2021.12.10
2023.04.04
2023.02.21
大豆生田 啓友さん
玉川大学教育学部教授。乳幼児教育学・子育て支援が専門。NHK Eテレ「すくすく子育て」をはじめ、テレビ出演や講演活動、執筆活動など幅広く活躍している。著書に『非認知能力を育てる あそびのレシピ』(講談社、共著)など
進級・入学前に
「やっておきたいこと」
進級・入学前には子供の安心感を育て、不安を取り除いてあげることが大切。例えば進級する教室の様子を親子でチェックしたり、入学先の小学校を親子で訪れ、教室やトイレを確認しておくのも効果的。「こんな楽しそうな場所に通うんだね!」と楽しい新生活のイメージをつくってあげれば、子供も安心するはずだ。
小学校までの道のりが不安なら、親子で一緒に歩いてみよう。車が多い道や危険な場所など、気をつけたい箇所については親子で共有しておこう。
入学準備の一貫として、家庭のテーブルで1日30分間の「集中タイム」を設けるのもおすすめ。TVや動画などは消して、絵本を読んだり、粘土で遊んだりする時間を作っておけば、入学後は自然に宿題をする習慣へとつながるはずだ。パパ・ママもスマホチェックをやめて、一緒に読書を楽しもう。
進級や入学前には、無理のない範囲で生活リズムを整えておこう。朝起きて、毎日しっかり朝ご飯を食べることは、健やかに生活する基本となる。遅くまで起きる生活は、進級・入学までに改善しておこう。
小学校に入学する時は、一度は親子で学校までの道のりを歩いてみよう。「この道を渡る時は見通しが悪いから気をつけよう」「車が多いから道の端を歩いてね」と親子で確認を。「この家はいつもお花がキレイだね」と、登校の楽しみを見つけるのもおすすめ。
●生活リズムを整えておけばよかったなと思いました。入学すると登校時間が早くなるので要注意!
●「上級生の子と一緒に歩いて学校へ行く」「ランドセルを自分で片づけて先生のお話を聞く」「放課後は遊べる」など学校生活のイメージを持たせてあげました。
●通学路のチェック。困った時に頼るお店を親子で確認して、挨拶をしておきました!
●「これは教科書」と学校生活に必要な物の名前を教えてあげる。知らない子供にとっては、すべて「本」だと知りました。
●環境の変化に弱い子なので、進級前に「この日になったら教室も担任の先生も変わるよ!」と1ヶ月前からくり返し教えていました。
●家で「ランドセルを置く場所」「宿題をする場所」「教科書を片づける場所」を決めておく。子供が自分で管理できるようになると、親がラク!
進級・入学前に
「やらなくていいこと」
「最近の小学校は“架け橋プログラム”によってかなり雰囲気が変わりました。入学したばかりの1年生が、 “授業中は座っていなきゃダメ”“学習準備ができなくちゃダメ”と叱責され、みんなと同じ行動をとれることが要求される昔の小学校のイメージとは変わっているのです」と大豆生田先生。
家庭でも「〇〇ができないとダメ」といったプレッシャーをかけず、子供をリラックスさせることが、最大の進級・入学準備となる。
親があせってひらがなや数字の書き方、計算などを先取り学習するケースもよく聞かれるが、既に知っていることばかりでは小学校での学びの楽しみが軽減してしまうので、無理強いすることはNG。
入学前なら親子で一緒に絵本を読み、楽しみながら文字に触れておく程度で充分だ。物語に触れることが、自然に文字への興味へとつながっていくはず。もちろん、入学前でも学びに興味を持つ機会があれば、無理のない範囲で進めてあげよう。
「〇〇ができないと進級/入学できないよ!」といったプレッシャーを親から子供に与えることは、子供が不安を募らせるだけ。せっかく生まれた「わくわく」の気持ちを台無しにしてしまうので、逆効果に。
小学校に入ってからでも、ひらがなや数字を学ぶ時間は十分にあるはず。あせって先取り学習をすると授業が退屈な時間になってしまうので、子供が自然に興味を持つまでは、過剰な先取り学習は避けた方がベター。
●リビングに子供の勉強机を設置しましたが、自分で整理できず、結局リビングのテーブルで勉強しています。まだ早かったのかも。
●「入学前にひらがなを書けるようにしないと!」と子供に無理をさせました。本当は、本人が書きたいと思った時に練習するのが一番ですね。
●防犯ブザーの使い方を教えましたが、学校でも説明があったようです。
●早めに文房具を揃えていましたが、細かく指定があったため学校では使えませんでした。
●「年少クラスに上がる前にオムツを外さなくては!」と親があせってしまい、すべてがうまくいかずにイライラだけが募って終わりました。その子のタイミングがあるので、無理に取る必要はなかったと反省。
●「来年から小学生だからね」と声かけしていたことが実はプレッシャーだったらしく、「小学生になりたくない」と泣かれてしまいました。
パパ&ママのための
進級・入学準備
子供の環境の変化は、実は親にとっても大問題。特に子供のケアが手厚い保育園から小学校への移行は、共働きのパパ・ママにとって高いハードルになることが多い。
入学後は、子供が帰宅してからも学校の宿題を見たり、次の日の準備をチェックしたりと、予想以上に親子の時間が必要となるため、家事の負担やワークスタイルについてあらかじめ見直しておこう。家族で過ごし、おしゃべりをする時間を大切にすれば、短い時間でも子供の安心感へとつながるはずだ。
食器洗い乾燥機や衣類乾燥機、ロボット掃除機など、「家事ラク」家電の購入は早めに検討を。家事負担を軽減して、親子の時間を確保しよう。民間の学童や家事代行サービスについても、必要になった時に急いで探すのは大変! 入学前に見学やお試し利用をしておこう。
小学生の親は「学校の宿題のマルつけ」「翌日の準備のチェック」「PTA活動」など帰宅後も大忙し。ケアが手厚い保育園に比べると親の負担が増え、遠距離通勤や残業が多いと働き続けるのが難しいケースもある。ワークスタイルの見直しも検討してみよう。
Q.家事ラクの工夫を教えて!
●家事代行サービス。手頃な料金で条件に合う人を見つけるのは大変なので、事前に一度利用しておくのがおすすめ!
●ミールキット。家事が苦手なパパ・ママのQOLが上がります。
●食事にこだわりすぎない。朝食メニューは毎朝定番にする。
●大きな棚や引き出しを買い、時間がない時はとりあえずそこへ放り込む。
●断捨離&掃除しやすいように模様替え。
Q.やっておいた方がいい、仕事・時間の調整は?
●学童は保育園ほどサポートが手厚くないので、前倒しで帰宅できるようワークスタイルの見直しを!
●残業の少ない仕事や、家の近くの職場への転職も検討してみて。
●夫婦の役割分担の見直しを。わが家はチャンスを逃して家事のほぼ100%が母親負担に……。
Q.おすすめ便利アイテムは?
●食器洗い乾燥機。働くパパ・ママの必需品!
●乾燥機つきドラム洗濯(洗剤自動投入タイプ)。朝夜のバタバタがなくなり、心に余裕が生まれました。
●ロボット掃除機。床がキレイだと本当に幸せ。帰宅した時が快感!
●お名前シール&お名前スタンプ。
文:藤城明子
FQKids VOL.13(2023年冬号)より転載
編集部のオススメ記事
連載記事