
2022.12.14
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STEM教育にArts(アート)の必要性を提唱したのは、バージニア工科大学の大学院生だったジョーゼット・ヤックマン氏や元ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン学長だったジョン・マエダ氏。
「アート」についてはいろんな捉え方があるが「そもそも、ヒトに関わる何か、人間が感動するものはすべてアートだと考えています」と久木田さん。何かを作りたい、表現したいと感じることがアートであるなら、プログラミングやエンジニアリングでもアートは必須だといえるだろう。
ただし、指示されることに慣れている子供は、自ら新しい発想を生み出すのが難しいケースもある。久木田さんはそんな時「このゲームはどんな構造になってる? この発想で新しいゲームを作ってみない?」と、やる気になるひと言を心がけているとか。きっかけをつくれば、子供はきっと新しい発想を見せてくれるはずだ。
また、こうした発想力を育むためには、さまざまな経験が必要となる。美術館や動物園へ行ったり、自然に触れて観察したりといった記憶から新しい発想は生まれるので、幼少期からさまざまな体験をさせるのも効果的だろう。
「STEAM教育におけるMathematics(数学)のポイントは幾何学。学校教育ではあまり教えてもらえない、幾何学の面白さをぜひ体験してほしいですね」。
教室ではプログラムを使って多角形を描いたり、内角の和を実際に計算してみながら、形と数の関係性に興味を持たせるよう心がけているとか。また時には「円は360度? 本当に?」と当たり前とされていることにあえて疑問を投げかけることで、算数への興味を引き出すこともあるそうだ。
ロボットプログラミングにおいても、超音波センサーで障害物までの距離を測り、スピードを割り出すといった作業の中で算数の知識は自然に必要となる。「三角関数は高校の数学で学びますが、マインクラフトで遊びながら“円柱を作りたい”となったら、中学生でも三角関数を使いますよ」と久木田さん。
やりたい事が明確にある子は、算数の必要性を実感する機会も多いので、遊びながら算数に興味を持ち、自然に知識を積み重ねていく。「あれを作りたい」というイメージを持たせることが、算数への苦手意識を克服する第一歩だろう。
桶谷早苗さん
一般社団法人STEM教育協会代表理事。2017年に同協会を設立後、幼児教育からプログラミング教室の講師育成までSTEAM教育全般に関わる。国際ロボコン「MakeX」の国内大会や、「mBot」を使ったワークショップなども開催。
久木田寛直さん
一般社団法人STEM教育協会理事。小中学生向けプログラミング教室「DOHSCHOOL」教頭。昭和女子大学現代教育研究所研究員。2015年より小学校から大学までのプログラミング・情報教育の研究を行なっている。
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・サイエンス(科学):【STEAM教育2022】子供が科学に興味を持つには? 専門家が実践する方法
・テクノロジー(プログラミング):【STEAM教育2022】プログラミングの能力はゲームで育む!? 専門家が推す理由
・エンジニアリング(工学):【STEAM教育2022】ロボット工学に役立つ幼児期の遊びって? 関わり方にコツも
文:藤城明子
取材協力:一般社団法人STEM教育協会
FQKids VOL.11(2022年夏号)より転載
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