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乳児期に親の姿勢として大切なのは、「自分の身体は自分自身の大切なもの」という認識を育てること。親自身が「この子の身体はこの子のもの」と意識して行動しよう。おむつ替えやお風呂など、身体をケアする際にはひと声かけて。心地よいスキンシップで安心感、信頼感も育もう。
続く幼児期は、とにかく性を“タブー”にしない環境作りを一番に。“タブー”でなければ子供の方からいろいろ質問してくれるので、お風呂やトイレなど、日常の中で身体や性の話をしよう。また、聞かれた時には「面白いことに気付いたね」など、肯定的に受け止めて、「親は自分の意見を聞いてくれる人だ」と態度で示そう。
水着で隠れる部分は、基本的に他の人に見せたり触らせない「プライベートゾーン」であることを伝え、自分の性器は自分で洗う習慣をつけることも重要だ。さらに、※「NO・GO・TELL」もこの時期に伝えておきたいスローガン。「NO・GO・TELL」とは、人から触られたり何か嫌なことをされた時に「嫌と言う、逃げる、信頼できる大人に話す」という意味だ。
「NO」は性暴力を避けるだけでなく、思春期に訪れる性的同意、非同意を表明する練習にもなる。日常の中でも「カバンを開けていい?」などと逐次問いかけ、可否を表現する練習をさせよう。加えて、「命のはじまり」や「性の多様性」に興味を持ち始めるのもこの時期。聞かれたら肯定的に受け止め、一問一答でサラッと答えよう。
※「NO・GO・TELL」はNPO法人CAPセンター・JAPANのプログラムで用いられる言葉です。
続く児童期は、思春期の準備期間。月経や射精など身体の変化とそれに伴う心の変化が起き始めるが、いきなりだと驚くもの。できれば変化が起きる前に話そう。性行為やセルフプレジャーについても、本格的な思春期前に話せたらベスト。話しにくければ、絵本や漫画の力を借りてもいい。
そしてこの時期は、1人でインターネットを見始める時期でもある。フィルタリングをした上で、「もしこういうものが出てもクリックしないでね」「おかしいと思ったらすぐに教えてね」などと伝えておこう。
万一アダルトサイトを見たことが発覚しても全否定せず、「見たかったり、見えてしまうことはあるよね」と肯定した上で、「これは大人が見るもので、現実とは違うんだよ」などと対話しよう。
中谷 奈央子(にじいろ)さん
思春期保健相談士/性教育講師。小学校、高校の養護教諭を経験し、退職後、フリーランスとして活動。子供から大人までを対象に、講演活動、相談活動を行っている。また、性教育サイト「命育」(meiiku.com)の「お悩みQ&A」監修も担当。2児の母。
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監修:中谷奈央子
文:笹間聖子
FQKids VOL.11(2022年夏号)より転載
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