てぃ先生が伝授! 子供のイヤイヤを乗り越える、シンプルで重要なたった2つの対応法

てぃ先生が伝授! 子供のイヤイヤを乗り越える、シンプルで重要なたった2つの対応法
SNSで大人気の現役保育士・てぃ先生が、FQKids読者の悩みに答える連載企画。今回は「子供のご機嫌をいつも担保したまま過ごせないものか?」と悩む親御さんのお話です。

《今回の相談内容》

さっきまで機嫌がよかったのに急に機嫌が悪くなることがあります。例えば、ご機嫌でパンツを選んでいたのにいざトイレに行こうとすると、嫌だと大泣きして動かなくなってしまうことがあります。

初めてすることでも何でもなく、普段から機嫌よくできていることが、なぜか急にできなくなってしまう、ということは他にもよくあります。落ち着いていればどうして嫌だったのか教えてくれますが、嫌だ!! となっている時は何の話もしません。

普段はできていることなので、何に気を遣えばいいかわかりません。どうすれば機嫌を担保したまま過ごせるでしょうか。

(かやさん・2歳女の子の親御さん)

子供でも大人でも
絶えず機嫌がいい人はいない

機嫌は大人でも波がありますし、子供にも波があります。結論から言えば、「いつも機嫌よく生きていくのは難しい」と、はなから諦めた方が悩まずに子育てできるのかもしれませんね!

みなさんも気分が落ち込んで、誰とも話したくない時がありますよね。例えば「上司に理不尽に怒られた」「やりたかったことが思うように進まなかった」など、それぞれあるものです。人間誰しも感情があり、いつもご機嫌でいるのは難しいことです。お子さんも同じです。常に機嫌がいいわけではありません。

そんな時には、ちょっと時間を置いてあげましょう。質問者さんのお子さんも、落ち着けばどうして嫌だったのかを話してくれるとのことですので、お子さんのペースで本音が出てくるまでゆっくり待ってあげるといいかもしれません

子供の葛藤を整理して
感情に名前を付けてあげよう

頭の中ではできるイメージがあったのに、パニックを起こしてしまい、その時に限ってできなくなってしまう……。そんなことはよくあるものです。子供は、感情コントロールに慣れていないため、冷静になれないことも多々あります。そんな時は、子供のごちゃごちゃを整理してあげましょう。

具体的には、お子さん自身の感情や今起こっていることを言語化してあげることです。「あなたは今、これがやりたかったけど、うまくできなかったんだよね」と、子供に共感してあげることで、お子さん自身も気持ちの整理ができて、落ち着いて話すことができるようになります。自分の感情を客観視できるようになった結果、「ママの言う通りだな、自分は○○ができなくて悔しかったんだ」と思うことができ、徐々にパニックも収まっていきます。

このように感情を言葉で表現することを「感情のラベリング」といいます。感情のラベリングは、高ぶった気持ちを落ち着かせる効果があることが科学的にも証明されています。感情に名前を付けることで、頭の中が整理できるようになり、自分自身の状態を把握できるようになっていきます。

実は、ひとりごとを言う人の方が優秀だとも言われています。状況を実況中継することで、頭の中が整理され、交通渋滞が起こりにくくなるからです。忙しくなってテンパればテンパるほど、ひとりごとが多くなったりしますよね。

パニックなのではなく
ただ自分を見て欲しいだけ

普段できていることができないというご相談については、パニックからくるものなのか、お子さんが意図的にやっているものなのかによっても変わってきます。もし、「自分を見て欲しい!」という思いからきているのであれば、優しく手伝ってあげましょう。

「自分でできるんだから、自分でやりなさい」と突き放してしまうと、ただ注目して欲しいだけのお子さんにとってはさらに不満がつのります。その結果、両者一歩も引かない意地比べといった悪循環を引き起こしてしまいます。

単純に子供が、自分を見て欲しい、あるいは本当は自分でできるけど親の注目を集めたいという場合は、サッとやってあげましょう。お子さんが「やって欲しい」と思っていることを親がやってあげることで、問題は一件落着! 素早く解決します。

子供がわがままを言ったら
聞いてあげるのも親の愛

一回わがままを聞いてしまったら、今後ずっとわがままを言う子に育ってしまわないだろうか? という心配もあると思います。

先日、キックバイクで遊んでいたお子さんが公園から帰る時、「自分で持って帰りなさい」と親に言われ、「嫌だ、嫌だ、パパが持って!」と駄々をこねていました。パパがやってあげてもまったく問題ないんです。子供が自分で持って帰れることが、その子の忍耐強さを測るものではありませんから。また、パパが運んであげたからといって、その後、その子が一生わがままを言い続けるわけでもありません。

甘やかしてはいけない、約束が守れる子にしつけたいという気持ちはわかります。親も意地になる部分もありますよね。そんな時は、その場は手伝ってあげましょう。どちらも引かないと一向に解決しませんから(笑)。

いったんはパパが家に持ち帰ってから「遊ぶからには、次は自分で持って帰ろうね」「お約束したことはちゃんと守ろうね」と落ち着いた状態で促す方が、子供は冷静に耳を傾けて親の話を素直に聞けると思います。どんなこともその場で解決しようとせず、一呼吸おいて子供と対話していくのがいいと思いますよ。

プロフィール

てぃ先生
関東の保育園に勤める保育士。名前の読み方は「T」先生。Twitterフォロワー数、YouTubeチャンネル登録者はともに50万人を超える。著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』は15万部を超える大人気作に。『てぃ先生の子育てで困ったら、これやってみ!』は自身初となる育児本であり、こちらもベストセラーとなっている。現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子供への向き合い方などを発信中!


文:脇谷美佳子

FQKids VOL.10(2022年春号)より転載

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