子供と“SDGsを考える”オモチャ作りのススメ! 環境に配慮した工作のコツとは?

子供と“SDGsを考える”オモチャ作りのススメ! 環境に配慮した工作のコツとは?
持続可能なより良い世界を目指す国際目標、SDGs。その内容は幼い頃から学んでおきたいことばかり。エコな素材を使ったオモチャ作りを通して、親子でSDGsや環境について考える方法を、オモチャ作家の佐藤 蕗さんに聞いた。

オモチャ作りを
環境を意識するきっかけに

「SDGsや環境を意識するきっかけとして、工作は最適です」と佐藤さん。

「元々子供には工作好きが多いので、『環境にいいことを』と身構えずとも、『そのラップの芯ちょうだい』と言って自然にリサイクルして何か作っていますよね。子供はそうやって、不要品をゴミと見なさないところがいいんです。ですから親は、子供がそのまま成長して、ゴミではなく資源として見られるよう意識付けをサポートしてあげればいいのだと思います」。

そこで佐藤さんがおすすめするのが、「手作りサスティナブルトイ」だ。「手作りサスティナブルトイ」とは、なるべく新しい素材を購入せず、廃棄物や不要品を材料にして作るオモチャのこと。本来ゴミとなる物に新しい役割が与えられるだけでなく、「世界に1つしかないオリジナル」という付加価値が加わり、物自体の価値も高めることができる。

また、葉っぱや木の実、花など、自然の素材を使った工作もSDGsにつながるそう。それらが「いつ、どこに行けば手に入るのか」を考えたり、拾い集めたり、比べてみることも、自然や環境、時には気候変動について考えるきっかけになるからだ。

捨てたらどうなるか
親子で調べてみよう!

環境に配慮した工作のスタートは、お菓子の空き箱を切り貼りしてみる、飲み終わった後のペットボトルに絵を描いてみるなど、本当に身近なことからでOKだ。拾った石や葉に絵を描いてみてもいい。ただ、その際に最も重要なのは、「作って終わり」ではなく、作る過程で親子で「今作っている素材を捨てるとしたらどうなるのか」について会話し、考えることだと佐藤さんは語る。

「牛乳パックの工作って、半分使って半分余ったりしますよね。そういった時に、『これをもし捨てるとしたらどうやって捨てるか、ちょっと調べてみようか』と声がけして、子供と一緒に調べてみてください。高学年の子供なら、『わが家のリサイクル係』に任命してもいいですよ。

そうやって親子で、市から配布されているゴミの分別表やWEBサイトを見てみたり、それでも分からなければ、お住いの地域の『リサイクル推進課』のような部署に問い合わせてみたり……。意識して調べる機会を持つことで、子供たちにもリサイクルの当事者意識が生まれていくのです」。

実際に佐藤さんとお子さん自身、今までなんとなくしか分からなかったゴミの分別法や、地域によっての違いなども分かってきたそうだ。そこから環境問題がより「自分ごと」となって、コンポストを始めたり、工作で色を塗ったペットボトル1つとっても、リサイクルできるのかを確認するようになったりと、行動が変わってきたのだとか。

「もちろん、リサイクル工作をするかしないかが、地球や環境に与える良い影響は微々たるものだと思います。温暖化を食い止めるほどの大きな力は無いでしょう。ですが、子供たちが意識するきっかけを作ると、彼らはそこから行動変容を起こして、良い連鎖反応が始まっていくと思うんです」。

こういった環境への意識の芽生えは、ゴミだけでなく、食べ物をなるべく残さないなど、日常生活にもじわじわと影響を及ぼしてくるという。もちろん、きっかけは工作に限らず、ガーデニングや、大自然に触れるキャンプでもいい。子供の性格や家族の在り方に合わせて取り組んで、サスティナブルな地球に向けての小さな1歩を踏み出してみてはいかがだろうか。

SDGsってなあに?

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年の国連サミットで採択された「持続可能なより良い世界を目指す国際目標」のこと。上記の17のゴールから構成されている。これを推進する世界的な潮流を受けて、近年、「エシカル消費」や「ゼロウェイスト」などの姿勢が日本でも積極的に取り入れられ始めている。

教えてくれた人

佐藤 蕗(ふき)さん
子供の手作りオモチャ作家。建築設計事務所勤務を経て、第1子出産を機にフリーランスに。育児をしながら作っていたオモチャが反響を呼び、イラストレーターの活動のかたわら、造形作家として、雑誌、web、テレビで活躍。ワークショップも開催している。著書に、『ふきさんのアイデアおもちゃ大百科』(偕成社)、『親子で笑顔になれる“魔法の手作りおもちゃ”レシピ』(宝島社)。2児の母。


文:笹間聖子
写真:佐藤蕗、笹間聖子
イラスト:佐藤蕗

FQKids VOL.10(2022年春号)より転載

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