2021.10.11
2021.07.05
2023.01.23
《今回の相談内容》
3歳2歳0歳の年子の3姉妹を育てています。上の2人は保育園に通っていて、下の子も1歳になったら通うようになります。1番上の娘が毎朝のように「ねぇ今日、保育園お休み?」と聞いてきて、「保育園に行く日だよ」と答えると、嫌だと言って泣きます。いざ車に乗って園に着くと割とスムーズですが、それまでの受け答えがとにかく大変です。お休みの日になると、「よかったぁ」と喜びます。
寂しいからもっとママと過ごしたいのかなと思い、帰ってからは意識して一緒に過ごしているのですが、まだ足りないのでしょうか? できれば保育園に行くのが楽しみになってくれるとありがたいのですが……。
(はるはるさん・3歳、2歳、0歳の女の子の親)
大前提として、「子供は保育園には行かなければいけないことをちゃんと理解している」ということですよね。行きたくない気持ちはありますよ。だけど、ちゃんとわかっているんです。嫌だけど、それでも行かなきゃいけないってことを。
車に乗ったらスムーズになるのは、スイッチが切り替わって、保育園モードになり、葛藤の揺れが収まって気持ちが落ち着くからかもしれません。
下に0歳の小さい妹がいるとのことなので、どうしても「なぜ私は行かなきゃいけないの?」「なぜパパ・ママと私は離ればなれになるの?」という疑問が湧き上がるのでしょう。娘さんの心の中にある本当の理由はわかりませんが、根底には「行きたくない」という気持ちはあるのだと思います。
行きたくないけど行こう、だけどやっぱり行きたくない、でも行かなきゃ……こんな葛藤は、裏を返せば、嫌だけどちゃんと保育園に行っているという成長の証。その点を親がきちんと受け止めることが、まず大切です。
よくやりがちなのは、保育園に行って欲しいから、ネガティブなことを言わないような声がけをすることです。「保育園、楽しみだね」「○○先生が待ってるよ」「お友達の○○ちゃんと今日もおままごとができるね」など、楽しい方に意識を持っていこうとする声がけです。
今回の親御さんも「保育園に行くのが楽しみになってくれるとありがたい」とおっしゃっていますが、そのような声がけだけだと、「保育園に行くのが嫌だと言っているのに、パパ・ママは私の気持ちを全く受け止めてくれない」と子供は不満に思います。
受け止めてくれないから、受け止めてくれるまで嫌だと言い続けます。根底にあるお子さんの「行きたくない」という気持ちを否定しないで欲しいのです。
その上で、ちょっと勇気が必要かもしれませんが、お子さんに次のように言ってみてはどうでしょうか。
「保育園に行くのが嫌なんだね。そういう時ってあるよね。それでも、いつも保育園に行ってくれていて、本当にありがとうね」
こんなふうに伝えると、お子さんは「私のことをちゃんとわかってくれているんだ」と安心感に包まれます。こんなお話をすると、「そんなこと言ったら、保育園に行きたくないのはわかっているのに、無理やり連れて行かれるって思われませんか?」という心配の声も上がります。
大丈夫です。子供だって、本当は行かなくてはいけないことはわかっているんですから。まずは、その葛藤をしっかり受け止めることが大切です。その上で葛藤を乗り越えることができたら、子供の成長を促すとても良い経験になります。
家に帰ってからは意識して一緒に過ごしているとのことですが、上のお子さんが本当に求めていることは何だと思いますか? 「お父さんお母さんとの時間」というのは、半分正解で半分間違いです。
正しくは、お父さんお母さんと「一人っ子だった時のような時間」が欲しいというのが正しい表現だと思います。上の子と一緒に過ごすだけではなかなか上手くいかないのは、それが原因です。
妹や弟がいたら、もはやパパ・ママを独占していた頃の一人っ子時間はありません。もしもパートナーの協力が得られるなら、例えば下の子を散歩に連れ出してもらって一緒に過ごす。あるいは上の子と2人だけで散歩に出かける。そんなふうにして、一人っ子だった時と同じような時間を過ごせると、お子さんの満足度はぐんと上がります。
もしもワンオペ育児でそれができないなら、下の子がお昼寝をしている間の5分だけでも、2人っきりの時間を過ごすのでもいいんです。「よくこんなふうにギュッてハグしていたよね」なんてコミュニケーションを取るだけで、子供はパパ・ママを独り占めしている幸せな気分になることができるはずです。
てぃ先生
関東の保育園に勤める保育士。名前の読み方は「T」先生。Twitterフォロワー数、YouTubeチャンネル登録者数はともに60万人を超える。著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』は15万部を超える大人気作に。『てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』は自身初となる育児本であり、こちらもベストセラーとなっている。現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子供への向き合い方などを発信中! 2022年、「第15回ペアレンティングアワード」にて文化人部門を受賞。
文:脇谷美佳子
FQKids VOL.13(2023年冬号)より転載
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